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Murray McLauchlan 「Songs From The Street-The Best Of」 [Today's Album]

「Songs From The Street-The Best Of / Murray McLauchlan」 (2007)

Best Of: Songs from the Street

  • アーティスト: Murray McLauchlan
  • 出版社/メーカー: True North
  • 発売日: 2007/10/16
  • メディア: CD


大晦日に誰もこんなところ見にこないだろうけど・・・今年最後の更新です。

先日、古い友人に会うことが出来ました。私の場合、相方と音楽や映画の価値観を共有できる幸せな環境なのですが、それでも久しぶりの友人との再会で音楽に映画にと喋り捲ってしまいました。
十数年前にすっかりMurrayにはまり込んだ私に「俺ではなくオマエが持っているべきだ。」とアナログを一枚譲ってくれたのも彼でした。

勿論、南部の音楽も大好きなんですが、カナダのアーティストには思い入れがあって、その中でも特別なのが彼。アメリカ北部やカナダのアーティストの作品には人間的な暖かさはありながらも共通して厳冬の凍てついた、そして張り詰めていて澄み切ったような空気感が感じられるのが不思議な魅力。

この人の初期の作品がCD化されていないのが解せない。同じTrue North系ではBruce Cockburnは別格にしても、David Wiffenだって形態はどうあれ1st、2ndがリイシューされていたのに・・・。
ベスト盤は以前にも出ているんだけど選曲がダメダメなのでリリースされている中では一番好きな4thの「Sweeping The Spotlight」で我慢していたところ、麻田 浩さんのブログでこの2枚組のベストが今年になって出たのを知りました。ありがとうございます麻田さん。

ScotlandからTorontoに移住してきた家庭に育ったMurrayは17歳で家を飛び出し放浪。家出時の生々しい感情を唄った「Child's Song」が、自身の作曲能力に関しては?だがデビュー前のJackson Browne、James Taylor、David Wiffen、Joni Mitchellらの曲をいち早く取り上げ、選曲、新人発掘、放浪系フォークからSSW時代への橋渡しといった分野ではその才能を発揮した、太く男臭い喉を持ったシンガー、Tom Rushに「Old Man's Song」と共に2曲同時に取り上げられ注目度アップ。
71年に1st「Songs From The Street」でデビュー。翌72年には「Murray Mclauchlan」をリリース。Gordon Lightfoot等と共にカナダを代表するSSWに。Philadelphia Folk Festivalに出演した彼のホテル・ルームにはTom Waits、John Prine、Jim Croce、Steve Goodman、Loudon WainwrightⅢが集まり夜な夜なセッションを繰り返し、詩の題材や曲を披露し合っていたという・・・。誰か映像撮っていないのか!?
73年には「Day To Day Dust」を発表。これ以降もコンスタントに活動は続けていくが、個人的に諸手を挙げて他人に進められるのは3rdまでで4th以降は徐々にパワーダウンしているように思える。

残念なことは2枚組みというヴォリュームにも関わらず、1stから3rdまでの曲が其々3曲ずつしか収められていないこと。それでも買っちゃうんですけどね・・・。

同時代のSSWの多くが割と淡々とした唄い方をする中でシンプルなフォーク・ロック・サウンドに乗せて馬鹿正直なまでにガッツ丸出しの、黒さとはまた違った意味でのソウルフルなヴォーカルが魅力だった。恐らくTom Jans辺りが好きな人は気に入るのではないのだろうか。

 1. 「Honky Red」
自身のスライドもフューチャーした不思議とどこかしらスワンプ風な香りすらするフォーク・ロック・ナンバー。でもあのThe BandもLevon以外は全員カナダ人ということを考えれば不思議ではないか・・・。The Bandの音にも南部臭さと同時に何か寒々しさがありますよね?
 2. 「Child's Song」
両親や幼い妹への書置きのような内容の歌詞が生々しくもセンチメンタルなアコギ一本で唄われる曲。何かを求めて自分が初めて親元を離れた時のことを思い出さずにはいられない。
 3. 「Sixteen Lane of Highway」
ハーモニカで始まりながらもゆったりとした16ビートでこれもスワンプ風味のある曲。以前は沼地が合った生まれ故郷、小鳥の囀りも聞こえた。でも今見えるのは16レーンの高速道路・・・。
 4. 「Old Man's Song」
ここから3曲は2nd収録。弾き語り調なのだがシンセやストリングスが効果的に使われている。
 5. 「Carmelita」
Warren Zevon作。Warren自身、「かなり古い曲だ。」と語っていたのを読んだことがあるが、Warrenがこの曲を含むElektraでの1stをリリースしたのが76年。どういう経緯でMurrayが72年にこの曲を取り上げたのかは不明だ。メキシコ情緒溢れるこの曲に女性の啜り泣きのようなコーラスと印象的なギターのリフレインを配したこのバージョンも捨てがたい魅力がある。傷ついたベトナム帰還兵が痛みを和らげるために薬漬けになっていく状況を唄った曲は多い。国は保障を打ち切りメタドンはもう届かないのでヘロインに溺れていく。「薬に頼ってもしょうがないだろう?自分も努力しろ。」と嘗ての私ならそう言ったのかもしれない・・・。今は・・・ヤクくれ~。
 6. 「Farmer's Song」
非常にシンプルなワルツ調のフォーク・ソングだ。この国の人々が食べていけるのは農民のおかげなのに彼らのための曲がないなんて・・・。そんな純粋な動機で書かれた曲は青臭くも胸を打つ。
 7. 「You Need A New Lover Now」
ここからは3rd収録。ピアノが引っ張っていく美しいメロディを持った曲だが、飾り気のない直球勝負のヴォーカルが熱く、淡々としたDavid Wiffenのカバー・バージョンに比べて重厚な盛り上がりを見せる。間奏のドリーミーなギターはAmos Garrett!
 8.「Golden Trumpet」
これもシンプルなフォーク・ロック・サウンドに力みまくりのヴォーカルが微笑ましい彼らしいサウンド。
 9. 「Revelations」
死をも意識したような歌詞と美しいメロディ、アコースティック・ギターの響きにオルガンのサウンドと、どれをとっても素晴らしく感動的な曲。
10.「Down By The Henry Moore」
ここから4th収録曲。あれ?こうやって聴いてみると4thも素晴らしい曲入っていますね。ベストだから当たり前か。これはスコティッシュなんでしょうか?トラッドっぽいイントロとMurrayの引き締まったヴォーカルにTorontoの情景が目に浮かぶようなフォーク・ロック。
11. 「Shoeshine Workin' Song」
靴磨きの少年の目線で物事を捉えたイマジネーションとソング・ライティング能力が結実した悲しくも美しい曲。
12. 「Maybe Tonight」
カントリー風のフィドルやスライドをフューチャー。うーん、悪くない。
13. 「Do You Dream of Being Somebady」
これも曲自体は悪くないんだろうけど大所帯のストリングスと変な歪み方のエレキはやめて欲しい。このあたりが当時4th以降は駄目だと結論付けてしまった要因か。
14. 「Sweeping The Spotlight Away」
4thのタイトル・ソング。これはアコギとベースのみのシンプルな3拍子でヴォーカルも際立っていて良い。時折アコギで絶妙のフレーズを聴かせているのはBruce Cockburn!
15.「Cross Country」
これは74年の未発曲。悪くないが未発のままでも良かったかも。
16.「So Far From You」
75年録音のライブ音源。
17. 「Harder To Get Along」
ここからは77年の5th「Boulevard」収録。アナログもあまり聴かなかったなこれ。時代の流れか、リバーブ効き過ぎのヴォーカルに、これでもかっ?という大げさなアレンジで曲の良さが台無し。しかも長い。

だんだん文句が多くなってきたのでDisc2はやめときます。

初期のアルバムからの曲がCDで聴けたのは嬉しいが、紙ジャケなんて贅沢なこと言いません!
やはり最初の3枚はそのままCD化して欲しい。

SSWファンの方々には分かっていただけると思うのだが、私にとって一曲でも素晴らしい曲があるシンガーには他の100曲がクズでも大好きな人がいたりする。そんな中3枚も私にとって素晴らしいアルバムを創り上げたMurray McLauchlanは愛するに値する男なんです。

ご愛読してくださっている数少ない皆さん、大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします。
皆さんが来年も素晴らしい音楽に出会えるように!



「Down By The Henry Moore」



「Farmer's Song」


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