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Steve Forbert [Today's Album]

「Jackrabbit Slim / Steve Forbert」 (1979)
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Jackrabbit Slim

Jackrabbit Slim

  • アーティスト: Steve Forbert
  • 出版社/メーカー: Sony Mid-Price
  • 発売日: 1996/09/03
  • メディア: CD
映画「Knockaround Guys」でVin Diesel扮するTaylorが酒場で暴れるファイト・シーン。そのバックでSteve Forbertの「Romeo's Tune」が流れた時にはぶっ飛んだ!能天気とまでは行かないが、ほのぼのとしたピアノのイントロで始まる、およそ暴力シーンには似つかわしくない感傷的なラブ・ソングだったからだ。ミスマッチにも思えたそのチョイスの所為で、余計にそのシーンが脳裏に焼きついてしまったと共に、曲自体をも私にとって"まあまあ好きな曲"から"忘れられない曲"へと引き上げてしまった音楽担当者のセンスに脱帽!
そんな事で曲の評価を左右されちゃう自分もなんだか・・・。
この映画いわゆるマフィア映画なのだが、自分で組織を築き上げてはいない、いわゆる二代目達の甘さと自尊心のトラウマを描いた異色作。近年観た映画の中では5本の指に入る秀作。
主演のBarry Pepper良いですよ!「Enemy of The States」、「Private Ryan」 「Green Mile」 「25th Hour」、TV映画の「3」と見ているが、映画の出来はともかく、Barryの演技はどれも良いので今後が楽しみ!

ノックアラウンド・ガイズ

ノックアラウンド・ガイズ

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2005/07/06
  • メディア: DVD
Steve Forbertは55年、Mississippi生まれ、21歳のときにトラック・ドライバーを辞め、New Yorkに向かう。1stアルバム中の曲名にもなっているグランド・セントラル駅で小銭を稼ぐために歌い始め、Manhattanのクラブでの仕事を経て78年の「Alive on Arrival」でデビュー。続いてリリースされた2ndがこのアルバム。

Album チャート20位と、恐らく最も商業的な成功を収めた作品。決まっていたプロデューサーをBarbra Streisandに奪われたため、The Bandとの仕事で有名なJohn Simonに依頼。スターBarbraじゃ取り合っても勝ち目無いだろ。でも結果的にこれが大正解!

この人の場合はカントリー色は薄く、ハーモニカ・ホルダーを首からぶら下げるスタイルからもDylanやJohn Prine、古くはJimmie RodgersやWoody Guthrie等、流離いのフォーク・シンガー系に影響を受けていると思われるシンプルなフォークロック・サウンドに乗せて、「孤独」、「自尊心」、そして「希望」と「失望」と言ったテーマを哀愁のしゃがれ声で歌う流離いのブサイク君だ。

①「Romeo's Tune」はシングル・チャート11位とSteveにとって最大のヒットとなった曲。転がるようなピアノのイントロに続いて、声変わりに失敗したかのような、ハスキーでいて青臭さを備えた声で自分をRomeoに例えて甘い恋を歌うフォーク・ロック。その顔でラブソングかよ!という突っ込みはなしだ。
②「The Sweet Love That That You Gave」、珍しくホーンが使われている曲。どこかで聴いた事があるようなイントロだが目をつぶろう・・・。
③「I'm In Love With You」、リズム・セクション、アコースティック・ギターのストロークに控えめなピアノ、オルガンという今後の彼のスタイルもこの辺のサウンドがメインになっていく。これはスローで感傷的な曲。
⑧「Complications」、裏ノリのカッティングが印象的。思うように行かない人生の複雑さをコミカルに歌った曲。
⑨「Sadly Sorta Like a Soap Opera」、循環コードで淡々とシンプルなバックに乗せて、詩を朗読するように歌う彼らしい曲だ。
⑩「January 23-30, 1978」、これはタイトルから解るように日記のように一日の出来事を綴った曲。Dylanの影響大なフォークロック。ハーモニカとアコギとリズム・セクションのみの演奏だがこれも彼らしさが感じられるアレンジかもしれない。

Brad JonesプロデュースでWilcoのメンバーが参加した96年の「Rocking Horse Head」は、当時流行していたオルタナ・カントリーを意識した異色作だが、それ以外は殆ど同じような音作りなので、本作が気に入った人は他の全てのアルバムを受け入れられると思う。メジャーとのディールは途絶えた物の、現在はフォークの名門Vanguardから変わらぬスタイルのアルバムをリリースし続けている。

いまひとつ大物になれないのは特徴のあり過ぎる声が逆に災いしているのかもしれないが、群を抜くセンチメンタリズムは特筆に値する。そこにを共感できるか、または甘っちょろいと思うかが分かれ目であろう。
しかし、Dylan's Childrenと呼ばれる、Dylanがエレキを持ったときに生まれたと言われるフォーク・ロックの継承者達が、あまりにも巨大な影の下で現れては消えていった中、30年近くも第一線で(第二線ぐらい?)活躍できたのは上出来といっても言いのではないだろうか?
よくも悪くもその正統的な継承者の一人であるのは間違いない。



Video「Romeo's Tune」映画Knockaround Guysより問題のシーン。
冒頭で微かに聴こえるのは「My Maria / Brooks & Dunn」(Daniel Moore作B.W. Stevensonでヒット)
「Romeo’s Tune」はVinが暴れだすと同時に・・・



Video「Good Planet Are Hard To Find~Romeo's Tune」
本人とサポート・ギタリストのみのライブ映像


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deacon_blue

☆ 『Arrive On Arrival』で注目の新人だった記憶があります。
が,やはりセカンドがもっとも代表作ですね。
by deacon_blue (2007-05-16 23:55) 

Mudslideslim

deacon_blueさん、いつもありがとうございます!

そうですね。時期的にはSSWブームは一段落していたのですが、
"Dylanのフォロワー"的な盛り上がり方をしていたように思います。

>やはりセカンドがもっとも代表作ですね。
内容的にはどれも水準はいっているのですが、ずば抜けた
作品が無いのが彼の弱みかもしれません。
おっしゃるとおり、一気に彼の知名度をアップさせた
セカンドが代表作だと思います。

でも何故かこの作品だけCD化が遅かったんですよね。
その代わり唯一デジタル・リマスターされているのですが・・・・。
by Mudslideslim (2007-05-17 21:59) 

DEBDYLAN

はずかしながら、またまた未聴のアーティストでした(汗)。
ヤッパ、僕のエアポケットはかなりデカイみたいだ・・・
個人的には、何にも気にしてませんが(笑)。

ライブの映像、良かったです。

でもピッキングの位置、ネック側すぎ?(爆)

これからも、いろいろと教えて下さいね。

気持ちの入った文章と、選りすぐりの映像、楽しみにしてますんで。
by DEBDYLAN (2007-05-18 23:23) 

Mudslideslim

DEBさんありがとうございます!

>個人的には、何にも気にしてませんが
気にしてください!(笑)

Dylan's ChildrenなのでDEBさんのライバルですよ!
by Mudslideslim (2007-05-18 23:46) 

イチムネ

僕もSteve Forbertは結構好きやなあ。
これも昔に君に勧めてもらったやつやな。
今もituneに曲入れてるし、ガーナに持ってきた数少ないCDには、
『Young Guitar Days』があります。

若かったあの頃は、『Mexico』という曲がとても好きでした。聴くと頭の中に映像が浮かび上がる感じがたまらんかった。なんか心のメランコリックな部分に触れるというか、ザラザラとした雰囲気があの頃の気持ちにあっていたようで・・・。

でもやっぱ、ポイントはあのブサイク面か!?

関係ない話やけど、最近、新生イチムネとして生まれ変わりました。
またブログに書きますので見てちょうだい。
by イチムネ (2007-05-19 02:13) 

Mudslideslim

コメントありがとうございます、ガーナのイチンムネさん!

奥さんに日本語習っているようですっかり関西弁ですね。
カナダでお会いしたときに、Steveの「Mexico」にイチンムネさんが
猛烈に反応して、奇声を発して大喜びしていたのを覚えています。
『Young Guitar Days』のような未発表曲集にまで手を出すとは、
イチンムネさんも立派なブサイクフェチです。
新生イチンムネ?何のことかわからないですけど、楽しみにしています。
洋服を着るようになったとか?
by Mudslideslim (2007-05-19 17:38) 

Mudslideslim

acorns8さん、ありがとうございます。
by Mudslideslim (2007-06-05 19:27) 

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