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Gin Blossoms [Today's Album]

「New Miserable Experience / Gin Blossoms」 1992
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New Miserable Experience

New Miserable Experience

  • アーティスト: Gin Blossoms
  • 出版社/メーカー: A&M
  • 発売日: 1992/08/04
  • メディア: CD




オルタナ、グランジ旋風が吹き荒れていた90年代初頭のアメリカのロック・シーン、そこにフォークやカントリーをルーツにしながらも、オルタナ・ファンにもアピールし得るガレージ・ロック上がりのラウドなギターサウンドと弾けんばかりのキャッチーさを武器にシーンを席巻、セールス面のみならず私のRock史にも深い爪あとを残したBandがいた。

Gin Blossomsである。

Alizonaで83年に幼馴染であったBill Leen(Ba)、Doug Hopkins(Gt)、Jesse Valenzuela(Vo)等を中心に結成、数度のメンバー・チェンジを繰り返し、Phillip Rhodes(Dr)、Robin Wilson(Gt)を加えたところで固定されるが、RobinとJesseが担当パートを交換、結果的にこれが大成功へと繋がることに・・・。

89年にリリースした自主盤がA&Mの目に留まり、91年にメジャー・デビューEP「Up & Crumbling」を発表。カレッジ・ロック・チャートで好評をはくし翌92年にリリースしたメジャー・デビュー・フル・アルバム。

このアルバムは発売から一年近くかけてジワジワと上がりながらチャートに居座り続け、シングルチャートにも2曲送り込んだロング・セラーとなった。Billboard Top 200では2曲のみだが、Mainstreem Rock Tracks、Modern Rock Tracks、Top 40 Mainstreem等のBillboardチャートを合わせるとアルバム中半分以上の曲がチャートの上位に食い込む驚異的な成績を収めた。

2000年に出されたデラックス・エディションにはオリジナルのリマスター盤に加え、ミニ・アルバムやアウト・テイク、ライブ・トラック等のレアな音源を満載したディスクをプラスした、豪華2枚組のお買い得盤。これが出されたことによりオリジナル盤も中古が二束三文で売られるようになりこちらもねらい目か?

彼等のサウンドはエッジの効いたハードにドライブするツイン・ギターに乗っかる、甘酸っぱいメロディ(この年でこんな言葉を使うのが気恥ずかしいが・・・)、すきっ歯Robinのどこまでも伸びやかでスムースなヴォーカルが武器で、The Byrds~The Long Lyders、Marshall Crenshawの流れを汲んだものと言える。
ここで一つ私が立てた仮説を・・・

すきっ歯ロッカーに外れ無し
By Mudslideslim

①「Lost Horizons」、オープニングに相応しい爽やかでいて憂いがあり、ドライブ感も抜群の曲。身も心も病んでいたHopkinsの書くメロディは皮肉にも美しくも切ない。
②「Hey Jealousy」、Gin Blossomsの名前を全米に知らしめた代表曲。強烈にドライブするギター、固めの音作りが成されたベースに引っ張られる疾走感、痛いメロディ・・・。25位まで上がったヒット・シングル。運転中にかけて家が近づいても曲が終わるまで遠回りした経験が何度も。これもHopkinsの曲。
③「Mrs. Rita」、②が終わる頃にちょうど家に着かず、この曲に入ってしまうと続けざまに走らされた・・・・。②に匹敵する彼等を代表するようなメロディアスかつハードな必殺のチューン。
④「Until I Fall Away」、アルペジオが美しい、ちょいとテンポを落とした甘いメロディの曲だ。
⑥「Cajun Song」、Cajun-Zydecoミュージックの帝王、Clifton Chenierをアコーディオンに迎えたその名のとおりケイジャン・ミュージック調の曲。ルーツ・ミュージックへの愛情もしっかり感じられる。
⑧「Found Out About You」、こちらも25位まで上がったヒット・シングル。マイナーコードの響きがRobinの声に合う。
⑨「Allison Road」、これも彼等らしい切ないメロディと疾走感を兼ね備えたサウンド。The Byrdsスタイルのアルペジオも堪能できる。
⑩「29」、ミディアムテンポのこれまたメロディアスな曲、しかしRobinのヴォーカルは滑らかだ。普通なら聴き流しがちになる声質なのかもしれないが、エッジの効いたギターとの対比が素晴らしく、しっかりと心に入ってくる。
⑫「Cheatin'」、これはペダル・スティールも加えた本格的なカントリー・ロック。この曲を聴けば乱出するパワー・ポップ・バンドと違ってルーツ・ロック・ファンをも取り込んだ理由がわかる。非常にこなれた演奏だ。リード・ヴォーカルを取っているのはJesseだと思われる。

オリジナル・メンバーで、ソングライターとしてもバンドの重要なパートを占めていながらアルバムリリース後、レコーディング中にアル中と鬱による奇行でメンバーを悩ませていたHopkinsは追い出されることに。勿論、他のメンバー達には彼の書いた美しい曲がオンエアされ捲っていた93年の12月に、彼が38口径の銃身を咥えて自分の頭を撃ち抜くとは想像も出来なかったのだが・・・。

バンドはScott Johnsonで穴を埋めツアーを続行、95年にはMarshall Crenshawを共作者として招きサウンド・トラック「Empire Records」に「Til' I Here It From You」を提供してこれもヒット。96年には1stの路線を踏襲した2ndとなる好盤、「Congratulations...I'm Sorry」をリリース。「アルバムをサポートをするツアーに突入し、「Follow You Down」(9位)と「As Long As It Matters」(75位)と2曲のシングルヒットを生み出し、アルバムも10位まで上昇したが、半年持たずにアルバムはチャートから消え去り、勢いを失ったバンドは97年に解散する。

その後メンバーはGas Giants、Low-Wattsに分裂、それぞれ音楽活動は続ける。

2001年の大晦日、New Yorkで行われたコンサートのために一時的にリユニオンするが、2002年に正式に再結成。2006年には新作、「Major Lodge Victory」をリリース、イケメン・ドラマーPhillipがいないのは寂しいが(ライブでその他の演奏が荒れ気味でも聴きづらくならなかったのはPhillipの安定したドラミングに負うところが大きい。新加入のドラマーのライブ演奏はちゃんと聴いたことないのでわかりません!)、マイナーレベルでの活動ながら相変わらずのサウンドを届けてくれたのは嬉しいところ。

Gin Blossomsに興味を持たれた方、以前から好きな方はこちらの"Sunday"さんのページも覗いて見てください。私なんかよりもよっぽど愛情溢れる文章で彼等について詳しく説明してくれています。個人レベルのHPながら、Robinにインタビューも敢行するなど本気モードで彼等の来日を実現させようとしています。



あまりにも美しいメロディとあまりにも悲劇的なメンバーの自殺という相反する物事で世間の注目を集めてしまったGin Blossoms。
彼等はもう二度と過去のような成功を手にすることはないかもしれない・・・。
しかし彼等のファンにとってはメジャーかマイナーかなんてことは関係ない。New Albumで、残されたメンバーがHopkinsが生み出したサウンドを自らの血肉と化して全盛期を髣髴させる素晴らしいサウンドを聴かせてくれたのだから・・・。

Major Lodge Victory

Major Lodge Victory

  • アーティスト: Gin Blossoms
  • 出版社/メーカー: Hybrid
  • 発売日: 2006/08/08
  • メディア: CD





Video! 「Hey Jealousy」



Video! 「29」 (Live)


Video! 「Follow You Down」
RobinはMicheal J. Fox似か?


 


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オーディオ親父

懐かしい。てか、去年出た新作もグーな出来だよね!良い意味で全然変わってなくて(笑)!90時代前半は自分も現役でレコード店で働いていたのでホントよく聴きました!他にはHootie & The BlowfishやDel Amitoriとか!個人的にはT-Bone BurnettがプロデュースしたCounting CrowsやWallflowersなんか好みでした!この人たちの作品は車で聴いてて最高に気分良かったね!
by オーディオ親父 (2007-06-09 21:58) 

Mudslideslim

deacon_blueさん、ありがとうございます!
by Mudslideslim (2007-06-09 22:11) 

Mudslideslim

オーディオ親父さん、どうも。
T-Bone Burnettはプロデューサーとして本当に良い仕事をしていますね。
流石、Gin Blossomsは新作も聴いていましたか。ちょいと大人になったかな?という感もありましたが、相変わらず・・・といってよいサウンドでしたよね。
by Mudslideslim (2007-06-09 22:18) 

sunday

こんにちは。
とっても素敵な記事、ありがとうございました!
読んでいてニコニコしてしまいましたよ^^
すきっ歯ロッカー。。。
そうですね、ロビンは(笑)。
最近はずっとツアーをしていて、コレといったニュースもないのが
日本のファンとしてはもどかしいのですが、
本当に何とかして来日が実現しないかな~と
神頼みしてます(笑)。
何か良い方法があれば、ぜひ教えてくださいね!
最近はインディーズのミュージシャンでも来日していることがあるので、
何とかそんな感じででも可能性がないのか、考えています。
本当に素敵な記事、ありがとうございました!
by sunday (2007-06-10 20:30) 

Mudslideslim

sundayさん、コメントありがとうございます!

私の周りには彼等のファンが多く、来日すればそれなりに人は入りそうな気がしているんですけど・・・。少なくとも私の周りだけで15人は(少なっ)
只今、ちょいと体調を崩し気味で中々生活以外のことに手が回らないのですが、・・・とかいってこんなブログやっていますが、回復しだい私なりにも考えて見ます。
ルーツ・ミュージックにジャンルを特定すれば、かなりマイナーなアーティストを招聘してくれるところも知っているのですが、彼等の場合、そのサウンドにかなり他の要素も加わっているので・・・・。
その他のインディーズ系に関しては日本はヨーロッパ系(含北欧)の動きには敏感なので、駆け出しのアーティストも簡単に着てしまったりしますね。アメリカのバンドも若い世代のインディーズ系はたまに着たりしますが、そこでも彼等のルーツ嗜好が丁度日本では需要が少ないところに当たってしまっているような気がします。

ちょいとブログも休みますが、また直ぐに書き始めると思います。
何かお手伝いできることがあったら連絡ください。勿論、来日が決まったら大至急!
by Mudslideslim (2007-06-11 11:25) 

DEBDYLAN

遅レスです・・・ 毎度の事ですが(汗)

本当に'90年代はリアル・タイムの音楽を聴いていないって実感しています(苦笑)。
このバンドも知りません・・・

でも、この音はイイですね。
一発で気にいっちゃいました。

いつも、いろいろ教えてもらってます。
ありがとうございます。
by DEBDYLAN (2007-06-13 01:39) 

Mudslideslim

DEBさん、ありがとうございます。遅レスなんて・・・・
長期放置に比べたら・・・本当にすいません。

>いつも、いろいろ教えてもらってます。

こちらこそです!
by Mudslideslim (2007-09-20 18:05) 

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