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Bobby Bare 「Sings Lullabys, Legends and Lies」 [Today's Album]

「Sings Lullabys, Legends And Lies / Bobby Bare」 (1973/2007)
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Bobby Bare Sings Lullabys, Legends and Lies (And More)

Bobby Bare Sings Lullabys, Legends and Lies (And More)

  • アーティスト: Bobby Bare
  • 出版社/メーカー: RLG Legacy
  • 発売日: 2007/07/24
  • メディア: CD


もしかしたらとてもダサいことかもしれないんですけど、けっこうこの手のカントリーが大好きなんです。
それでも、聴き始めた頃は手当たり次第に聴いていましたが、今では私なりにこだわりがあるつもりなんですけど。

Illinois州出身、5歳で母親を亡くし、父親に生活力が無かったために一家離散、15歳までは農場で働いて過ごし、その後は工場やアイスクリーム売りで生計を立てながら自身でギターを組み立てOhioのローカル・バンドで演奏をし始める。
最初の録音であるトーキング・ブルース調の「All American Boy」を吹き込むが全く相手にされず、50ドルでOhioのインディーズに買われて59年に他人名義でリリースされるのだがこれが予想外の大ヒット。
徴兵期間を終えてルームメイトでもあったWillie Nelson等と交友を深めながら、作曲を続けポップス畑で多くの曲が取り上げられ、自らもポップス・シンガーとして認識されるがそれに飽き足らず、62年にRCAと契約、カントリー・シンガーとして再起する。 その後はBob Dylanの曲をいち早く取り上げたり、イギリスに渡り地元のバンドと録音するなど、カントリー・アーティストとしては型にとらわれない精力的な活動を続け、Mercury、 United Artistとレーベルを渡り歩き、RCA復帰作となったのがこのアルバム。

このアルバム自体は以前にドイツのカントリーやブルーグラスを好きな人ならご存知だとは思うドイツのBear FamilyというレーベルからReissueされていた。 が、今回は72年にリリースされたShel Silversteinという人の曲のみで構成されたスタジオ・ライブ・アルバムを「まるであなたがそこにいるように」と、リマスターしたこのアルバム自体に加えて、それ以外にBobby BareがShelの曲を演奏した物を16曲集めた盤をプラスした2枚組みというヴォリューム満点の物なのですが、その2枚目の物が今までにCD化されているアルバムに収録されている音源とダブりまくりなのが少々いただけない。

でもSONYとBMGがくっついたことにより、今までこの辺の音源を沢山抱えていながら今までReissueに積極的でなかったRCAのアーティストのアルバムがSONYお得意のLegacyシリーズとして日の目を見るのを期待せずにはいられない。国内盤紙ジャケ化なんて望めないし・・・。

時は73年、白人のためだけのお上品なNashvilleのカントリー・ミュージックに嫌気がさしていたTexasのアウトロー勢がその土地に豊潤に溢れる様々なミュージックを取り込み、にわかに盛り上がりを見せていた。Willieが反逆の狼煙となった「Shotgun Willie」を、Michael Murpheyが自らのニックネームにもなった「Cosmic Cowboy」をリリースしたのもこの年であった。
なんか大河ドラマみたいになってきましたね。

Shel Silversteinという人についても少し触れたい。
彼は作家、漫画家、作詞家、作曲家、編曲家、シンガーとしてどの分野でもある程度の成功を収めた文字通りマルチ・タレントな人で、スキンヘッドに熊男風の(ある人に言わせればきっと・・・)ヒゲを蓄えたおっかないルックスにも関わらず、多くの子供向けの本がベストセラーになっているという人だ。
作曲家としてはDr. Hookが彼の多くの曲を取り上げ、「Sylvia's Mother」「Cover Of The Rolling Stone」のヒットはあまりにも有名だが、Johnny Cashもいち早く目を付けていて、「25Minutes To Go」、「A Boy Named Sue」などを取り上げられるほか、Willie、Waylon、Tompall Glaser、Kris Kristofferson等が挙って彼の曲を取り上げており、アウトロー・ムーブメントにおいても欠かせない人だ。

Bobbyの素朴な語り口や奔放な活動が、Shelのバック・グラウンドと相まってこのアルバムをアウトロー - プログレッシヴ・カントリーの重要アルバムと位置づける記述も多く見かけるが、Bobby自身はアウトロー連中との関係は大事にしながらも、アウトロー、そしてメインストリームのカントリー・シンガーのどちらとも見なされるのを嫌ったようだ。
しかし、当時RCAのドンだったChet Atkinsが癌で入院中だったため、RCA全体を取り仕切っていたJerry Bradleyの目を盗んで本作のレコーディングを決行するなどアウトロー魂は持ち合わせていた。後にJerryは「当時Bobbyが何をしているか分かっていたとしたら間違いなく辞めさせただろう。」と語っている。それだけ保守的なカントリー界では全曲を一人のソングライターの曲で埋めたスタジオ・ライブ・アルバムというのは異端に思えたのであろうか。

収録曲14曲中、12曲がこのアイデアを思いついたBobbyに頼まれたShelが書き下ろした作品で残りの2曲も既発ながらShelの作品。
タイトルどおり“ララバイ”と“古い言い伝え”、そして“嘘”がShelというフィルターを通して言葉になったストーリーにBobbyが持ち前の太く甘いウォームな声で命を吹き込んでいる傑作だ。スタジオにはBobbyの家族の他にWaylon JenningsやMickey Newburyなどもいたと言われており、非常にリラックスしたアットホームな雰囲気で演奏されたようだ。

ここまでであまりにも長くなったのに曲解説は端折って・・・。

Disc One
 1. 「Lullabys, Legends And Lies」
 2. 「Paul」
 3. 「Marie Lavaux」
彼にとって唯一のカントリー・チャートNO.1となった、実在したスペインからNew Orleansに入植した最後の魔女といわれるMarie Lavauxを唄った曲。非常に泥臭くスワンピーでさえあるバックに支えられて唸るように唄うBobbyがカッコよし。
 4. 「Daddy What If」
これもチャート入りしたヒット曲、現在オルタナティヴ・ロック、オルタナ・カントリー界で活躍している、当時5歳のBobby Bare Jr.君との愛らしいデュエットが聴けるメロウな曲。冒頭でJr.の事を“将来のスター”と紹介し「こんなところで唄わせたら後で恥じて俺を訴えるかもしれない。」と冗談交じりに語っているのが聴かれる。
 5. 「The Wonderful Soup Stone」
 6. 「The Winner」
腕力を誇示して周囲を威圧する若者を滑稽に描いたシンプルなカントリー・ソング。
 7. 「In The Hills Of Shiloh」
Judy Collinsに取り上げられたこともある、南北戦争での未亡人を唄ったスローな曲。前の曲と180度違うテーマ:悲劇を唄いこなすヴォーカルが見事。
 8. 「She's My Ever Lovin' Machine」
 9. 「The Mermaid」
10. 「Rest Awhile」
11. 「Bottomless Well」
12. 「True Story」
13. 「Sure Hit Songwriters Pen」
14. 「Rosalie's Good Eats Cafe」
夜中のダイナーにたむろする人々を鮮やかに描写した8分にも及ぶスロー・ワルツ。トレモロのかかったエレピと恐らくLloyd Greenと思われるドブロが切ない。最後は皆のコーラスが加わって。

Disc Two
 1. 「Sylvia's Mother」
Dr. Hookでお馴染。ここではテンポを上げてシンプルなカントリー調。このバージョンもカントリー・チャートでは12位と健闘。
 2. 「Singin' In The Kitchen」
この人は恵まれない幼少期を送った反動か、とても子煩悩で家族想いなようだ。ここでも奥方と3人の子供達が張り切りコーラスを聴かせるのが微笑ましい。他のアウトロー・カントリー・シンガーではとても考えられない事だ。
残念ながら長女が翌年に突然15歳という若さで他界している。Bobbyの心痛は計り知れなかったであろう。74年「Singin' In The Kitchen」収録。
 3. 「$100,000 In Pennies」
ここから5曲目まではブルーカラーのハードな生活を描いた74年の「Hard Time Hungry」収録。
 4. 「Alimony」
 5. 「Back Home In Huntsville Again」
 6. 「Brian Hennessey」
 7. 「Too Many Nights Alone」
 8. 「This Guitar Is For Sale」
心身ともにズタズタの流れ者を唄ったスロー・バラッド。バリトーンで情感たっぷりに歌い上げるヴォーカルに泣きそうです。77年の「Bare」収録。
 9. 「Rough On The Living」
10. 「Numbers」
11. 「Tequila Sheila」
『アウトローがボーダーを越えて逃げる』というテーマ、メヒコ調のギターがMarty Robbinsからの影響をも感じるご機嫌なナンバー。
12. 「Qualudes Again」
13. 「Food Blues」
14. 「The Jogger」
15. 「Me And Jimmy Rodgers」
16. 「Time」


83年の「Drinkin' From The Bottle, Singin' From The Heart」を最後に、自らの意思でColumbiaとの契約更改を拒み、表舞台から遠ざかっていたが98年のWaylon、Jerry Reed、Mel Tillsとのコラボ・アルバム「Old Dogs」で復活。
しかし99年のShelの死去が彼に深い傷をもたらす。ChetやJohnny Cash等と共に嘆き悲しんだというBobbyは「彼が早く逝きすぎたのか、我々が長居しすぎているのか・・・」という言葉を残し再度引きこもり生活に入るが、彼をスタジオへと誘い入れて05年の「The Moon Was Blue」を録音させたのは恥じ入るどころか父を敬って止まないBobby Jr. だった。

アウトローの姿勢には共感を覚えながらも徒党を組むことを嫌ったBobbyの歌声は暖かく、優しく、そしてどこか悲しい。

こんな長い記事いったい誰が読むんですかね??



「Marie Lavaux」



「The Winner」


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The Bridge 「The Bridge」 [Today's Album]

「The Bridge / The Bridge」 (2007)
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The Bridge

The Bridge

  • アーティスト: The Bridge
  • 出版社/メーカー: Hyena
  • 発売日: 2007/10/23
  • メディア: CD


音楽好きな方は毎日のようにCDが届く忙しい年末を送っていることと思います。そんな中、恐る恐る購入した全く知らないアーティストにガツンとやられました。

Hyena Recordsからのデビュー・アルバムでこれ以前にも自主盤がある模様。Merryland州Baltimoreというイースト・コースト出身ながらNew Orleansファンクの影響を強く感じさせるBluesやBluegrass、Jazz、Countryのテイストも盛り込んだごった煮サウンド。今風に言うとジャム・バンドという括りに入るらしいがヴォーカルはLyle Lovettをもっと太くパワフルにしたようなスモーキーな声で中々ソウルフルだ。

メンバーは
Chris Jacobs - Vocal, Guitar, Pedal Steel, Dobro
Kenny Liner - Mandolin, Human Beatbox
Dave Markowitz - Bass
Mike Gambone - Drums
が中心となっていて、そこにホーンやフィドルのメンバーが曲ごとに出入りしているようだ。

1. 「Get Back Up」
ゆったりとしたファンク・ナンバー。打ち込みのようなサウンドはどうやらヒューマン・ビート・ボックスのようだ。この粋でニヒルなヴォーカルをどう受け取るか?
2. 「Angelina」
スライドによるレイド・バックしたイントロでもう降参!キザな歌声も泣かせる。
3. 「14 Days」
セカンド・ラインを取り入れたニュー・オリンズ・ファンク・ナンバー。
4. 「Bad Locomotion」
ここまでも全然悪くないが、けっこうメロウなファンク・バンドかなと思っていたところに強烈なブルース・ロック!間奏でのワウ・ギター、それと渡り合うブリブリ・ベースも聴きもの。
5. 「Easy Jane」
これはLittle Featファンは間違いなく食いつく。スライドはラップ・スティールのようだ。泥臭いファンク・ロック。参りました!
6. 「Shake 'em Down」
これもファンキーでアップテンポ。複雑なフィルが多い曲だが難なくカッチリとこなすリズム隊。ドラムの手数が凄い!かなりの演奏力だ。
7. 「Country Mile」
これはドブロが使われていて泥臭くも幻想的な感じがするスローな曲。
8. 「Further to Room」
ファンキー!
9. 「Flats of the Old Avenue」
ファンクに飽きた頃に絶妙のタイミングで出てくるマンドリンのイントロとハーモニーが美しいThe Bandを彷彿とさせるような曲。やっぱりLyle Lovettに似ているのでは?
10. 「Chains」
これはあんなビート・ボックスが出来るのに何故かヘタウマなKennyのヴォーカルが聴けるBluegrass調というかアイリッシュ・トラッドのようなヘンテコなアコースティック・ナンバー。このアコギのリードもChrisなのか!?
11. 「The Ballad of Clear Rock」
これはChrisとKennyの2人だけの演奏によるナンバー。Kennyの口技で二人にしてはやけに音が分厚いブルージィーな曲。
12. 「Brother Don't」
最後に残しておいた取って置きのファンク・ロックか。様々な楽器のリード・パートをフューチャーしたJam Bandらしい曲。う~ん、Dave Matthewsにも近いような・・・。

しかし、このChris Jacobsという人は本当に芸達者で色んな楽器を色んなスタイルで演奏することができる。泥臭いといってもちょいと都会的で洗練された雰囲気を持つヴォーカルが全てのルーツ・ロック・ファンに受け入れられるかどうかは疑問だが、個人的にはいやらしい大人向けのロックになる手前で留まっていると思う。見逃すのには惜しすぎる逸材だ。

Kennyのヒューマン・ビート・ボックスがどれほどこのサウンドを確立するのに貢献しているのかはわからないが、曲によってはマンドリンでもがんばっているのであえてその辺を突っ込むのは無しということで・・・。

見たところは若そうだが、名前も聞いた事がないバンドがこんなスケールの大きいグルーヴ感を持ったサウンドを奏でるとは驚き。私が知らなかっただけでその筋では有名なバンドなんでしょうか?


「Easy Jane」

「Don't Do It」


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不定期病状報告 [脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)]

今日は変な天気でしたが東京はこのところ快晴が続いています。でも何故か非常に調子が悪いです。
朝起きた時点で疲れきっており、身体中の痛みも酷い。「すこーしずつ良くなっているんだ。」と思おうと自分に言い聞かせていたんですが、ちょっと難しいですね。

元来、何の才能にも恵まれず、気合と根性だけで人並にここまで生きてきたつもりだったのですが、その気合と根性も尽きそうです。

何度も書いていますが、この病気を発症していて私より体力が無い女性、お年寄りやお子さんで、私のように歩いている意外はテレビや映画を見ているか、音楽を聴いているだけでなく、学校、仕事や家事、育児を休めなくてがんばってこなしている人達には本当に頭が下がります。
そしてこの病気よりももっと辛い病気、直接命が脅かされているような疾病と前向きに戦っている人達にも敬意の念を抱かずにはいられません。

ウォーキングに関しては55分ぐらいまで距離が伸びていたんですけど、最近また40分ぐらいに戻しました。短くした理由は最近調子が悪いの以外にもう一つ。
以前は近所の川沿いの遊歩道を川を遡る方向に歩いていたんですけど、丁度歩き出して20分程のところで遊歩道が途切れていたので、調子が落ちる前はもう少し距離を伸ばしたいと思い、川を下る方向に歩いていました。ところがこの方向だと「Across The Borderline」してしまい、25分もすると都内から抜けて隣接する県内に奥深く入り込んでいることがわかりました。道理で風景ががらっと変わって、何か落ち着かないわけです。
それに加えて、歩きながら「今ぶっ倒れて通行人に救急車とか呼ばれたら、県側の病院に運ばれてしまうのでは?」などと考えて更に不安になったので、当面はワンコとよく歩いた川を遡る方向へ40~45分ぐらいの距離を歩き、調子が戻り距離を伸ばしたくなっても橋と橋の間をもう一周増やす等の対応をしたいと思います。臭い付けしていない土地ではかなり不安になるようです。
ウォーキングの効果は全く実感できていませんが、1月の熱海の次回診察時までは続けてみます。
・・・・・多分。

もう三週間ほど前になりますがS病院を訪れた際、やはり抗鬱剤系の薬は私には効かないと言うことで、ジェイゾロフトも中止になりました。
裁判に関しても相談したのですが、「あなたは漏れがハッキリしていたので裁判はやってみる価値があるかもしれない。相変わらず事故との因果関係が認められるケースは少ないが、裁判を行うと任意保険が最低でもかかった治療費は支払うようになってきている。いつでもメールでもFAXでも連絡をくれれば弁護士を紹介する。」との心強い返答をいただきました。(涙)

1月まではアメリカン・ロック聴いて持ちこたえるぞ!


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「Out of Mothballs」 [MudslideslimのDetox]

「Out of Mothballs / Dan Baird」 (2003)

 

 1. Rock This Place
 2. Picture On The Wall
 3. Memphis
 4. Any Little Thing
 5. Shine A Light
 6. Little Stories
 7. Trouble Comin'
 8. Lock And Key
 9. Seventh Son
10. Shake It Wild
11. Don't Open That Door

このブログでは「なるべく入手しやすいアルバムを紹介する。」という約束でしたが、このアルバムは日本のAとかHとかからは残念ながら購入することが出来ないようです。かといって海外からなら特別入手が困難というわけではないし、これを紹介せずに年を越せるか!という内容なのでいっちゃいます。

Dan Bairdはアメリカン・ロック・ファンにはバブリーな80年代に一切の虚飾を配したシンプルでソリッドなR&Rを聴かせてくれたバンド、Georgia Satellitesの中心メンバーとして焼きついているはず。
バンド解散後、90年代に入りBrendan O'Brienのプロデュースにより2枚の素晴らしいソロ・アルバムをリリースしているが、その後に加入した裏スーパー・グループのYayhoos、それと平行した自分のバンドではマイナーでの活動になってしまい、ここ日本の洋楽シーンでは全く語られることがなくなってしまっているようである。

ところがどうやらDanはメジャー、マイナーを関わらず良質のアメリカンR&Rを追い求めている若者達には正当な評価を受けているようだ。それは非常に嬉しくも有り不思議でもあり・・・・。

これはそのDan Bairdの未発表曲集。ライナーには本人の曲解説以外にちゃんとしたクレジットがないのではっきりわからないがどうやら90年代の録音のようだ。

まず辛口に・・・。
ミックスが80sっぽい。それは悪いことではないのかもしれないし、80sを知らない人達には古臭い音というだけで違和感はないのかもしれないが、当時を知っているオヤジにとってはちょいとムズムズするサウンド。
ギターの音はアンプのスピーカー前で聴いているような迫力ある音で録れているんだけど、如何せん高音が強調された硬い音処理で、Brendan O'Brienのウォームなサウンドと比べると安っぽい。それもEric Ambellなどが創る狙ったチープさではなく、本当に金かけていないサウンドに聴こえる。ジャケットはいいんだけど中のライナーも金かかってなさそうだなあ。
かといって前に腐したBossの新譜に比べると其々の音の分離はよいのでどういう曲かはちゃんと伝わってきます。

良い点は未発表曲集なのに今までのソロ・アルバムより何故か曲がバラエティに富んでいて素晴らしいんです!
4.や6.そして8.のような少し力を抜いた曲がSatellitesの時には必ずアルバムに入っていたのにソロになってからはあまり聴かれなかった。
2.Stonesの曲をAC/DCがやっているようで、ハードながらもキャッチーなメロディだな、と思ったらやはりTerry Andersonが絡んでいた。
3. 「Buffalo Nickel」のアウトテイクだというミディアム・テンポで強烈な泥臭さ!
4.同じく「Buffalo Nickel」時の強烈なギター・リフのロック・ナンバー。
9.「Love Songs~」時のセッションでWillie Dixon作のストレートなR&R。
10. CCRの「ジャングルを越えて」から拝借したと白状しているトレモロ・ギターがエグいながらも、恐らく「Love Songs~」収録の「Baby Talk」と被ってしまうという理由でボツになったのではと思える。
11.ファンキー!
等とお得意のロック・ナンバーも存分に味わえ、前述の力を抜いた曲と合わせればアルバムを通してでも楽しむことが出来る。
結論を言うと、勧められたとおり買ってよかったですよ。

ここから少しデトラせていただきます。
何ゆえあそこまで一世を風靡しており、John Fogertyのサウンドを継承するDan Bairdが、未発表曲集とはいえUKのレーベルからこんな安っちいプロダクションのアルバムを出さなければいけないのだろうか?メジャーとは言わないまでもNew WestとかBloodshot辺りのUSの大手マイナー(カントリー色が弱いので駄目なんですかね?)が権利を買い上げてリミックス、リマスタリングしてやって普通に市場に流通させてやらないのだろうか?
マイナーな若いアメリカーナ系アーティストの輸入盤に帯とインチキ臭い解説付けてぼった喰って売っている日本のレーベルも目の付け所を変えてこういうの出したほうが、このままの音だとしてもそこそこは売れると思うのだけど・・・。

EaglesやBossがチャートで1位になるならこの人だって・・・・
・・・無理か。

でも恐らく一番の問題はDan本人に全く欲が無いことなんだろうなぁ。生活していくのに困らなくてR&Rし続けられれば彼は満足なんだろう、きっと・・・。いまだにスキッパだし。


「Keep Your Hands To Yourself」



「Another Chance」



「Dixie Beauxderaunt」






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Billy Joe Shaver 「Old Five and Dimers Like Me」 [Today's Album]

「Old Five and Dimers Like Me / Billie Joe Shaver」 (1973)
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Old Five and Dimers Like Me

Old Five and Dimers Like Me

  • アーティスト: Billy Joe Shaver
  • 出版社/メーカー: Koch
  • 発売日: 1996/11/19
  • メディア: CD

 1. Black Rose
 2. Old Five and Dimers Like Me
 3. L.A. Turnaround
 4. Jesus Christ, What a Man
 5. Played the Game Too Long
 6. I've Been to Georgia On a Fast Train
 7. Willy the Wandering Gypsy and Me
 8. Low Down Freedom
 9. Jesus Was Our Saviour and Cotton Was King
10. Serious Souls
11. Bottom Dollar
12. Ride Cowboy Ride
13. Good Christian Soldiers

この人の良さがわかるまではちょいと時間がかかったのを覚えている。
非常にメロディが伝わりにくいガラガラ声に滑舌の悪い彼のヴォーカル・スタイルと聴いたアルバムの順序が悪かったのがその理由として考えられると思う。
最初にこのアルバムを聴いていればすんなりと彼の世界に入れたと思うのだが、最初に聴いたアルバムはこの次にリリースされた76年の2nd、「When I Get My Wings」だった。
その後、2ndを聴いてみると、勿論アルバムとしては1stの方が格段上なのだが不思議な物で全然悪くない。この人がどういうスタイルなのか、どういう変遷を辿ってこのようなサウンドにたどり着いたのかが解るとまったく感情移入の仕方が違ってきてしまっているようだ。他のアーティストでも経験があるのでこういう面も「自分は純粋に音だけを聴いているのではないのでは?」と訝ってしまう理由なのだが・・・。

39年生まれのTexas出身のカントリー系SSW。
ネイビーを除隊後、様々な肉体労働で糊口をしのいでいたのだが、Bobby Bareの事務所の門を叩いたのがこの世界に入るきっかけに。
その後Kris Kristofferson、Tom T. Hall、Bobby Bare、Allman Bros.、Elvis Presley等が挙って彼の曲を取り上げる。
Waylon Jenningsにいたっては殆どの曲がBilly作で最初のアウトロー・カントリー・アルバムともいわれた「Honky Tonk Heroes」をリリース。一気に気運が傾いてきたところでKris Kristoffersonプロデュースにより制作されたデヴュー・アルバムが本作だ。
脇を固めるのはNashvilleのKenny Molone(dr)、Kristoffersonの片腕だったStephen Bruton(gt)、Marc BennoやTony Joeと、Swamp系アーティストのアルバムには欠かせないMike Utley(key)、伝説的なカントリー・フィドラーTommy Jackson等。

1.当初、私が入り込む邪魔をしていたモゴモゴとした南部人らしいヴォーカルも痘痕も笑窪、Kenny Moloneのドラムと切れのいいアコギ・カッティングに導き出されるファンキーなリズムでちょっぴりスワンプ臭も漂わせる素晴らしいこのカントリー・ロックを聴かされれば文句も出ない。WillieやWaylonもカバーしているが素朴なヴォーカルのこのバージョンには及ばない。
2.アルバム・タイトルにもなっている、何をやっても上手くいかない惨めな男が自らを卑下したようなこの曲はTom T.、Waylonに加えて、Jerry Jeff Walkerも「Good Night For Singin'」(乞CD化!)で取り上げているカントリーワルツ。
3.後にDavid Allan Coeが取り上げ、自分のテーマ・ソングのような扱い方までしてしまった、無骨な一言一言搾り出すようなヴォーカルが素晴らしい曲。
6. 列車の走りを思わせるなスネアのロールとギターのカッティングが印象的なアップ・テンポなカントリー・ナンバー。
11.最後に残った1ドル札を握り締めた男の悲哀を歌ったメロディアスな曲。時折調子っぱずれにも聴こえる温かい語り口で、人生のどん底を唄いながらもユーモラスにさえ聴こえる。
12.、13.は96年のCD化にあたって収録された未発表のボーナス・トラック。後者はKristoffersonに取り上げられている。

Billyは今年の3月にTexasのサルーンで発砲事件を起こし一人の男に大怪我させているが、保釈金を払ってリリースされている。本人の弁によると脅されている状態での正当防衛との事だが、目撃者の証言によると脅していたのはBillyのようだ。老いてなおさかんというか、そんなところでOutlaw魂発揮してどうするんだ・・・?

彼は80年代後半よりギタリストである実の息子、Eddyを引き連れてよりハードなホンキートンクをならし続けていたが、2000年にEddyがオーバードーズで死去。その夜ギグの入っていたBilly Joe。姿を現さない息子の穴を埋めたのは盟友Willie Neslonだった。

このアルバムのライナーより引用を・・・
"If you can't love him, put the damned album in the rack and keep your money and PISS ON YOU!"    -Tom T. Hall

アウトローとかプログレッシブ・カントリーの創世記の一枚としてだけではなく、そんな枠を超えた純粋なアメリカンSSWの名盤として味わいたい一品。



「Black Rose」


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Jerry Douglas & Peter Rowan 「Yonder」 [Today's Album]

「Jerry Douglas & Peter Rowan / Yonder」 (1996)
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Yonder

Yonder

  • アーティスト: Peter Rowan & Jerry Douglas
  • 出版社/メーカー: Sugar Hill
  • 発売日: 1996/04/23
  • メディア: CD

 1. Wayside Tavern
 2. Cannonball Blues
 3. Lullaby of The Leaves
 4. Tuck Away My Lonsome Blues
 5. Texas Rangers
 6. Can't Get There From Here
 7. Triburations
 8. When You And I Were Young, Maggie
 9. Girl In The Blue Velvet Band
10. Chicka-Li-Lee-o
11. You Taught Me How To Lose
12. Where Angels Weep

ブルーグラス界にNO.1ドブロ・プレーヤーとして君臨するJerry Douglas。
Country Gentlemenに見出されてのデビュー以来、数多くのセッションをこなし、自らのリード・アルバム「Fluxology」も79年にリリース。その後はソロにグループに、そしてCountry, Bluegrass, Rockミュージシャンのあらゆるアルバムに参加してその卓越したドブロ・テクニックを披露してきた必殺の仕事人。皆さんも彼の参加しているアルバムを一枚ぐらいは知らないうちに所有しているのではないのでしょうか。

一方のPeter RowanはBill MonroeのBluegrass Boys出身という血統書付きでありながらグループ脱退後は、David Grismanとの前衛的なブルーグラス・ユニットEarth Opera、サイケ・カントリー・ロック・バンドのSea Train、Jerry Garcia, David Grisman, Vassar Clements等とのOld And In The Way、同じくDavidにClarence White, Bill Keith, Richard Green等を加えたMuleskinner、Chris、Lorin等自分の兄弟とのThe Rowans、Tex-Mex、SSW色が強いソロ・アルバムなどと捕らえどころのない多岐に渡る活動が異色なアーティスト。

Jerryのソロ・アルバム自体、一般のBluegrassのアルバムに比べると落ち着いた雰囲気を持っている物が多いのだが、本作はPeterとのコラボによってより歌物感が強まり、SSWファンやブルーグラスのチャカチャカした能天気さ(そうじゃないのもいっぱいあるんだけど・・・)が苦手な人にもにも充分アピールできる上質のアコースティック・アルバムに仕上がっている。

基本的にPeterのギター、マンドリンにJerryのドブロ、ワイゼンボーンという非常にシンプルな構成。2.,5.,8.,9.,10.がトラディショナルで、3.とミシシッピの"Blue Yodeler"-Jimmie Rodgersで知られる4.が他人の作品(といってもこれらもトラッドといえるような古い曲)、残りの1.,6.,11.,12.がPeter自身のペンによる物だ。

Peterが甲高い声で歌い上げてしまうブルーグラスは昔はちょっと苦手だったが、本作ではいい感じに力が抜けていて優しいヴォーカルが素晴らしい。機械的且つ人工的なエフェクトは全て排除してリバーブもノイマンのチューブ・マイクで捕らえられた部屋鳴りのみの非常に耳に心地よいサウンド。
4.や8.でのJerryによる透き通る川の流れのように流麗なイントロには心が洗われるようだ。
泥臭くも荘厳なドブロの魅力が味わえるアルバム。

もっとJerryの高度なテクニックを誇っていながら嫌味のないドブロ・ギターを堪能したい人には92年の「Slide Rule」あたりから入るとよろしいのでは・・・。

このアルバムを聴くと思い出すのが、私が発病してから疎遠になっている心底音楽を語り合えた数少ない友人と出かけた本作リリース後に実現したこの組み合わせでの来日公演。
今思うとこの2人が来たなんて奇跡に近いと思うのだが・・・。

その会場で故 高田渡さんに遭遇。渡さんは私を見つけると酔ってきて、じゃない依って来て、「凄いよぉ、(スライド・バーが)グイッと来てフレット上でピタッと止まっているよぉっ!」と子供のように興奮して人懐っこい笑顔で酒臭い息を吹きかけながら話していた・・・。

ご冥福をお祈りします。合掌

因みにライブの演奏も勿論素晴らしかったです。


2人の共演映像は酷い物しかありませんでしたので・・・。

「A Man Of Constant Sorrow / Peter Rowan」

「We Hide & Sick / Jerry Douglas」
どうしてもHead-Banging Mandolin-ManのSam Bushに目が行ってしまいます・・・。Stuart DuncanがフィドルでMark O'Connorが・・・ギター!?



「Patrick Meets the Brickbats / Jerry Douglas Band」 



「Little Meddley / Jerry Douglas」 Little Marthaが聴けます!




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The Dependables 「Klatu Berrada Niktu」 [Today's Album]

昨日は義母の三回忌法要でした。気圧の谷間のような荒れ模様の天気でかなり調子が悪かったですが、義母はとても穏やかで優しく、自分よりも他人の喜びを優先する聖人のような人だったので片道2時間かかる運転もがんばってこなしてきました。しかし、何故か義母の3人の娘達は誰一人としてその穏やかさを全く受け継いでいないんですよね・・・。

今秋の大物リリースはまだまだありましたが、とりあえずまたランダムなアルバム紹介に戻らさせていただきます。

「The Dependables / Klatu Berrada Niktu」 (1971)
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Klatu Berrada Nitku

Klatu Berrada Nitku

  • アーティスト: Dependables
  • 出版社/メーカー: Revola
  • 発売日: 2003/09/22
  • メディア: CD


① Loving You More
② Who Could You Get (To Love You)
③ Give Me Love
④ Standing Here Alone
⑤ Don't Blame On Me
⑥ I Don't Know
⑦ Get It, Get It
⑧ Baby Don't Cry
⑨ To Do Me Right
⑩ I've Got No Time
⑪ I Take What I Want

まだCD化されているものが少なくてSSWやSwamp系のアナログを買い漁っていた頃、未開拓のアーティストを選ぶ基準はジャケット写真やレーベルといったものより、プロデューサー買いや参加ミュージシャン買いの方が高い確率で当りが多かった。
このアルバムを手にした理由はドラムスにChuck Blackwell、そして当時バリバリのベーシストであった私の師Carl Radleが参加しているのを見つけたから。
聞いたことないアーティスト名に解読不能なタイトルだったがCarl参加で即購入。

今年になってから、こいつがCD化になったを見つけて小躍りして注文したのだけどリリースされたのはけっこう前。オリジナルはUnited ArtistだったがUKのRevolaとUSのSound City Musicというレーベルから再発。ここで"Remastered"の文字に騙されてUKのRevola盤をチョイスしたのだがこれが大間違い。
アナログ盤はアナログといえども、「ここまでこもった音は聴いたことがねえよ!」っていうぐらいモコモコしていた。それをリマスターに関わった本人達も気にしていたのかどうか、これでもかって言うぐらい高音域を強調したマスタリングで耳が痛い。最近こんなのばっかり・・・。どなたかUS盤聴いた方いっらっしゃいます?リポートください!

中身の方は流石Carl Radle参加、と言えるぐらい素晴らしいB級スワンプ!(?)

The DependablesというのはThe MilleniumやSagitariusに在籍していたJoey Stecが、Ralph Scalaが在籍していたBlues Magoos(あのEric Justin Kazも在籍)のレコーディングに参加したことから始まったJoeyとRalphのデュオかと思っていたのだが、どうやら

Ralph L. Scala (Vo, Piano, Organ)
Joey Stec (Guitar)
Ron Gilbert (Bass) Blues Magoosのメンバー
Claudia Lennear (Vo) Shelter People!
Chuck Blackwell (Dr) Taj Mahal, Leon Russell等と活動

が正式(?)なグループ・メンバーで、そこに

Carl Radle (Bass) Derek & The Dominos, Mad Dogs & English Men
Randy Nayler (Key) Randy Meisnerが在籍していたThe Poor
Tom Brumley (Pedal Steel) Buck OwensのBuckaroos等

等がゲスト参加、というのがクレジットによると正しいようだ。

Boyer & TaltonのCowboyのサウンドにホーンを加えてリズムも少々重く、ヴォーカルもBoyer & Taltonの情けなさと切なさを兼ね備えつつ、よりソウルフルにした感じ。このメンツなら当然だがソウルフルでありながら、カントリー色、フォーク色、ヒッピー色を兼ね備えたレイドバック・サウンドが聴ける。
①、②、⑥、⑧は裏返りそうなRalphのヴォーカルにホーンやClaudiaの声が絡みつく元気の良いファンキーなソウル・ナンバー
④Dominosの「Keep On Growin'」を思わせる一番お気に入りの曲。Joeyのギターには強烈な個性は感じられないしソロらしいソロも取らないが、悪くはないしわりとオブリ弾きっぱなのだがヴォーカルの邪魔もしていない。
⑤Tom Brumleyのペダル・スティールをフューチャーしたカントリー・ソング。
⑦はIke Turner作、泥沼の中を這いずっている様なスワンプ・サウンド炸裂。Claudiaのソウルフルなソロ・パートも聴ける。
⑩アルバム中最もブルージーなナンバー。Joeyのギターが長めに聴ける。良い音は出しているがやはりリード・ギタリストではないかな?という印象。これもB級スワンプの醍醐味ということで。
⑪多くのアーティストにカバーされているIsaac Hayes作のソウル・ナンバー。ArethaやSam & Daveを超える名唱とは言いません。が、スピード感だけは負けていない。

アルバム一枚で消えたグループだが、スワンプ・ファンにとっては抑えといて損はない入手容易盤。
どうしても紙ジャケでのCD化にばかり目が行ってしまうが、こんなの出てたの!?っていう再発盤、けっこうありますね・・・。しかも安価で・・・。


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Eddie Vedder 「Into The Wild」 [Today's Album]

「Into The Wild / Eddie Vedder」 (2007)
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Into the Wild

Into the Wild

  • アーティスト: Eddie Vedder
  • 出版社/メーカー: RCA
  • 発売日: 2007/09/18
  • メディア: CD

① Setting Fouth
② No Ceiling
③ Far Behind
④ Rise
⑤ Long Nights
⑥ Tuolumne
⑦ Hard Sun
⑧ Society
⑨ The Wolf
⑩ End Of The Road
⑪ Guaranteed

ひっそりとリリースされた超大物。

この人に対してはBruce Springsteenに持っている感触に近い何かを感じている。勿論音楽のタイプは全然違うし、片やRock界のスーパースターに奉り挙げられ、片やいつも眉間にしわ寄せた陰気臭いグランジ、オルタナ・ムーヴメントの申し子、と世間の評価も両極端なのではと思うのだが、言葉では上手く言い表せないけど何か共通するカリスマ性がある。
「この人がいるのならこの世もまだまだ捨てたもんじゃない。」って思えるような何かが・・・。

「Dead Man Walking」で以前にも縁があったSean Pennが監督で、若手注目株のEmile Hirschを主演に起用した映画のサウンド・トラック。以前からバラ売りはあったんだけど、サントラとは言え初のソロ・フル・アルバムという事になるのではないだろうか。

結論から言いますと1分台の短い曲が多いかと思えば7分台の曲もあったりと、当たり前ながら映像を見ながら聴くとイマジネーションを刺激されるような曲が並び、彼、又はPearl Jamのコアなファン以外には薦められません。
しかし私はここにPearl Jamの未来を見出すことが出来たような気がする。オルタナ・バンドが次々失速、自滅していく中、単なるムーヴメント内の一バンドではなく本物のロック・バンドであることを既に証明しているスマート集団Pearl Jamに対してはこんな危惧も必要ないのかもしれないが・・・。

このアルバムでは殆ど全ての楽器をEddie一人で手がけており、⑦、⑧を除いて全て自作。
勿論、今までのPearl Jamのサウンドからも時折ルーツ・ミュージックへの愛情は感じられはしたのだが、更にそのルーツ嗜好を推し進めたサウンドになっている。

オープニングの①、バンジョーも聴かれる②、かなり重めの③等は"アコースティックなPearl Jam"といった感じで、今までのファンが聴いてもそれほど違和感は感じないであろう。
④マンドリンの弾き語り。
⑦シングルになったGordon Peterson(よく知りません)という人の曲。荘厳ささえ感じられるサビのコーラス、ラストの轟音ギターが聴き物なヘヴィーなフォーク・ロック。
⑪ギター一本の弾き語りだが非常に表現力のあるヴォーカルが聴ける。

映画を見るまではどれほどSean Pennの描きたかった世界を表しているかという点では評価が出来ないが、音楽面のみでも以前から思っていた通りこの人が深く太い根を持っていたことを再確認できたという点では個人的に価値のあったアルバム。



「Hard Sun」
「Guaranteed」
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Ryan Bingham 「Mescalito」 [Today's Album]

「Mescalito / Ryan Bingham」 (2007)
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Mescalito

Mescalito

  • アーティスト: Ryan Bingham
  • 出版社/メーカー: Lost Highway
  • 発売日: 2007/10/02
  • メディア: CD

①Southside Of Heaven
②The Other Side
③Bread And Water
④Don't Wait For Me
⑤Boracho Station
⑥Sunshine
⑦Ghost Of Travelin' Jones
⑧Hard Times
⑨Dollar A Day
⑩Take It Easy Mama
⑪Long Way From Georgia
⑫Ever Wonder Why
⑬Sunrise
⑭For What It's Worth

現在ではネイテヴ・アメリカン・チャーチでのみ使用が許されている幻覚剤サボテンのペヨーテ。そのペヨーテを自省のために使用した時のみ感知できる境地を"Mescalito"と呼ぶらしい・・・。

唯一メジャー傘下で大物ルーツ系アーティストを多数抱えているLost Highwayから期待の新人。

今年の新人王決定!

これ以前に未聴ながら自主盤が2枚ほどあるようだが、今年メジャー・デビューだから権利はあるんですよね?ハゲた新人王のペドロイアさん?

いわゆるアメリカーナ系のSSW。まだ25歳ということだが、とてつもない奥行きが感じられる。その唄い回しにはDylanの影もちらつき、Woody Guthrieが持っていた放浪、Hank Williamsの孤高といったイメージが、繊細さも感じられる酒焼けした歌声から滲み出る摩訶不思議な若者。かといって彼の音楽は単なる古臭いフォークとかカントリーの焼き直しではない。Mark Ford(ex Blackcrows)のプロデュースとバックのThe Dead Horsesによって一体感のあるスケールのでかいルーツ・ロック・サウンドを聴かせ、聴く物を圧倒する。

Ryan BinghamはTexasの非常に貧しい牧場で育ち、経営に失敗した両親と共に荷物を解く間もなく町から町へと移り住む幼少期を過ごす。10代中ごろには牧童やブル・ライダーとしてロデオ競技で自活し始める。
幼少時からバーを経営する叔父の影響で音楽には慣れ親しんできたが、本格的にめり込んだのは17歳の時、隣人であったマリアッチ・マン宅に入り浸り、ウイスキーを酌み交わしながら(合法か!?)ギターを伝授されてからだった。
これらのHardな体験が彼の書く曲に投影されているのは間違いない。

Mark Fordも随所で素晴らしいサポートを聴かせているが、本人もかなりインパクトのある上手さより豪快さが目立つスライドを多くの曲で聴かせている。
①BluegrassやWoody Guthrie、Jack Elliottのプレイで聴かれる伝統的なフラット・ピック奏法とハーモニカのイントロにドラムのロールと心地良い歪みのエレキのオブリやマンドリンが重なる。ラストはアップテンポでバンジョーも・・・・。掴みとしては充分すぎるフォーク・ロック。
②アコギの弾き語りかと思いきや、The Bandのような粘り気のあるリズム隊にバンジョーやアコギによるスライドも絡めてくる。
③重たいリズムに豪快なスライドとバンジョーが圧巻なイントロ。リズムの裏を取るハンド・クラップにより勢いを増して、居場所を追われた孤独感が暴走する・・・。只者ではない。
④シンプルなバックに乗せて切々と訴えかけるスローな曲。ドブロを弾いているMike StarrってAlice In Chainsの人じゃないですよね?
⑤名も無きマリアッチ・マン直伝の哀愁のスパニッシュ調弾き語り。
⑥アコギのシンプルなリフでグイグイ引っ張るヘヴィーな曲だ。ブリッジ部ではスライドとフィドルで畳み込む。
⑦ロー・レンジでのTerry Allenのピアノが効果的な重たいエイト・ビートのアコースティック・ブギー。バンジョー、セロ、スライドと様々な音が聴かれるが決して煩くない。
⑧これもThe Bandを彷彿とさせるようなタメの効いたリズムにMark Fordのスライドが唸る強烈なロック・ナンバー。虐げられ、打ちのめされてきたRyanの“Hard Times”がここに凝縮。
⑩ファンキーなギター・カッティングに意表を衝かれるハードなナンバー。

悪い曲は無いのだが言わせてもらえば曲が多すぎ。2~3曲減らしてもらった方がグッとアルバムの密度も増すと思うのだけど・・・。私も年かな・・・。

Lost Highwayがどこまで我慢して使ってくれるかは微妙だが、このような逸材に出会える喜びを与えてくれたことには感謝したい。25歳の若者がこんな曲を書き、歌うことが出来るのに十以上年上の私には何があるのだろうか・・・?凄い良いアルバムだがなんか落ち込むなあ・・・。

過酷な体験がもたらした感情の吐露と自戒の叫びが聴く者を"Mescalito"へと誘う!


Lost Highwayのプロモーション用その1
「Southside Of Heaven」


その2「Bread and Water」


その3「Ghost Of Travelin' Jones」


その4「Take It Easy Mama~Sunshine」


曲名がわかりません!私にはCharlie Danielsの「Sweet Louisiana」をカバーしているように聴こえますが・・・。わかる方いらっしゃったらご一報を願います。


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Shooter Jenningsその2 「The Wolf」 [Today's Album]

あぁ~いくらWSとはいえ6回は投げさせてやってよフランコナ!2点ぐらい取られるまでは・・・。自分で2点取ってんだからさあ。ランナーためたのは悪いんだけど・・・。
このままフェンウェイに帰らないで終わっちゃうのも味気ないなあ。

「The Wolf / Shooter Jennings」 (2007)
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The Wolf

The Wolf

  • アーティスト: Shooter Jennings
  • 出版社/メーカー: Universal South
  • 発売日: 2007/10/23
  • メディア: CD

①This Ol Wheel
②Tangled Up Roses
③Walk Of Life
④Old Friend
⑤Slow Train
⑥Time Management 101
⑦Concrete Cowboys
⑧Higher
⑨Blood From Stone
⑩Last Time I Let You Down
⑪She Lives In Color
⑫The Wolf
⑬A Matter Of Time

Bossショックと低髄で沈む小脳に「カーツッ!」を入れたのは大沢親分や3000本安打男ではなくこの男だった。
過去記事はこちら→Shooter Jennings

前作「Electric Rodeo」から約一年半ぶりのサード・アルバム。

勿論期待していたのだがこちらは期待を上回る出来。
まず彼のロック・サイドが楽しめるのが・・・
ゲストのCajun Country Rockの鬼才Doug Kershawの扇情的なフィドル、早口でまくし立てるShooter、エンディングで絡むLeroyのリード・ギター。文句なしのヘヴィなカントリー・サザン・ロック①、
キャッチーなメロディを持ったストレートなアメリカン・ロックの②、こういう曲もできるのが彼らの強み。もちろんヒットなんか狙っていないのだろうが・・・。Bossに聴かせてやりたい。
Dire Straitsのヒット曲を重厚なカントリー・ロックに料理してのけた手腕に脱帽の③、
またも聴けたShooter流Swamp-Rock⑧、
ゴスペルっぽいコーラスを配した感動的な⑨、
オリジナルより重さを増して全盛期のLynyrd SkynyrdのようなTed Russell Kamp作の⑩。

カントリー・サイドとしてはどの曲でも父親譲りの深い声が自在に舞う。
ミディアム・テンポで間奏のホーンが郷愁を誘う④。
The Oak Ridge Boysによる男臭く分厚いコーラスのリフレイン、父Waylonのアウトロー・カントリー路線を更に過激に推し進めた⑤。
ホーンによるイントロにびっくり、しかし始まってみればお手のもんのホンキー・トンク・ナンバー⑥、このリズム感と深みのあるヴォーカル、最近のいわゆるチャート物カントリー・シンガーたち、良く聴け!
泣きのスロー・カントリーの⑦、
メキシコ調のリズムとホーンは新しい試みだが違和感無しの⑪、と良い曲尽くし。

強いて言えば⑫、⑬あたりを除いて1,2作目みたい10~11曲ぐらいでサクッと終わらせて欲しかった。あれ?⑫はタイトル曲か・・・。悪い曲じゃないんだけど後半、ダラっとしたテンポの曲が並ぶんで・・・・。

三枚目で大手Universalに居残っているのはオヤジの七光りなのかもしれない。しかしそれを逆手に取りやりたい放題の確信犯Shooter、こんな時代にこんな小汚い奴等がメジャー・レーベルでいなたいサウンドを鳴らし続けているのは痛快!

普通の人達には野蛮で低脳な人間の音楽に聴こえるのかもしれない。でもなぜかこの手の音楽を好む人達のブログやコメントはとてもユーモアがあり、表現力に富んでいて詩的で知的なものが多い。私を除いて・・・。



「Walk Of Life」 PV 


「Walk Of Life」
 Live



「Old Friend」


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