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Mac Gayden 「Skyboat」 [Today's Album]

最近身体の痛みが強いんです・・・。その上所要であっちこっちでかけたりと・・・。
でも明日はゆっくりスーパーボウル観戦ができそうだ。またも?な作品をリリースして「やっちまったなぁっ!」感が強いあのお方も登場するようですし・・・。




「Skyboat」 / Mac Gayden (1976)
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Skyboat/Hymn to the Seeker

Skyboat/Hymn to the Seeker

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Big Beat UK
  • 発売日: 2008/09/16
  • メディア: CD


 1. Morning Glory
 2. Gettysburg
 3. Southwind
 4. Everlasting Love
 5. Freedom Drum
 6. Don't Look Back
 7. It's All Right
 8. Sweet Serenity
 9. Apalachian Fever
10. Waterboy
11. Diamond Mandara
12. Sunfall (Bonus)

Produced By Buzz Cason & Mac Gayden


カントリー・ロック・ファンにはArea Code 615、Barefoot Jerryのメンバーとして知られているMac Gayden。彼の名前を知らない人でも、70年代のアメリカン・ロックが好きな人なら、知らずうちに彼の特徴的なギター・プレーを耳にしているはずである。そう、J.J.Caleの「Crazy Mama」で聴かれる“アレ”である。

彼が最初に注目を浴びたのはBuzz CasonとのコンビでNashvilleのソングライターとしてである。67年にRobert Knightがアメリカでヒットさせ、続いてLove AffairというグループのカバーがイギリスでNO.1ヒットとなった名曲、「Everlasting Love」がきっかけ。因みにこの曲は後にGloria Estefan、U2もカバーしている。Love Affairにいたっては、続くシングルとしても、同じくBuzz CasonとMac Gaydenのペンによる「Rainbow Valley」を取り上げ5位を記録しているのでMac Gaydenの名は本国よりもまずイギリスで広く知られるようになったようだ。

その後ギタリストとしても頭角を表し、同じくNashvilleでスタジオ・ミュージシャンとして活躍していたWayne Moss、Charlie McCoy、Kenneth Buttrey等とつるみ始め、その一団は"Nashville Cats"などと呼ばれ数多くのアーティストのレコーディングに参加している。クレジットはないので彼の残したテイクが使われたかどうかは定かではないが、彼らと共にDylanのBlonde On Blondeのセッション現場にいたのは間違いないようである。
その他にMac GaydenのプレーはKris Kristofferson、Simon & Garfunkle、Steve Young、Tim Hardin、John Hiatt、Tracy Nelson、Hoyt Axton等のアルバムで聴くことができるが、独創的な奏法でセッション・ギタリストしての地位をも確立したのは71年のJ.J. Caleの「Naturally」ではないのだろうか。このアルバムの「Crazy Mama」で聴かれるスライド・バーとワウ・ペダルを絶妙のタイミングで同時に操ることにより得られたサウンドはシンプルなフレーズながら、楽曲のもつイメージを決定付ける大きな要素となっているためJ.J.本人によるものだと思っていた人も多かったらしい。

"Nashville Cats"の面々は、それぞれのセッションと平行してスタジオ・ミュージシャン集団がバンドとしてレコーディングする先駆けとなったスーパー・バンドArea Code 615として2枚のアルバムを残し、Area Code 615がBarefoot Jerryと変形するのに従い1st「Southern Delight」に参加。Barefoot Jerryはこの後も流動的にメンバーを入れ替え活動を続けるが、言いだしっぺではないかと思われるMac Gaydenはこの一枚の参加に留まり、ソロ・アーティストとしての活動を始める。

73年に初のソロ・アルバム「McGavock」をかのBruce JohnstonのプロデュースでUKオンリーのリリース(恥ながら未聴)。その後ABCと契約して76年にリリースしたのがこの「Skyboart」と「Hymn To The Seeker」の2作だ。因みに今回のリイシュー盤は2 in 1ではなくCD2枚組。

このアルバムにはいわゆるNashville Catsの面々は参加していないためか、カントリー色は希薄。スタジオ・ミュージシャンのアルバムにありがちなちょっとスッキリした感触の音で、南部ミュージック・ファンにも少し物足りないものかも知れないが、彼がそのギター・プレーや曲作りにおいてNashvilleのカントリーよりはサザン・ソウルに影響を受けているということは明白に聴いて取れる。其の辺りの嗜好の違いが様々な音楽を吸収していながらカントリー・ロックにこだわっていたBarefoot Jerryを抜けた要因なのだろうか。

1. 「Morning Glory」は典型的なサザン・ソウル・スタイルを持った曲調。イントロから聴けるMac Gaydenのトレード・マークともいえるスライド・ワウ奏法に深めのリバーブがかけられているので不思議な雰囲気となっている。間奏部、エンディングでは意志を持ち何か言葉を語っているかのようにも聴こえる。この曲は「Nirvana Blues」でも再演されている。
2. 「Gettysburg」はバンジョーの弾き語り風。他のNashville Catsの面々同様、彼も複数の楽器を弾きこなすマルチ・ミュージシャンであったのだ。
3. 「Southwind」は透明感溢れるアコースティック・サウンドと不器用ながらも誠実さが溢れるファルセット・ヴォイスが田舎の朝の空気を運んでくるような清清しい曲。管楽器の音色も効果的。9. 「Apalachian Fever」、10. 「Waterboy」も同様の雰囲気を持った曲だが、9. ではセロが効果的に使われており、10. ではロングトーンを自在に操るスライド・ワウが圧巻。
4. 「Everlasting Love」、セルフ・カバーとなったこの名曲でも勿論スライド・ワウ・がフューチャーされている。ストリングスやコーラス非常にキャッチーなアレンジだがサックスと掛け合いで聴かれるスライド・ワウだけが異様な泥臭さを醸し出している。
5. 「Freedom Drum」、せっかくハードにロックしている曲で、彼のスライドも存分に聴けるのにコーラスやストリングスがオーバーなのが惜しい。
6. 「Don't Look Back」7. 「It's All Right」もサザン・ソウルらしい曲調だが、ヴォーカルの弱さがちょっと残念。7. の押弦からスライドに雪崩れ込むギター・ソロは素晴らしい。
11. 「Diamond Mandara」、この曲のタイトルや95年に出されたアルバムのタイトルからすると、彼は仏教に傾倒していたのだろうか。タイトルどおり、東洋をイメージさせるちょっと気持ち悪い音使いで始まるがその後何故か爽やかに展開する曲で10分を超える大作。ちょっと眠い。

このアルバムと「Hymn To Seeker」は、カントリーにはこだわっていなかったGaydenと飽くまでもカントリーとして売ろうとしたABCの思惑がまったく噛み合わず商業的には大失敗。その結果、95年の「Nirvana Blues」まで彼はソロ活動を再開することがなかった。
確かに中途半端な路線と、下手くそでも強烈な個性があったJesse DavisやDonnie Fritts等と比べるとあまり特徴のないGayden自身のヴォーカルが弱さは否めないが、数々のセッション・ワークよりも彼が編み出したギター奏法を充分に堪能できることを考慮すれば、先駆者のソロ・ワークとしてもっと認知されるべきであったのに、後の評価も不当に低いような気がする。

余談だがBarefoot JerryのCinderellaスタジオで録音していたSteve Millerは(恐らく「NO.5」録音時でしょう)、そこでMac Gaydenからスライド・ワウ奏法の手ほどきを受け「The Joker」で披露。ここで聴かれるSteve Millerのフレーズはまったく迫力に欠け、本家の足の指元にも及ばないが、却ってその効果音的なしょぼいサウンドが「The Joker」という楽曲にマッチし大ヒットを記録した。おい、Steve Millerっ!Gaydenに然るべき分け前を払ったのか!?この泥棒猫っ!

さて、「Hymn To The Seeker」の方は・・・。
力尽きたのでもう辞めて明日の観戦に備えます。



「Morning Glory」

「“アレ”」
 


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The Steeldrivers [Today's Album]

あけましておめでとうございます。 

相変わらずのニート生活にもかかわらず、例の陰謀との闘いのため、去年から突発的に忙しくなることがあります。年が明けてからも早速一つ大仕事をこなしてきました。もうしばらく予断を許さない戦況が続きそうです。
入院する前に2008年度のBest Albumは発表するつもりなので楽しみに(?)お待ちください。まずは書きかけだったものから・・・。

「The Steeldrivers」 / The Steeldrivers (2008)
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The Steeldrivers

The Steeldrivers

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Rounder
  • 発売日: 2008/01/15
  • メディア: CD


 1. Blue Side Of The Mountain
 2. Drinkin' Hard Whiskey
 3. Midnight Train To Memphis
 4. Midnight Tears
 5. If You Can't Be Good, Be Gone
 6. If It Hadn't Be For Love
 7. Hear The Willon Cry
 8. Sticks That Made Thunder
 9. East Kentucky Home
10. To Be With You Again
11. Heaven Sent 

Produced by Luke Wooten and The Steeldrivers

Bluegrassも多様化してきているようで、以前からフュージョンやジャズとクロスオーバーしているアーティストはいたし、最近ではBluegrassをルーツとするJam Bandなどもいる。 
演奏もコーラスワークもあまりカッチリしているモダンBluegrassバンドは、特に気になるリード・プレーヤーがいない場合はパスしていたが、Mike Hendersonの新しいバンドとなれば話は別で聴かないわけにはいかない。

Mike Hendesonといえば、同姓同名の黒人ブルースマンもいるが、こちらはカントリー・アーティストとしてRCAにデビュー・アルバム(94)を残すが、その後直ぐにメジャーからは追放され、同じくメジャー落ちしたKevin Welch、Kieran Kane等が立ち上げたDead Reckoningレーベルに合流、名作「Edge of Night」(96)を発表。これはカントリー・アルバムであったが、Hendersonのギター・フレージング、スライドの音色はもろブルースのそれであった。
その後Bluebloodsを率いググッとBluesに傾倒、強烈なBluesアルバム「First Blood」(96)、「Thicker Than Water」(98)の2枚を発表。全編に渡りダーティーなヴォーカル、ギター・プレーがフューチャーされており、特にそのスライド奏法の凶暴さは凄まじく、恐らくHound Dog Taylor辺りから多大な影響を受けていると思われる。
ソングライターとしても評価は高く、Dixie ChicksからFabulous T-Birds、Solomon Burkeと多方面に楽曲を提供している。
その後なりを潜めていたが、楽器をマンドリンに持ち替え、Bluegrassバンド、The Steeldriversの一員としてシーンに戻ってきたわけだ。

他のメンバーは、同じくDead ReckonersであったTammy Rogers(Fiddle)、Bluegrass界ではよく目にするセッション・プレーヤーのRichard Bailey(Banjo)、カントリー界で数多くのセッションをこなしてきたベテランMike Fleming(Bass)、そしてChris Stapleton(Guitar)という人。殆どの曲がMikeとChrisの共作であるが、盟友Kevin Welchが曲作りに参加しているものもある。 

予想通り1曲目の[Blue Side Of The Mountain]からただのBluegrassではない。
ドラムレスでありながら非常に重心の低いリズムに乗って、High-LonesomeというBluegrassの常識を覆す、非常に野太く、土の臭いを感じさせるヴォーカルが聴こえてくる。ある意味Levon Helmの「Dirt Firmer」を聴いた時と同質の衝撃を受けた。そう、またもスピーカーの向こうから泥を投げつけられたのである。あまりの勢いに避けきれずに泥だらけとなるが、泥の臭いは大好きなので泥まみれでにんまり。流石Henderson先生!んっ?ヴォーカルはMike Hendersonではない?・・・Chris Stapleton?ソングライターとしてカントリー・シンガーに楽曲を提供した実績はあるらしいが、まったく聞いたことがない名前。しかし、ザラザラと目の粗い質感でソウルフルな歌声の持ち主で、Henderson先生を押しのけてリードヴォーカルの座に落ち着いているだけあり、Chrisの歌声が他のBluegrassバンドと一線を画するThe Steeldriversの個性を決定付けていると言っても過言ではない。蛇足ながらカントリー、ロック界と多くのセッションをこなしてきたTammyおば様のこの曲でのプレイもエモーショナルでインパクト大。
2. [Drinkin' Hard Whiskey]のような典型的Bluegrassの展開を持った曲でもChrisの声質と歌唱ほうにより斬新に響く。
3.[Midnight Train To Memphis] 非常に重いサウンドで、イントロやブリッジ部のバンジョーのフレーズがブルージーで生々しい演奏が聴かれる。
6. [If It Hadn't Be For Love] これも既成のBluegrassではありえない非常にソウルフルなChrisのヴォーカルが印象的。通常、Bluegrassでは似通ったかん高い声質での完璧なハーモニーが多いが、Chris、Tammy、Mike Flemingとまったく声質の違う3人でのハーモニーはそれぞれのキャラクターが際立っていて面白い。

スーパー・プレーヤーはいないが、楽曲を表現するために5人が時には離れ、時には固まりとなるソウルフルなプレーに徹しており、小奇麗な白人のためのイージー・リスニングと化している一部のBluegrassバンドに逆行するどす黒い貧乏ブルーグラスを聴かせる名盤。私は彼らの音楽を"Black-Bluegrass"と名づける!いや、縮めてBlack-Grassはどう?

しかし、Mike Hendersonのエレキ・ギターとヴォーカルはもう聴けないのだろうか?
もともとマンドリニストとして音楽キャリアをスタートさせたとは言え、何故、Mike Henderson先生ともあろうお人がヴォーカルも一切取らずにマンドリンというポジションに甘んじているのだろうか?平行してソロ活動をしないのであれば、いっそのことドラムも加入させ、曲によってはエレキ・ギターを弾きまくり大いにBluegrassの規制枠をはみ出してみてはどうだろうかHenderson先生。



[Blue Side Of The Mountain]
Hendersonは何故かドブロを演奏しているが、その奏法はまったくブルーグラスのものではない!

 

[If It Hadn't Be For Love]

[Can You Run]

 


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Band Of Heathens [Today's Album]

リリース直後から記事作成に着手していたのですが、思いのほか時間がかかってしまい、期せずしてTex-Machineさんの同ネタと前後してしまいました。カンニングはしていないですよ!


 

「The Band of Heathens」 / The Band Of Heathens
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The Band of Heathens

The Band of Heathens

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: BOH
  • 発売日: 2008/05/20
  • メディア: CD

 

90年代後半からDAWによるデジタル・レコーディングというものが手ごろになり、個人レベルでも少ない投資で高音質のCDが作れるようになったため、アーティスト側の売り方も変わってきたように思える。

メジャー・レーベルで知名度を得た連中は、マイナーや自主制作でもある程度の売り上げを見込めるため、メジャーにこだわる必要がなくなり、新人でもメジャーの制約を嫌い、最初から自主制作やインディペントでの活動を選ぶ者も少なくない。勿論、DAWの普及には「糞みたいな連中も簡単にCDをリリースできちゃう。」という弊害もあるのだが。 
そんな状況の中、聴く側のほうにも、自主制作やインディペンデントで活動するミュージシャンの中から自分の好みの物を発掘するためには今までとは違った努力が要求されるようになってきた。今回紹介するようなアーティストのように、日本のメディアでは紹介されることがない素晴らしいアーティストが数多く存在しているからだ。自主制作アーティストのCD売買が行われている“CD BABY”というものもDAWがなければ決して普及しなかったシステムのように思える。


そんな自主制作レベルで活動を始めたルーツ・ロック・アーティストの中でも、とりわけクオリティの高い演奏力と作曲能力を兼ね備えているのがこのBand Of Heathens。
メンバー各々がソロ作もリリースしている才能溢れるソングライターという点では、同じTexasのResentmentsに共通しているが、Resentmentsの面々が強烈な個性を発散させているのに比べてBOHのメンツは其々がそれほどアクの強さ(恐らく人間性も?)を持ち合わせておらず、アクシデント的に発生したわりには、3人の音楽性、方向性が多くの部分で共通しており、其々の声もResentmentsのメンツみたいに特異体質声ではないので、ハーモニーでもぶつからず、バンドとしてのまとまりは上・・・、なんて言っちゃっていいですかね?
現在はEd Jurdi、Gordy Quist、Colin Brooksという三頭制を布いているが、その成り立ちの詳細は現代アメリカーナ&巨乳評論家、buppy氏のブログ「橋下駄の音」に詳しいので、興味のある方はそちらを参照していただきたい。

本作以前にリリースしたアルバムは2枚ともライブ録音というところが、演奏力への自信の表れなのだろうが、実際、あまりにストレートで虚飾が無く、誤魔化しの効かない音作りが今の時代逆に新鮮で、前作のDVD付きライブ・アルバム「Live at Antones 」でその演奏シーンを目の当たりにした時は少なからず衝撃を覚え、鳥肌がたった。

満を持してのスタジオデビューとなった今作のプロデュースは、70年代SSWファンにはなじみの深いRay Wylie Hubbard。参加ミュージシャンとしてはPatti Griffin、Stephen Bruton、Gurf Morlix等が名を連ねている。

 
 1. Don't Call On Me

 2. Jackson Station

 3. Maple Tears

 4. Heart On My Sleeve

 5. Second Line

 6. 40 Days

 7. This I Know

 8. Unsleeping Eye

 9. Cornbread

10. Nine Steps Down

11. Hallelujah


半分以上の曲がライブ盤や各メンバーのソロ作などで既出の物。そして3人とも並以上のギタリストであり、トリプル・ギターも彼らの魅力なのだが、正直、2枚のライブ盤を聴いた後では、少々サッパリし過ぎでこじんまりとまとめすぎたサウンドにも聴こえ、ライブで感じられる荒っぽさや重厚感がいま一つ伝わってこないような気もするのが若干のマイナスポイントか。それはプロデューサーとしては実績がなく、バンドの一体感というものにそれほどこだわりもなさそうな、Ray Wylie(人選ミス?)のせいにしちゃいましょう。普通はいくらでも誤魔化しが効くスタジオ作は良かったが、ライブを聴くと「んっ?」というアーティストの方が多いのだから・・・。

それ以外ではスタジオ・デビュー作としては平均点を大幅に上回る出来と言ってよく、スッキリしすぎのサウンドが故、曲本来が持つメロディ・ラインや雰囲気はとても伝わりやすくなっているので、このバンドを未体験の人にはまず、こちらでバンドの雰囲気を掴む→その後ライブ作で仰け反る、というコースをお薦めします。

1. 一番キャッチーなメロディ・センスを持っているEd作のオープニングはウエスト・コーストっぽさも感じられる軽快なナンバーだが、ねちっこいColinのスライドが絡んでのからのエンディングでの尋常でない盛り上がりに、やはりTexasのバンドなんだと再認識させられる。
2. タメの効いたリズムに皆で歌いまわすヴォーカル、そしてドブロにマンドリン。ライブでは実証済みだが、ここでもいとも簡単にあのThe Bandにも似た荘厳さを醸し出しているのは流石。70年代は良かったと懐かしむオールド・ロック・ファンにはThe Bandの焼き直しにしか聴こえないのだろうか・・・。彼らのサウンドには充分オリジナリティも感じられるし、決して追い風ではないこの時代にこの音を奏でていることに意義があると思うのだが・・・。
3. このようなスローな曲では90年代のオルタナ・カントリー・バンドなどよりもカントリーへの深い造詣と愛情が感じられる気が・・・。
4. メンバーの中では声質も曲調も一番ゴリッとした男臭さを感じさせるColin作のゴリッとしたギター・リフが印象的なギター・ロック。
7. シングル・ヒットしちゃってもおかしくないような一緒に歌いたくなるようなメロディを持ったこの曲もやはりEd作。
8. Live at Antones」ではかなりアップ・テンポで演奏されていた。最も70年代っぽさを感じさせる男、Gordy作のスワンプ・ナンバー。ソロ作にも収録されていたが、メンバーのコーラス、Gordyのリードに絡みつくスライド(多分Colin)によって重厚さを増していて一聴の価値あり。

CCRがいて、The Bandがいた70年代のアメリカは良かったのに・・・。なんて嘆いている人にこそ聴いてみて欲しい。時代が時代なら彼らと比肩する実力を持った逸材ですぞ・・・・というのは言いすぎでしょうか。
ソロ作も捨てがたいのだが、個人的にはこの人達にはバンドとしての活動に是非こだわって欲しいと思っている。

このバンドの取扱を始めたAmazon.jp、あんたは偉い!

 



「Unsleeping Eye」

「Jackson Station」


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James McMurtry 「Just Us Kids」 [Today's Album]

ある方がコメント入力時にどうしても画像認証されないと教えてくれたのでSo-netにクレームのメールを送ったら丁寧に画像認証機能を解除する方法は教えてくれたのですが、認証されないことに対しては何の説明も謝罪もありません。

おい、So-net、なめんな!飛んできて謝罪しろっ!
高尚な音楽お宅が集まるブログなのに貴重なコメントを不意にしてしまったかもしれないじゃないか!


「Just Us Kid / James McMurtry」 (2008)
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Just Us Kids

Just Us Kids

  • アーティスト: James McMurtry
  • 出版社/メーカー: Blue Rose
  • 発売日: 2008/05/12
  • メディア: CD

何だよ、この手抜きジャケットは!?でもMcMurtryなら許す。

相方に「あんたこの人を一番頻繁に聴いているよ。もうやめろ。」と言われるまでもなく自分でも相当聴きこんでいる自覚があり、デビュー以来一年に2~3度この人を集中的に聴く期間が必ずある。90年以降(デビューは89年)に出てきたアメリカンSSWで最も私に影響を与えた男である。前回はブログ・デビュー直後ということもあってサラッと流してしまったが、今回はもうチョイ掘り下げて・・・。

同じTexasのJon Dee Grahamと同じように今やTexasの裏ボスといった感が強いMcMurtry。Jon Deeも勿論好きなんですが、映画「The Last Picture Show」やTommy Lee JonesとRobert Duvalが演じる気性の全く違う2人のカウボーイの死をも乗り越えた友情を描いた「Lonesome Dove」の原作、そしてカウボーイの同性愛を描いた問題作「Brokeback Mountain」の脚本等、秀作の多い作家でシナリオライターでもある父Larry McMurtryの作品と共通するテーマである荒涼感、孤独感、哀愁、不毛、悲哀、無常感、虚無感という言葉で表せるような人間ドラマを父親とは別の手段=歌詞‐作曲-音作り、で描き出すJames McMurtryの世界に個人的にはまり込んでしまって抜け出せないでいる。

お世辞にも美声とは言えないが特徴的で鼻にかかったビブラート・ヴォイスと時には暴力をも克明に描き出すハードボイルドな語り口で“TexasのWarren Zevonの”異名(私が勝手に名付けた?)もとるMcMurtryはFort Worth出身で父親が書き上げた「Falling From Grace」の脚本をJohn Mellencampが主演、監督で映画化したのがきっかけでデモがMellencampの手に渡ったという。
Mellencampに見出されてデビューしたのは有名な話。共通点がないわけではないのだがデビュー・アルバムは80年代にヒットを連発していた頃の元気いっぱいで、汗臭く青臭いMellencampのサウンドからは連想できないほど渇いていて老成しており、一般的には迷走時代と捉えられているような90年代以降のMellencampが逆にMcMurtryから多大な影響を受けていたように思える・・・。

CBS、Sugar Hill、Compadreと渡り歩き、またも移籍でNashvilleのLightning Rodという新興レーベルからの最初の作品となる本作は通算では8作目のスタジオ・アルバムでありAustin録音のセルフ・プロデュース。
彼の世界を表現するにはトリオ編成でも充分なことは「Live In Aught-Three」で証明済みだが、おなじみのBassのRonnie JohnsonとDrumsのDaren HessによるHeartless Bastardsに加え、曲によってスタジオ・ミュージシャンやゲストを招いて制作されている。

 1. Bayou Tortous
 2. Just Us Kids
 3. God Bless America
 4. Cheney's Toy
 5. Freeway View
 6. Hurricane Party
 7. Ruby And Carlos
 8. Brief Intermission
 9. Five Line Road
10. The Governer
11. Ruins Of The Realm
12. You'd a' Thought

1. いつにも増して地を這うようなヘヴィーなオープニング。独特の飽和感があるバリバリとしたエレキ・ギターの音色は当然チューブ・アンプによるものだと思っていた。ところがFender VibroluxやVox AC15等のチューブ・コンボの名機も使っているようだが、メインで使っているのはLab Series L5というソリッド・ステート・アンプだと知って驚いたことがあった。どうやらB.B. Kingなどもこれを使っていたことがありその筋では有名なギターアンプらしい。間奏のインパクトがあるギターは恐らくC.C. Adcock。
2. タイトル・ソングは人生の後半に差し掛かったと男とその友人の姿を映画のように綴った感傷的なサビを持った曲。普通の人が歌えばかなりキャッチーな曲なのかもしれないがそう聴こえないのが素晴らしい。無骨なMcMurtryのヴォーカルを包み込む優しい音色のピアノはIan McLagan
3. 非常にヘヴィーなナンバー。今のアメリカの現状を痛烈に皮肉っているように思える。ブルージーなハーモニカはPat Macdonald(ex-Timbuk 3)によるもの。
4. 米兵を"Cheney's Toy"と斬り捨てる。引きずるように陰鬱なイントロからダルシマーが加わり中近東的な雰囲気をも醸し出す。間奏ではMcMurtryのギターが唸り、明後日のほうからトランペットが聴こえてきてラストは兵隊の号令のような掛け声がかぶさってくる。
5. バリバリとしたエレキのリフと転がり捲るIan McLaganのピアノが絶妙なアップ・テンポのブギー・ナンバー。普通なら“軽快な”と言いたい所だが、McMurtryの重たくだるい声で歌われると軽快な曲になり得ない。
6. 名曲「Where's Johnny」を思い出させる歌い出し。ハリケーンが無常に引き裂いたある男の人生。非常にMcMurtryらしさを感じさせる曲。
7. アコギの弾き語り調に悲しげなセロが彩りを添える。生活を共にしていた男女其々の視点で繊細な心の動きと詳細な情景の描写に引き込まれ、気づけば涙が頬を伝い男泣き。
8. 彼の特徴はあの声のはず・・・。インストなのに何故かMcMurtryの音だとわかるのが凄い。
9. 飲んだくれの父を持つ女性、その日暮の生活、動かない車、私の名前と顔を忘れて欲しい。足跡を残さずいつかここから立ち去るつもりだから・・・。マイナー調の曲に彼の醍醐味でもあるハードボイルドな語り口。McMurtryのカウントに導かれて絶望感に追い討ちをかけるかのようにあちらの世界から聴こえてくるラップ・スティールはJon Dee Grahamの仕業。ああ無情!

Jon Deeのようにパワフルなテキサス声も、Stephen Brutonのような切れ味鋭いテキサス・ギターも持たないが、兎に角、その情景描写は秀逸で、彼が表現したいことを楽曲化するのに充分な演奏力とセンスがを持ち合わせているのでこれ以上を彼に望む必要はない。
多少のプラスマイナスはあるにしろ、デビュー以来根本的に全く変わらないこの世界観。どこかの誰かみたいに金に物を言わせて実際に世界中を旅して回ったりしなくても、彼はデビュー以前に自分探しの旅を始めていて自分なりの価値観と歌うべきテーマを確立していたのであろう。

元々決してとっつきやすいタイプの音楽ではないのかもしれないですが、本作は取り上げられているテーマのせいもあってかいつもより更に陰鬱に聴こえるので初めて聴く人には80sっぽい音作りがちょっとだけ耳障りだが少しメリハリが利いているCBS時代から聴き始めてみることをお薦めします。新品でもかなりお買い得な値段になっていますよ。

蛇足ながら私は現在も陰謀と闘争中・・・。

来週は熱海の病院です。



「Cheney's Toy」



「60 Acres」 97年「It Had To Happen」収録

 
 

「Painting By Numbers」 89年「Too Long In The Wasteland」収録

「Down Across The Delaware」 95年「Where'd You Hide The Body」収録


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Redwing 「Redwing」 [Today's Album]


MLBが開幕して忙しい日々を送っています。
ちょっと前にヤンキースの松井選手が結婚というニュースが入ってきてビックリしましたが、同じ日に森三中の村上さんも結婚というニュースを見て更に驚きました。「もしかして松井の嫁さんは村上さん!?」て、一瞬思いましたがどうやら違うようです。

「Redwing / Redwing」 (1971)
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Redwing

Redwing

  • アーティスト: Redwing
  • 出版社/メーカー: Fallout
  • 発売日: 2007/12/11
  • メディア: CD


CD化は多分今回が初めてだと思うのだがFalloutというあまり聞いた事のないレーベルからで、何処にもリマスターなんてことは謳っていないが、デジタル・リマスターと称して酷い音質の物も多いリイシュー・レーベルの中では不自然なサウンドになっていないので現在これ以外にも同レーベルの商品を数枚注文済み。California出身で靴の名前みたいなこのバンドの前身はNew BreedとかGladと名乗っていて、あのTimothy.Bも在籍していたこともあるそうで、Fantasyから1971-75まで毎年5枚のアルバムをリリースしている。

西海岸出身のバンドでありながら、Eaglesに代表されるような爽やかな印象は薄く、西海岸の有名なバンドで例えるならレーベルメイトであるCCRのように南部の音に影響を受けていると思われる。
が、John Fogertyのような傑出したヴォーカリストを抱えているわけではなく、絶妙のフレーズを奏でるギタリストに恵まれているわけでもないのでA級しか許さない音楽ファンは受け付けないかもしれないがAmerican Rockを聴き込んでいるファンには捨てがたいB級ならではの魅力があるのでは。

まずジャケットがヤバイ。イケメンなんぞ勿論期待はしていないが「コイツやりそうだな?」と思わせるようなルックスの奴も皆無。犯罪者にもなれないような中途半端なお人よし幸薄フェイスの集まりだ。

一応カントリー・ロックという括りに入れられることが多いらしいがこのアルバムはそれほどカントリー色は強くもないような・・・。この1st以外は聴いたことがないのでなんとも言えません。


 1. The Underground Railway
 2. Please Doctor Please
 3. Bonnie Bones
 4. Dark Thursday
 5. Sweetwalkin' Lady
 6. I'm Your Lover Man
 7. Shorty Go Home
 8. Hogtied
 9. I'm Counting On You
10. Oh Maggie
11. Why You Been So Long
12. California Blues

1. かなり粘っこいリズムを持った泥臭いスワンピーなロック・ナンバー。ヴォーカルが軽いのが玉に瑕だがこれでヴォーカルが重く素晴らしかったらA級になっちゃうからこんなもんか。ギターソロにも光る物はないがしっかり最低限の仕事をしているのが憎い。
アップテンポだがキャッチーなメロディを持った3. や ちょいと泣けるミディアム・テンポの4. 、この辺の曲が彼らがカントリーロックバンドと位置づけられている理由だと思うが、ペダルスティールやフィドルなどのカントリー特有の楽器は使っておらず、楽曲の雰囲気でそれっぽさを演出しているのはCCRと共通する。
5. これを聴いていてふと思ったのがヴォーカルやハーモニーの感じがロック色の強い曲を演っている時のNitty Gritty Dirt Bandにも似ている。
6. 「こんな曲もできちゃいます!」的なセカンドラインのリズムを取り込んだニューオリンズっぽいパーティー・ソングだが、何故か軽い。

このように悪い曲が一つもないんだけど抜きん出た曲もないというのもB級っぽいが、演奏力もそれなりにしっかりしており、こういうBandがゴロゴロしていた70年代のアメリカはやはり素晴らしかったんだと思う。

南部のGrinderswitch(Capricornの方)や西海岸のSwampwater辺りのB級アメリカン・ロック・バンドが持つ雰囲気が嫌いじゃない方は買って損はないでしょう。

話変わりますが、今体調の悪さとは別に今後の私の人生を左右するような信じられないような陰謀渦巻くトラブリュートラブルに巻き込まれていそうな状態で予断を許しません!真相がわかり次第こちらにて・・・。あ~恐ろしい・・・。

しかしこの編集ページ重いなぁ。おい、So-netどうにかしろっ!


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Jim Lauderdale 「Honey Songs」 [Today's Album]

はあ~、最近も調子悪い日が多いです。
音楽は聴いているのですが、記事を書くために気を入れて聴くことができません。気を入れて聴かなきゃ記事を書けないっていうのもおかしな話ですが・・・。

聴き込めてはいないのですが、中堅どころのリリースが続く中、期待外れだったGary Louris、イマイチなShawn Mullins、歌い方は一時のブリッ子歌いから抜け出た物のあまりにも1stを意識しすぎで曲単位で1stにそっくりな曲ばっかりで質はどれも1st収録曲を超えていないSheryl Crow、どちらもコンセプト・アルバムだからしょうがない??なAllison MoorerとShelby Lynn姉妹と煮え切らない作品ばかり聴かされてきました。そんな中、奇を衒うことをせず(できず?)、いつもと同じように実力を発揮してくれていたのはJim Lauderdale。この人の場合はCountryよりになるか、Bluegrassよりになるかどっちかなんで・・・。

Honey Songs

Honey Songs

  • アーティスト: Jim Lauderdale
  • 出版社/メーカー: Yep Roc
  • 発売日: 2008/02/19
  • メディア: CD

North Carolina出身ながらL.A.に拠点を移しCBSと契約を結び1989年に1stアルバムを完成させていたがリリース直前でお蔵入り、Nashvilleでソングライターとして活動を再開しバックアップ・ミュージシャンとして多くのアーティストをサポートする傍ら、再度Repriseと契約を交わし91年にデビュー・アルバムのリリースに漸くこぎつける。その後Atlantic、RCA、Dualtone、Yep Rocとレーベルを転々とするが、一貫して力強いヴォーカルのカントリー・アルバムを作り続けている。サウンド的にはDualtone以降の方が圧倒的に好みだ。

特にここ数年の精力的な活動には目を見張る物があり、Yep Rocに移籍して以来ここ18ヶ月でブルーグラス・アルバムとカントリー・アルバムを交互に吹き込み「Bluegrass」、「Country Super Hits Vol.1」、「The Bluegrass Diary」に続いて本作で4枚目のリリース。
彼自身のアルバムが商業的に大成功を収めたことはないが、彼がソングライターとして手がけた多くの作品が様々なアーティストによって日の目を見ている。
L.A.時代にDwight YoakamやPete Andersonらと親交があったことも関係しているのだろうか。彼のヴォーカル・スタイルからもBaker's Field Soundの立役者、Buck Owensの影響が色濃く感じられるような気がする。

今回、バックを手がけているのは彼自身がDream Bandと呼ぶ伝説的名手達。Rick Nelson, Elvis Presleyの片腕であり、その後もCountry-Rockフィールドで名セッションを繰り返してきたJames Burton(Guitar)、同じくElvisを支え、それ以外でもJamesと行動を共にすることが多いRon Tutt(Drums)とGlen D. Hardin(Piano)、E. Street BandのGarry Tallent(Bass)、Manassasを始め、多くのセッションで活躍しているAl Perkins(Pedal Steel)、コーラス陣にBuddy Miller、Patty Loveless、Emmylou Harrisらといったオールスター。

  1. Honeysuckle Honeypie
  2. I Hope You're Happy
  3. Hittin' It Hard
  4. It's Finally Sinking In
  5. Borrow Some Summertime
  6. The Daughter Of Majestic Sage
  7. Molly's Got A Chain
  8. Those Kind Of Things Don't Happen Every Day
  9. Stingray
10. I'm Almost Back


1. はイントロからいきなりJames Burtonのそれとわかるテレキャス・リックで思わずにんまり。最強のカントリー・ピッカーを得て相変わらずな硬質のヴォーカルも力強く、スワンプ臭も漂うファンキーなホワイト・ボーイ・ブルーズ!
2. これも正に70年代のRockin'-Countryサウンド。Jamesのチキン・ピッキングがフェード・アウトしていくエンディングに「まだ消えないでくれい!」と懇願するが、ああ無常。
5.  AlとJamesのユニゾンによるテーマ部、絶妙なリズムの崩し方のヴォーカル、そして鳴きのメロディ。完璧な三連のカントリー・ソング。
8. Ron Tuttのブラシによるお馬が走るリズムの曲。能天気に聴こえないのは押さえ込んだヴォーカルとリラックスした熟練プレーヤによる演奏のためか、或いはより深く重い声質を持ったBuddy Millerのハーモニーのためか?
9. GPの「Ooh Las Vegas」を思い出すようなハイテンポの曲だがここでのJames Burtonのプレーはあの伝説的なプレーとは違ってより甘めのトーンで現代的なフレーズになっている。
10. Al Perkinsのペダル・スティールがJimのヴォーカルと共に咽び泣きを聴かせるスローなカントリー・ナンバー。サビで加わるハーモニーはEmmylou。

全10曲35分のカントリー・アルバム。物足りなくも感じられるが、「もっと聴きたいと思わせるところでサクッと終わるのが心憎い。」と考えるべきだろう。いずれにしろ皮肉なことに彼の曲を取り上げて昨今のカントリー・チャートに入っていて彼の収入源になっているようなアーティストよりも私にとっては何故か"Country"を感じさせる男である。

話違うけど歯を一時間磨くのって異常じゃないんですかね?



「I Met Jesus In A Bar」 (「Country Super Hits, Vol. 1」06年収録)


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Levon Helm 「Dirt Firmer」 [Today's Album]

痛みの強い日がやたら長く続いていましたが、なんとかラマーズ法で乗り切りました。ここ数日は少し楽なので記事を作成しようと思ったらSo-netブログがリニューアルしているじゃあ~りませんか。何がなんだかわかりまへん。ちゃんとアップできるか不安だ。しかし、編集画面と実際の表示画面での見え方が全然違うのはどういう訳?毎日不具合、障害の報告があるやんけ。おい、So-net、なめんな!

「Dirt Firmer / Levon Helm」 (2007)
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Dirt Farmer

Dirt Farmer

  • アーティスト: Levon Helm
  • 出版社/メーカー: Vanguard
  • 発売日: 2007/10/30
  • メディア: CD

何故か2007年度のベスト・アルバムを選出した際にすっかり私の下がりきった脳から消えていたこのアルバム。

完全にミスです。これは間違いなく入選です。しかも上位に・・・。

チョコチョコと映画にも顔を出しているが最も最近に見たのは、Tommy Lee Jones監督・主演の「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 スペシャル・エディション 」。あまりの老け込み具合が死を待つだけの孤独な盲目の老人という役どころに合致していてちょっと悲しくなりました。映画の方もどこかで見たようなテーマだがBarry PepperやDwight Yoakamが共演していてこの辺りの音楽が好きな人なら間違いなく好きなタッチで情景、人間ドラマを描いている。

咽頭ガンを克服したとのことだが、その歌声は正直全盛期よりエッジがなくなっているが、昔とは違った力強さが加わっている。
The Band時代から自ら曲を書けない事が彼の最大の欠点だと思っていたし、ソロや再結成後もRobbie Robertsonという性格の悪い天才を欠いた事を思い知らされる作品が多かった。

しか~し、今作では全曲他人の曲というディスアドバンテージが全くマイナス方向には作用していない。
プロデュースはDylan人脈のLarry Campbellと娘のAmy Helm。

1. False Hearted Lover Blues
2. Poor Old Dirt Farmer
3. The Mountain
4. Little Birds
5. The Girl I Left Behind
6. Calvary
7. Anna Lee
8. Got Me A Woman
9. A Train Robbery
10. Single Girl, Married Girl
11. The Blind Child
12. Feelin' Good
13.Wide River To Cross


全13曲中5曲がトラディショナルで残りが他人の曲。オープニングの1.はイントロが始まりLevonの振り絞るかのような力強い歌声が聴こえてきた瞬間にスピーカーの向こうから大きな土の塊が飛んできて顔面にぶつかってきた。こんなに泥臭いサウンドを聴いたのは久しぶりだ。Irishの香りもするブルージーな強力アコースティック・スワンプ・トラック。
5.もトラッド・ソングながらあのドラムにチャカチャカしマンドリン、アコーディオンが絡み、The Bandを彷彿させるサウンド。
興味深いのは現在のアメリカン・ミュージック・シーンを支えるSteve EarleとBuddy Millerというビッグネーム2人の曲を取り上げている点。前者はSteveがブルーグラスに挑戦した名盤「The Mountain」にも収められている3.で、ここではSteveのヴァージョンほど陰鬱さは感じず、突き抜けたヴォーカルで素晴らしい。後者はBuddyの「Universal United House Of Prayer」収録のゴスペル色が強いナンバー13.で、オリジナルに近いアレンジだがより原始的にさえ感じられ、両者ともトラッドに混じっても全く違和感がないような仕上がりになっており、SteveとBuddyに「これからはお前等がこの先何十年も歌い継がれていくアメリカン・トラッドを作り続けていくのだぞ。」言わんばかりの迫力だ。
Carter Familyで知られる10.も原曲の雰囲気に加えてルーズなのにタイトな相変わらずのドラミングでファンキーなスワンプ・ロックに変貌を遂げている。

全編アコースティック主体でエレキ・ギターの音色は聴かれないが本当に力強いヴォーカルと絶妙のドラミングで、アメリカのルーツ・ミュージックが凝縮されたトラディショナルに新しい息吹を吹き込んだ傑作。

天才Robbieがグループの中心的ソングライターであり、リーダーであったのは間違いないがThe Bandの土台、ハートはやはりLevonだったのだ!

Levon、グラミー賞Best Traditional Folk Album部門受賞おめでとう!

南部の農家に育った男、病を克服したジジイの強烈な一撃で皆泥だらけにされちまえっ!



「The Girl I Left Behind」



タグ:The Band Swamp
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Radney Foster 「See What You Want To See」 [Today's Album]

「See What You Want To See / Radney Foster」 (1999)
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See What You Want to See

See What You Want to See

  • アーティスト: Radney Foster
  • 出版社/メーカー: Arista
  • 発売日: 1999/05/18
  • メディア: CD

 
すっかり更新ペースが落ちてしまってますが・・・。

この人もスタートはNashvilleでソングライターとして。
作曲家としてパートナー・シップを組んだBill Lloydとのデュオ、Foster & Lloydを結成して87年から90年までにRCAに3枚のアルバムを残し軽くカントリー・ヒットを出していたが、凡庸で特筆すべきことがないNew Traditinalなカントリー・サウンド。その後ソロとなりアリスタと契約してこれまた軽くTop10ヒットをだす。悪くないが現代的なHonky Tonkサウンドで特に面白くもなんともないサウンド。ジャケも滅茶いい奴っぽい七三ヘアに眼鏡の青年がダサダサカントリー風のジャケットを着込んだ全くいけていないもの。

それが99年のArista Austinからの本作で大化け。Texanとしての気骨を発揮してロック色も強くなり重いサウンドに。君こんなに重たく歌えたんだ?これはいわゆるカントリー・ファンには受け入れがたいサウンドなのかもしれないが、華麗なる変身と捉えたい。
よく見たらメガネもアラレちゃん風丸めがねから鋭いシェープのインテリメガネに変わっていた。

バックにはペダル・スティールやフィドルといったカントリー特有の楽器奏者は含まれておらず、
Drum-Chad Cromwell
  (Neil Young, Mark Knopfler, Kim Richey, Allison Moorer, Jack Ingram, Mark Selby)
Bass- Bob Gloub
  (70年代からあまりにも多くのアーティストを支えた仕事人)
Key- Rami Jaffee
  (Wallflowers、その他参加作多し。)
Guitar- Jay Joyce
  (Gillian Welch, Patty Griffin, Shelby Lynn)
といったところがバンド・メンバーで曲によってゲストを招くといった形を取っている。


 1. I've Got a Picture
1曲目から今までのつまらないよいこのカントリー路線とはかけ離れたChadが刻む重心の低いリズムの8ビートと、メロディアスながら今までになく陰鬱さを醸し出すRadneyのヴォーカルで「何かが起こっている・・・」と思わせる。
 2. I'm In
Radneyの硬質で重さを増した声と、現在、The Resentmentsでも活躍しているBruce Hughesも在籍していたTexasのガレージ-オルタナ・ロック・バンドPoi Dog Ponderingのリード・シンガーであり当時ソロ・シンガーとしてArista Austinのレーベル・メートでもあったAbra Mooreのふにゃふにゃ不思議ちゃんヴォーカルが絶妙の掛け合いを聴かせるベスト・トラック。今まではがなることの無かったRadneyの魂の叫びにビックリ!
 3. Raining On Sunday
これも痛いメロディを持ったミディアム・テンポの佳曲。サビ部でソウルフルなハーモニーを付けているのはHootie & The BlowfishのDarius Rucker!
 4. Folding Money
トリッキーなギターのイントロとオルタナ臭い音処理を施したドラムが印象的ながらガキっぽさは全く感じさせず寧ろアダルトなオルタナ・スワンプといった雰囲気。幽玄的なコーラスを添えているのはTexasのオルタナ・バンド、Sister 7のPatrice Pike。 
 5. Angry Heart
他の参加作ではあまり意識したことがなかったが、Chad Cromwellという人のスネアは非常に重いタイム感を持っていて好みだ。ヘヴィでメロウ、ファルセットも駆使したRadneyのヴォーカルに涙。
 6. The Kiss
ここでグッとテンポを落として・・・。Steve EarleやGreg Trooper、Jack Ingram等と仕事をしているMike McAdamのスライドが聴ける。Violaを奏でているのはTammy Rogers。
 7. You Were So Right
アコギのカッティングでつぶやく歌いだし、一転してヘヴィーなサビ部へと・・・。ヒステリックなまでのエレキのリード。
 8. God Knows When
この曲にもフューチャーされているMike McAdamの湿ったスライドがMississippiの重たい雨を運んでくる。良い曲だ。
 9. The Lucky Ones
これもカントリーに固執することのない作曲能力と重たいサウンド・アレンジが功を奏した。
10. Godspeed (Sweet Dreams)
ラストを飾るに相応しいしんみりとした弾き語り調。リムショット、ベース、エレキが徐々に加わる。幻想的に響くハーモニーはEmmylou Harris。


その後案の定Aristaからは斬られ、ならず者が溜まるマイナーレーベルの一つDualtoneからのLive Albumとちょっぴりポップ色が強い中道的な「Another Way To Go」挟んで再び自分の居場所に戻ってきた感がある「The World We Live In」も好アルバムだが。モダンな南部系アメリカンSSWにへ脱皮した、捨て曲無しのこのアルバムが今までのところベストでしょう。

Godspeed!




 「Godspeed」

「Evelyday Angel」 (「Another Way To Go」収録)


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Tom Petty 「Wildflowers」 [Today's Album]

ここのところまたがっくり調子が落ち込んでいて更新ペースが更に遅くなっています。
ぼちぼち今年の新譜も入荷してきましたがあまり聴きこむ気がしないので追々ということで。

映画の影響や詳しい知人に教えてもらう機会があって、最近アメフトのルールがわかってきて面白くなってきました。そんなわけでスーパー・ボウルのライブ中継を観戦したのですが、素晴らしいゲーム内容でとても楽しめました。本当に調子が悪い時は聴覚だけに訴える音楽よりも、視覚にも訴える映画やスポーツの方が疲れずにのめりこんで痛みを忘れたり出来るようです。
昨シーズン殆ど毎日のようにMLB観戦をしていたので相方に「これ以上趣味を増やすな!」とどやされましたが、録画した物を見せながら軽く説明すると見事に自分もはまり込んでいました。

プロ・ボウルって見たほうがいいんですかね?

ハーフタイムショーにはなんとTom Petty & The Heart Breakersが登場して物凄い得した気分。オープニングには初期の名曲「American Girl」も披露してくれました。

毎日のように強烈な全身痛や頭痛、倦怠感に襲われていて、夜もカール・ゴッチにジャーマン・スープレックスを決められた上にアンドレ・ザ・ジャイアントのボディ・プレス、更に鉄の爪フリッツ・フォン・エリックのアイアンクローにストマック・クローががっちり食い込んだような状態で眠れません!
ギブ、ギブ、ギブ!うぅっ・・・

こっから先は1日約5行ペースで書き上げたんで支離滅裂かもしれませんがお許しを。



Wildflowers

Wildflowers

  • アーティスト: Tom Petty
  • 出版社/メーカー: Warner Bros.
  • 発売日: 1994/10/21
  • メディア: CD

私がTom Pettyに求めているのはデビュー以来聴かれていたキャッチーな曲の中にも感じられるちょいとゴリッとした感触で、それがここ最近は薄まってきたように思う。転機となったのが恐らくJeff Lynneがプロデュースした初のソロ名義「Fullmoon Fever(89)」だろう。好きな曲も多く、素晴らしいアルバムだったのだが、Jeffのソロ、George Harrison、Traveling Wilburys、Del Shannon、Roy OrbisonとJeff Lynnの特徴的なサウンドを聴かせられ過ぎて当時食傷気味になったのもまた事実。Wilburysのメンバーながらこいつに一切音をいじらせなかったDylanはやっぱり偉い!

70年代後期から80年代にかけて人気を3分していたBossやJohn Mellencampと比べると良く言えばセンスが良く、時代の空気を読むのに長けており欲がない。悪く言えばお調子もんで上の人間に取り入るのが上手く、いつまでたってもDylanの弟子のMcGuinnのそのまた弟子といったポジションで良しとしている。Warren Zevonのラスト作に客演した時も、陰鬱だが誠実なJackson Brown、真摯で太陽の光のようなオーラで重苦しいスタジオの空気を一変させたBossとは対照的にオチャラケお調子者振りで顰蹙を買いまくり我が家での評価をグッと下げてしまっていた。

元々3コード、或いはそれに毛が生えた程度で曲を制作していた物が何か違うことをやりたいと思った時にとる事が多い手法がビートル化。その方法としてミックスやマスタリングで小細工したり、よりメロディアスに聴こえるように複雑なコードを混ぜ込む作曲面での方法がある。ギターを弾いたことがある人は感覚的にわかると思うが、そういった手法をとって楽曲をよりメロディアスにしようとすると泥臭さや素朴さは犠牲にしなければいけない。私はCountryやBlues、R&Bといったルーツミュージックを感じさせたり泥臭い、汗臭い、人間臭い、ごめん臭いの臭い尽くしの音楽が大好きなんで、元々泥臭さや素朴さが売りだったアーティストがビートル化するのが大嫌いだ。

TomがまさかBeatlesを嫌いなわけはないと思うが、それ以前のアルバムではBeatlesの影響をそれほど強く感じることはなく、Jeff LynneやGeorge Harrisonと接触したのがきっかけだと思う。
それ以降そちらの方向へ進んで行くのかと思いきや、ストップをかけたのがまたも登場のRick Rubin。

このWildflowersはPettyのW.Bへの移籍第一作目で「Fullmoon Fever」以来のソロ名義。この人の場合ソロ名義といってもHeartbreakersのメンツを起用しているし、Bossのソロ名義と違ってサウンド的にHeartbreakersとの作品との差はあまり感じられない。やはりう甲虫のような曲は聴かれるのだがRick Rubin独特ザラツキ感が前面に出され音作りの面では生々しい泥臭さを保っている。

 1. Wildflowers
アコギのカッティングの音色が美しい。初期に比べて優しくなってきたTomの歌い方が曲に。必要最低限のサウンド。
 2. You Don't Know How It Feels
イントロでハーモニカをフューチャーしたミディアム・テンポのフォーク・ロック。
 3. Time To Move On
テンポの速い軽めのフォーク・ロック。Mike Campbellのワウスライドがアクセントになっている。
 4. You Wreck Me
初期を彷彿とさせるハードなサウンド。やはりTom Pettyにはドライブ感溢れる8ビートRockが似合う。
 5. It's Good To Be King
ピアノのイントロにストリングス、アレンジ面でカブト虫臭が漂い始めるがRickのザラッとした音作りに救われているのでOK。
 6. Only A Broken Heart
ヴォーカル処理やメロトロン、ハーモニウムが入ってくるあたりがこれもちょっと甲虫の臭いがするが嫌いではない。生々しいアコギのサウンドと曲の良さにに免じてギリギリ許す。
 7. Honee Bee
初期を通り越して猛烈に歪んだギターリフで幕を開けるハードなブルース・ロック。Rick Rubinの手腕が最高に発揮されていてTomのゴリゴリ感がかつてないほどに強調されている。文句なし!Mike Campbellの揺れ系リードも凄い。
 8. Don't Fade On Me
弾き語り調の曲。ソフトにな歌い方になってしまっているのでいくらRick RubinでもJohnny Cashのようなわけには行かない様だ。
 9. Hard On Me
アレンジ面はシンプルながら旋律的にビートル臭がする。
10. Cabin Down Below
これまた待ってましたの激カッコよいブルージーなナンバー。
11. To Find A Friend
フォーク・ロックです。昔みたいに声張り上げて歌って欲しいがまあ問題ありません。
12. A Higher Place
これは彼らしいByrdsをも髣髴させるようなフォーク・ロック。
13. House In The Woods
ゆったりとしたちょっと重めのナンバーなんですが何故か虫臭い。もったいない。
14. Crawling Back To You
これはメロディも詩もかなり好きな曲なんですが、メロトロンによるカブト虫っぽい仕掛けもあり。
15. Wake Up Time
ピアノをメインに持ってきたスローなナンバー。これも虫っぽいなあ。意識しすぎでしょうか?

あれ???
このアルバムはリリースされた当時から好きだったんですが、こうやって聴きなおしてみると思っていた以上にBeatlesの影響が強いアルバムかもしれません。それでも好きなのはRick Rubinの音作りとやっぱりTom Pettyだから?・・・ということにしといてください。

この後OSTの96年の「She's The One」、99年の大好きな「Echo」と、Rickが絡んだアルバムが続き、その後「Last DJ」ではGeorge Drakoulias。Georgeは好きなプロデューサーの一人なんですが、ちょっと軟弱になってきたTomを好みのサウンドにするには役不足。その後出された最新作「Highway Companion」ではなんとまたJeff Lynneを起用・・・。以前程ではないがベチャッと潰れたスネアの音は聴き飽きた。もう出てくんな!



「American Girl」 Super Bowl 2008



「You Wreck Me」


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Various Artists 「The Pilgrim: A Celebration Of Kris Kristofferson Various Artists」 [Today's Album]

「The Pilgrim: A Celebration Of Kris Kristofferson / Various Artists」 2006
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The Pilgrim: A Celebration of Kris Kristofferson

The Pilgrim: A Celebration of Kris Kristofferson

  • アーティスト: Various Artists
  • 出版社/メーカー: New West
  • 発売日: 2006/07/10
  • メディア: CD


Kris Kristofferson。70年代よりSSWと俳優の二足の草鞋を履き今も尚現役。
それもミュージシャンが「ちょいと映画に出てみました。」のような中途半端なものではなく本格的に映画界に参戦している。今でこそ主役を張ることは少なくなったが、娯楽大作からB級作品まであらゆる映画で彼を見ることが出来る。

かなり昔にあるアメリカのメディアが彼のことを“歌えないソングライター”と酷評していた。確かに素朴な味わいを持った70年代のSSWの中でも彼のヘタウマ度は群を抜いている。
歌が上手いか下手か、といった捕らえ方をすれば間違いなく彼は下手なシンガーだろう。しかし聴き手に何かを伝えるという観点から見れば彼は素晴らしいシンガーだ。少なくとも一部の人にとっては。そうでなければStephen Bruton、Donnie Fritts、Billy Swan等の猛者たちが彼をバックアップするために集結するなんてありえないのではないだろうか。
何を持って歌えないかというのは聴く人の主観によるところが大きい。彼を“歌えないソングライター”と評したライターはきっと楽譜どおりに唄えて、声量があって、といようなKristoffersonとは対極のスタイルに対して“歌える”と思うのだろうから、無理してロックやフォークなど聴かず、大人しく間違いなく上手いパバロッティでも聴いていればよいのだ。

Kris自身に関してはいつかまたの機会に詳しく書きたい。今までにも彼の曲はポップ・シンガーからカントリー・シンガーまで多くの人に取り上げられているが、2005年にリリースされたこのトリビュート盤にも大御所から若いアーティストまでが集まっているのが彼の書くストーリーとメロディが多くの人々の心を掴んでいる証だ。

 1. The Pilgrim: Chapter 33 / Emmylou Harris & Friends
まずは無難なところ。曲が良ければこの人は問題ないですね。ここでのFriendsとはSam Bush、Jon Randall、Randy ScRuggs等。イントロ部での語りは70年当時のKrisの物をそのまま使っている。70年代は数々のアーティストとしてハーモニー・パートナーとして活躍した彼女だがリード・シンガーとしては最近のほうがずっと貫禄を増していて良いような気がする。見た目、声共にギスギスした感じも薄れてきた。
 2. Maybe You Heard / Todd Snider
90年代に入って頭角を現してきたSSW。ルーツに色濃くカントリーを感じさせながらもNashvilleの売れ線カントリーに染まっていないのはKris同様。ドラム無しのアレンジながら相変わらずのロック魂も感じさせるヴォーカル。
 3. The Circle / Marta Gomez
知らない人です。メヒコの方でしょうか?非常に透明感のある素晴らしい歌声です。
 4. Lovin' Him Was Easier (Than Anything I'll Ever Do Again) / Rosanne Cash
ご存知Johnny Cashの娘さん。平均点。
 5. Come Sundown / Rodney Crowell
R・Cashの次に持ってこられた収録順は何かの陰謀か。スローな曲をホンキー・トンクにアレンジ。
 6. For The Good Times / Lloyd Cole & Jill Sobule
Lloyd Coleという人は自分にはあまり関係ない人だと思っていて今までちゃんと聴いた事がない。特に悪くはないが、この超名曲をこの人に歌わせてしまったのはどうかと思う。Jill Sobuleは歌い方も曲もそんな嫌いではないのだが見た目がキモ過ぎて受け付けない。
 7. Jesus Was A Capricorn / Marshall Chapman
オリジナルよりブルージーにアレンジしたのは女性ベテラン・フォーク・ロッカー。これもまあまあ。
 8. The Silver Tongued Devil & I / Shooter Jennings
ゴリ押しだけのアーティストと思われがちなShooter。シンプルなアレンジにじっくり聴かせるヴォーカルが底力を見せ付けている。
 9. Sunday Mornin' Comin' Down / Gretchen Wilson
チャートでも成功しているカントリー・シンガーの中にあってはOutlaw-Bitc〇臭を見た目からも発散している珍しい存在。アルバムは持っていないのですが、Loretta Lynnを思わせるようないい声を持っている。曲は名曲だし・・・素晴らしいです。アルバムを聴いてみたい気になった。
10. Sandinisita / Patty Griifin & Charanga Cakewalk
この人も90年代のSSW。初めて「Every Little Bit」を聴いた時はあまりの表現力にぶっ飛んだがキンキン声が年老いた耳に痛くて最近遠ざかっていた。今回はあまり声を張り上げていない。が、特に面白くはない。Charanga CakewalkはChicanoのマルチ・プレーヤーMichael Ramosの別名。ちょっと音響系っぽいアレンジ。
11. Darby's Castle / Russell Crowe & The Ordinary Fear Of God
本作一番の目玉?好きな作家であるJames Ellroy原作の映画「L.A. Confidential」でのぶち切れ演技とTVショウのインタビューでの皮肉屋振りを見て以来、この人の大ファンなんです。未聴ながら以前にアルバムも出していたこともあるらしく、思ったよりソフトな声でで堂に入った歌いぶり。選んだ曲もちょっとマニアック。やはり只者じゃないよ、このオスカー俳優は!
12. Me and Bobby Mcgee / Brian McKnight
一番有名なこの曲を、多分この中で一番歌えるシンガーであるはずの人が歌っている。が、最近のR&B歌手にありがちなメロディの崩し方がイラつく。最悪。
13. Smile At Me Again / Randy Scruggs
伝説的なバンジョー奏者の息子でギタリストでもあるRandyはこのコンピのプロデュースも担当している。最近このようなBluegrass系ミュージシャンのスローなインスト曲が心地よく感じる。年ですかね?
14. The Captive / Jesse Colter with Vance Haines
子の七光りで最近あちこちと顔を出しているShooterママ。
15. Help Me Make It Through The Night / Bruce Robison & Kelly Willis
やっぱりこの夫婦は凄い!現在のミュージシャン・カップルでは最強でしょう。曲も素晴らしいので100点。
16. Why Me / Shawn Camp
90年代にデビューしたがRepriseにアルバム一枚で斬られたNashville脱落組のカントリーシンガー。何故かメジャー時代より深みのあるヴォーカルを聴かせる。この曲は珍しくKris自身のヴァージョンが73年にカントリー・チャート#1に。
17. The Legend / Willie Nelson
この手の企画には必ず登場。まあ対象がマブダチなので出てこないわけにはいかないか。万が一物足りない奇特な人がいたら79年の「Sings Kristofferson」でWillieの名唱がたっぷり聴ける。
18. Please Don't Tell Me How The Story Ends (Demo Circa 1970) / Kris Kristofferson
これは70年録音の本人によるデモ・バージョン。

特に巣晴らし感じたのは8、9、11、15でした。
さて、私が最悪だと思ったが明らかに抜群の歌唱力を持った12. と歌えないシンガーによる18.。あなたの心に訴えかけてくるのはどちらでしょうか?



 「Help Me Make It Through The Night」 Kris Kristofferson & The Delta Lady!



「Me and Bobby McGee」


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