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Bobby Bare 「Sings Lullabys, Legends and Lies」 [Today's Album]

「Sings Lullabys, Legends And Lies / Bobby Bare」 (1973/2007)
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Bobby Bare Sings Lullabys, Legends and Lies (And More)

Bobby Bare Sings Lullabys, Legends and Lies (And More)

  • アーティスト: Bobby Bare
  • 出版社/メーカー: RLG Legacy
  • 発売日: 2007/07/24
  • メディア: CD


もしかしたらとてもダサいことかもしれないんですけど、けっこうこの手のカントリーが大好きなんです。
それでも、聴き始めた頃は手当たり次第に聴いていましたが、今では私なりにこだわりがあるつもりなんですけど。

Illinois州出身、5歳で母親を亡くし、父親に生活力が無かったために一家離散、15歳までは農場で働いて過ごし、その後は工場やアイスクリーム売りで生計を立てながら自身でギターを組み立てOhioのローカル・バンドで演奏をし始める。
最初の録音であるトーキング・ブルース調の「All American Boy」を吹き込むが全く相手にされず、50ドルでOhioのインディーズに買われて59年に他人名義でリリースされるのだがこれが予想外の大ヒット。
徴兵期間を終えてルームメイトでもあったWillie Nelson等と交友を深めながら、作曲を続けポップス畑で多くの曲が取り上げられ、自らもポップス・シンガーとして認識されるがそれに飽き足らず、62年にRCAと契約、カントリー・シンガーとして再起する。 その後はBob Dylanの曲をいち早く取り上げたり、イギリスに渡り地元のバンドと録音するなど、カントリー・アーティストとしては型にとらわれない精力的な活動を続け、Mercury、 United Artistとレーベルを渡り歩き、RCA復帰作となったのがこのアルバム。

このアルバム自体は以前にドイツのカントリーやブルーグラスを好きな人ならご存知だとは思うドイツのBear FamilyというレーベルからReissueされていた。 が、今回は72年にリリースされたShel Silversteinという人の曲のみで構成されたスタジオ・ライブ・アルバムを「まるであなたがそこにいるように」と、リマスターしたこのアルバム自体に加えて、それ以外にBobby BareがShelの曲を演奏した物を16曲集めた盤をプラスした2枚組みというヴォリューム満点の物なのですが、その2枚目の物が今までにCD化されているアルバムに収録されている音源とダブりまくりなのが少々いただけない。

でもSONYとBMGがくっついたことにより、今までこの辺の音源を沢山抱えていながら今までReissueに積極的でなかったRCAのアーティストのアルバムがSONYお得意のLegacyシリーズとして日の目を見るのを期待せずにはいられない。国内盤紙ジャケ化なんて望めないし・・・。

時は73年、白人のためだけのお上品なNashvilleのカントリー・ミュージックに嫌気がさしていたTexasのアウトロー勢がその土地に豊潤に溢れる様々なミュージックを取り込み、にわかに盛り上がりを見せていた。Willieが反逆の狼煙となった「Shotgun Willie」を、Michael Murpheyが自らのニックネームにもなった「Cosmic Cowboy」をリリースしたのもこの年であった。
なんか大河ドラマみたいになってきましたね。

Shel Silversteinという人についても少し触れたい。
彼は作家、漫画家、作詞家、作曲家、編曲家、シンガーとしてどの分野でもある程度の成功を収めた文字通りマルチ・タレントな人で、スキンヘッドに熊男風の(ある人に言わせればきっと・・・)ヒゲを蓄えたおっかないルックスにも関わらず、多くの子供向けの本がベストセラーになっているという人だ。
作曲家としてはDr. Hookが彼の多くの曲を取り上げ、「Sylvia's Mother」「Cover Of The Rolling Stone」のヒットはあまりにも有名だが、Johnny Cashもいち早く目を付けていて、「25Minutes To Go」、「A Boy Named Sue」などを取り上げられるほか、Willie、Waylon、Tompall Glaser、Kris Kristofferson等が挙って彼の曲を取り上げており、アウトロー・ムーブメントにおいても欠かせない人だ。

Bobbyの素朴な語り口や奔放な活動が、Shelのバック・グラウンドと相まってこのアルバムをアウトロー - プログレッシヴ・カントリーの重要アルバムと位置づける記述も多く見かけるが、Bobby自身はアウトロー連中との関係は大事にしながらも、アウトロー、そしてメインストリームのカントリー・シンガーのどちらとも見なされるのを嫌ったようだ。
しかし、当時RCAのドンだったChet Atkinsが癌で入院中だったため、RCA全体を取り仕切っていたJerry Bradleyの目を盗んで本作のレコーディングを決行するなどアウトロー魂は持ち合わせていた。後にJerryは「当時Bobbyが何をしているか分かっていたとしたら間違いなく辞めさせただろう。」と語っている。それだけ保守的なカントリー界では全曲を一人のソングライターの曲で埋めたスタジオ・ライブ・アルバムというのは異端に思えたのであろうか。

収録曲14曲中、12曲がこのアイデアを思いついたBobbyに頼まれたShelが書き下ろした作品で残りの2曲も既発ながらShelの作品。
タイトルどおり“ララバイ”と“古い言い伝え”、そして“嘘”がShelというフィルターを通して言葉になったストーリーにBobbyが持ち前の太く甘いウォームな声で命を吹き込んでいる傑作だ。スタジオにはBobbyの家族の他にWaylon JenningsやMickey Newburyなどもいたと言われており、非常にリラックスしたアットホームな雰囲気で演奏されたようだ。

ここまでであまりにも長くなったのに曲解説は端折って・・・。

Disc One
 1. 「Lullabys, Legends And Lies」
 2. 「Paul」
 3. 「Marie Lavaux」
彼にとって唯一のカントリー・チャートNO.1となった、実在したスペインからNew Orleansに入植した最後の魔女といわれるMarie Lavauxを唄った曲。非常に泥臭くスワンピーでさえあるバックに支えられて唸るように唄うBobbyがカッコよし。
 4. 「Daddy What If」
これもチャート入りしたヒット曲、現在オルタナティヴ・ロック、オルタナ・カントリー界で活躍している、当時5歳のBobby Bare Jr.君との愛らしいデュエットが聴けるメロウな曲。冒頭でJr.の事を“将来のスター”と紹介し「こんなところで唄わせたら後で恥じて俺を訴えるかもしれない。」と冗談交じりに語っているのが聴かれる。
 5. 「The Wonderful Soup Stone」
 6. 「The Winner」
腕力を誇示して周囲を威圧する若者を滑稽に描いたシンプルなカントリー・ソング。
 7. 「In The Hills Of Shiloh」
Judy Collinsに取り上げられたこともある、南北戦争での未亡人を唄ったスローな曲。前の曲と180度違うテーマ:悲劇を唄いこなすヴォーカルが見事。
 8. 「She's My Ever Lovin' Machine」
 9. 「The Mermaid」
10. 「Rest Awhile」
11. 「Bottomless Well」
12. 「True Story」
13. 「Sure Hit Songwriters Pen」
14. 「Rosalie's Good Eats Cafe」
夜中のダイナーにたむろする人々を鮮やかに描写した8分にも及ぶスロー・ワルツ。トレモロのかかったエレピと恐らくLloyd Greenと思われるドブロが切ない。最後は皆のコーラスが加わって。

Disc Two
 1. 「Sylvia's Mother」
Dr. Hookでお馴染。ここではテンポを上げてシンプルなカントリー調。このバージョンもカントリー・チャートでは12位と健闘。
 2. 「Singin' In The Kitchen」
この人は恵まれない幼少期を送った反動か、とても子煩悩で家族想いなようだ。ここでも奥方と3人の子供達が張り切りコーラスを聴かせるのが微笑ましい。他のアウトロー・カントリー・シンガーではとても考えられない事だ。
残念ながら長女が翌年に突然15歳という若さで他界している。Bobbyの心痛は計り知れなかったであろう。74年「Singin' In The Kitchen」収録。
 3. 「$100,000 In Pennies」
ここから5曲目まではブルーカラーのハードな生活を描いた74年の「Hard Time Hungry」収録。
 4. 「Alimony」
 5. 「Back Home In Huntsville Again」
 6. 「Brian Hennessey」
 7. 「Too Many Nights Alone」
 8. 「This Guitar Is For Sale」
心身ともにズタズタの流れ者を唄ったスロー・バラッド。バリトーンで情感たっぷりに歌い上げるヴォーカルに泣きそうです。77年の「Bare」収録。
 9. 「Rough On The Living」
10. 「Numbers」
11. 「Tequila Sheila」
『アウトローがボーダーを越えて逃げる』というテーマ、メヒコ調のギターがMarty Robbinsからの影響をも感じるご機嫌なナンバー。
12. 「Qualudes Again」
13. 「Food Blues」
14. 「The Jogger」
15. 「Me And Jimmy Rodgers」
16. 「Time」


83年の「Drinkin' From The Bottle, Singin' From The Heart」を最後に、自らの意思でColumbiaとの契約更改を拒み、表舞台から遠ざかっていたが98年のWaylon、Jerry Reed、Mel Tillsとのコラボ・アルバム「Old Dogs」で復活。
しかし99年のShelの死去が彼に深い傷をもたらす。ChetやJohnny Cash等と共に嘆き悲しんだというBobbyは「彼が早く逝きすぎたのか、我々が長居しすぎているのか・・・」という言葉を残し再度引きこもり生活に入るが、彼をスタジオへと誘い入れて05年の「The Moon Was Blue」を録音させたのは恥じ入るどころか父を敬って止まないBobby Jr. だった。

アウトローの姿勢には共感を覚えながらも徒党を組むことを嫌ったBobbyの歌声は暖かく、優しく、そしてどこか悲しい。

こんな長い記事いったい誰が読むんですかね??



「Marie Lavaux」



「The Winner」


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