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Shawn Mullins [Today's Album]

「Soul's Core / Shawn Mullins」 (1998)
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Soul's Core

Soul's Core

  • アーティスト: Shawn Mullins
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1998/09/15
  • メディア: CD

Lullaby 名詞 1.子守唄 2.気持ちをやわらげる歌、穏やかな音

この人も90年代以降のアメリカン・ミュージック・シーンを語る上で欠かせない最重要シンガー・ソングライターの一人。

Georgia州Atlantaの音楽一家に生まれ、大学卒業後、学費を返すために空軍に従事、トレーニングの合間を縫っては聴いてくれる人を探してギターを弾き、歌い、曲を溜め込んでいた。最初の自主制作盤はまだ空軍在籍中に吹き込んだ物らしい。
8年間の軍での勤めを終え、ギター片手に放浪、その後3年間の間に7枚の自主制作盤、数多くのクラブ・ギグといった活動を実りのないまま続ける。

ところが98年、彼の書いた「Lullaby」が地元アトランタのラジオ・ステーションのプログラマーの耳を捉える。彼女は「Lullaby」をヘビー・ローテーションにてオンエアーし、コピーを知っている限りの知人に配ったところ、契約争奪戦を巻き起こし、Columbiaが獲得。この曲収録の「Soul's Core」は自主制作されたアルバムをColumbiaが買い取った形で再リリース、54位まで上昇した。

まずこの人の魅力はその声。「Lullaby」を聴けばわかるが、とにかく嫌味がなく、喋っている低いトーンから裏声のファルセットに至るまで滑らかに繋がっていく。しかも低いトーンの輪郭がまたはっきりしていて説得力が有り、ストーリーテラーとしては最適!たまに“何オクターブの音域を持つ”とかを売り文句にしているアーティストを見かけるが、そういうのって概して「ああ巧いですね。凄い高い声出ますね。だから何なのよ?」と思ってしまうシンガーに多いような気がするんだけど・・・。技術的にはそれ程ではないのかも知れないが、彼にはそれを生かして自分の表現したいことを伝える能力と気概がある!

①「Anchored In You」、新しい愛の始まりを歌っているのであろうか?「俺は君に錨で固定されちゃったんだよ!」という表現が面白い。静かに歌いだすフォーク・ロックだが、サビではオルガンも加わりヴォーカルも熱い!
「Lullaby」、ツアーでLAを回っていた頃に書いたという。シングルチャート7位まで上昇。テープの逆回転サウンドに続く単調なドラム・ループ、アコースティック・ギターのカッティングに乗せて語りだす。(歌いだすではない!)昔で言えばトーキング・ブルース・スタイル。それがサビに入ると周りの霞が全て晴れ、急に視界が開けるかのように、エレキ・ギター、ベースに呼応してShawnのVocalも空高く舞い上がる!
登場するのは裕福な家庭で甘やかされて育ったが、決して満たされない、美しいのに微笑んでいる時でさえしかめっ面に見え、天使の町での自分のもう一つの顔(devil)に気がついた少女。ドラッグのことを歌っているのであろうか?(考えすぎか・・・)いずれにしろ一見華やかなHollywoodでの生活、その背後に潜む狂気のことを歌っているのであろう。それでも彼は彼女に向かって歌う、"Everything's Gonna Be All Right, Rock-a-bye・・・"
一聴すれば、この曲をかけ捲ったプログラマーの心情を察するのは難しくない
 
③「The Gulf Of Mexico」アコギにエレピというシンプルなアレンジで明らかに70年代のソングーライター・サウンドに影響を受けているのがわかる。メキシコ湾に降り注ぐ聖なる滝のような雨の中に、当ての無い人生を垣間見る情景描写が秀逸。
④「September In Seattle」クラビネットのファンキーな刻みが大陸横断列車Amtrakの走行音を連想させる、駅、電車内から見える情景を歌った曲。③と同様、情景描写と主人公の心の動きを捉えるのに限られ、主張を押し付けてくることをしない、が、何を云わんとしているのかは自ずと伝わってくる。John Prineあたりに近い手法か?
⑪「Sunday Mornin' Comin Down」多くの人にカバーされてきたKris Kristoffersonの名曲、オリジナルよりテンポを落としているために6分15秒と長くなっているが、メリハリの利いた演奏とヴォーカルで長さを感じさせない。
⑫「You Mean Everything To Me」使い古された陳腐な愛情表現だが、Shawnの説得力あるヴォーカルで全く安っぽさを感じさせない。ギターにマンドリン、エレピも聴こえるかな?弾き語り調だが必要にして充分なアレンジでしょ?
⑬「Shimmer」、この人はけっこうドラム・ループを多用するが、それが独特のグルーブを生み出すのに役立っている。ピアノ、オルガンも加わり徐々に盛り上がるロック・バラード。「我々は生きて、愛して、輝くために生まれてきたのだから、憎みあわない術を学びたい・・・。」

人間が直面する様々な場面を描いた物語集だね、これは。
じっくりと落ち着いてこの音楽に向き合ってみて欲しい。類まれなる表現力を備えたシンガー・ソングライターShawnのヴォーカルがあなたの"Soul's Core"に優しく触れるのが感じられるはずだから!

続く「Beneath the Velvet Sun」、
Pete Droge、Matthew SweetとのユニットThorns名義による「The Thorns」も好盤ながら、以上でColumbia(このレーベルにDylanやBossを見出した精神は最早感じられません!)に捨てられる!(怒)
その後マイナーながらフォークの名門Vanguardと契約、地味にはなったがより自らのルーツであるフォークに近づいたとも言える、昨年の「9th Ward Pickin' Parlor 」も凄いよ!


 
Video 「Lullaby」 PV



Video 「Everywhere You Go」 PV 次作「Beneath The Velvet Sun」より。キャッチーです!少しアレンジ過剰かも知れないが、渋いヴォーカルが軽薄なポップソングになるのを妨げている。



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DEBDYLAN

こんにちは。
'90年代以降は僕のエア・ポケット(苦笑)
コレ以降にリリースされているアルバムは、それまで聴き続けていたアーティストの新譜を購入する程度。
新規開拓は殆どゼロに等しい状態でして・・・(汗)

彼もこの記事を読むまでは全くノーマークでした。

この手の音は基本的に好きなので、これからもいろいろと紹介して下さい。

頼みますよ、師匠!!(笑)
by DEBDYLAN (2007-04-22 15:49) 

Mudslideslim

DEBさん毎度です!
私がエア・ポケットを埋めましょう。(笑)
ていうか私達ぐらいの年代だと90年代は仕事が忙しくなったり、
家庭での責任も増してそうそう趣味にかまけてばかりは
いられなかった頃ですよね。普通は・・・・。
私は当時、仕事もかねていたのでスムースに入っていったんですけど。
それ以外にも、この手の音楽の日本での露出が極端に減ってきた
のもあると思いますが・・・。
by Mudslideslim (2007-04-22 19:31) 

Mudslideslim

deaconさんnice!ありがとうございます!
by Mudslideslim (2007-04-22 19:50) 

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