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High Fidelity / ハイ・フィデリティ [Movie]

 「High Fidelity / ハイ・フィデリティ」 (2000 U.S.A.)
ハイ・フィデリティ 特別版

ハイ・フィデリティ 特別版

  • 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • 発売日: 2006/04/19
  • メディア: DVD


恋愛に不器用な男が、恋人に出ていかれた原因を過去の失恋を遡って探ろうとする、基本的には私があまり見ないタイプのラブコメに近い映画。
でもJohn Cusack扮する主人公ロブが中古レコード店を経営する病的音楽マニアとなると話は別。

ロブが雇っている、陰気で気配り屋だが、回りくどくお節介なディック(Todd Louiso)と、Stevie Wonderの「I Just Called to Say I Love You」を娘のために買いに来た中年男性客に対して、「そんな物欲しがるなんて娘さんは昏睡状態か?」と追い返す自己中男バリー(Jack Black)。この二人の従業員が強烈な個性を発揮。

ロブの店Champion-ship Vinylでは連日のように「歴代のA面の一曲目Top 5は?」、「自宅のレコードをアルファベット順に並べてるのか?それとも年代順か?」なんてアホな会話が繰り広げられている。

私が思うに音楽マニア究極の形がバリー。「悪趣味は罪だ!」と言い切り、自分より知識が無い人間を軽蔑する。
象徴的なシーンはCaptain Beefheartのアルバムを求めて来た客を、その客の好みがイモだという理由で、ケツの割れ目丸出しのバリーが難癖付けて追い返す。それを見ていた黒人の常連客に「自分より知識の無い者をコケにする。悲しい連中だ。」と吐き捨てられるがバリーはもちろん、他の連中も全く動じない。

レコードやCDを大量に聴き漁っている音楽マニアは多少なりとも自分の趣味が一番だと思っているのかも知れない。

私の場合はどうであろうか?
バリーの言動に苦笑させられるのと同時に、爽快な気分を味わってしまうのは、彼が言いたくても言えない私の優越意識の代弁者であったからであろうか?
自分の趣味と対極の人や年にCD3枚ぐらい買って音楽好きだと自称する人々、アーティストのことをろくに知りもしないのに、そのアーティストについて語ってしまう人々をに対して眉を顰めてしまうのは、内心軽蔑しているからではないだろうか?どんな人が何を語ろうと自由だと解っているはずなのに・・・・。

白状します。ルーツ・ロック色が色濃かった輸入盤屋に勤務時、流石に追い返しはしていませんが、影でバイト連中と共にお客様の御趣味に難癖付けてネタにした記憶はございます。ごめんなさい!悲しい連中です。

自分では音楽マニアだという自覚は無く、純粋に自分の好みを追及しているだけだ、と思っているのだが、そういった些細な優越感も音楽マニアの楽しみの一つなのかもしれない。許してやってください!

では、私が好みの音楽を選ぶ基準とはいったい何なのだろうか?(この問題もまた途方も無く長くなりそうなので詳しくはまたいつか。)

思い起こせば私の場合、実際の音よりもそのアーティストがどういうアーティストなのかということに拘ってしまっている事が多々あるのである。
例えばの話、今まで大嫌いなアーティストが、偶々、好みにピッタリのアルバムをリリースしたとする。私は「このお調子もんが!」と罵り買わない。
その逆に、今まで大好きだったアーティストが好みと対極の超駄作をリリースする。私は文句をたらたら言いながらも、たいして聴きもしないアルバムを買うのである。

うん?待てよ・・・・

音楽を純粋に好きなのは私ではなく、年に3枚でも、そのアーティストがどんなアーティストであろうと、耳で実際に聴いて気に入った物を買っている人たちなのでは?

映画の方はロブの妄想の中という設定で〝Boss”が出演。その他Catherine Zetaや、アカデミー俳優のTim Robbins等、大物も出演している。監督は「
ハイロー・カントリー 」(これはテーマが重く、登場人物が牛追いカウボーイでかなり好きな映画!)でも知られるStephen Frears。
自分のレーベルを設立したロブのためのパーティーで、バリーが結成した、ハードコア・バンドを思わせるようなおどろおどろしいネーミングのバンドSonic Death Monkeyがメロウな名曲「%凸#◎△×」(見てのお楽しみ!)のカバーを披露、ミュージシャンでもあるJack Blackの、荒削りながらもソウルフルな歌声には驚かされた。

音楽好きでなくても楽しめる作品、とは口が裂けても言えません!(楽しめるのかも知れないが、半減?)


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「Walk The Line / 君につづく道」 [Movie]

かねてから見たいと思っていたカントリー・シンガーJohnny Cashの自伝映画「Walk the Line」をようやく見ることが出来た。
2005年度のアカデミーで主演女優賞を、ゴールデン・グローブで作品賞、主演女優賞、主演男優賞を受賞した話題作だったが日本での反応はいまひとつだったのでは・・・?

自分はJohnny Cashファンなのでかなり贔屓目に見てしまっているので参考にはならないかもしれないが感想を。

ちょっと前に見たプレスリーの伝記映画「Elvis」と時代背景が同じでプレスリー役の俳優(Jonathan Rhys-Meyers)Johnny Cash役のJoaquin Phoenix / ホアキン・フェニックスに似ていたこと、どちらも父親役が同じ俳優(同じ2005年の作品で何ゆえ??)(Robert Patrick,ターミネーター2での悪役が有名)で、息子に対して愛情の薄い父親だったことなどから二つの映画を混同してしまいそうになるが、映画としてはこちらが上!

 

凄いのは吹替無しの演奏シーン!リヴァー・フェニックスが兄貴だけにホアキンはそこそこ歌えるとは思っていたが、June Carter役のReese Witherspoon / リース・ウィザースプーンの歌唱力には脱帽!今まであまり好きな女優ではなかったが、CDを出したなら買ってしまうかもしれない・・・というぐらいカントリー、フォークソングを歌いこなしていた。そのクラシックなルックス(似てはいないが)も手伝ってか、まさにはまり役でアカデミーも納得!ホアキンもJohnnyのディープさには及ばないものの、エンディング間際のフォルサム・プリズン刑務所のライブシーンでは鬼気迫る快演を見せ、不覚にも鳥肌が立ってしまった。

幼いころから著名な音楽一家の子供スターであったJune Carterに憧れながらも、貧困に喘ぐ幼少期に慕っていた兄を失ったトラウマを背負い、自らもシンガーを目指し、成功への階段を上り始めながら、Juneへの思いを断ち切れず、ドラッグに溺れたJohnnyJuneへの思いを貫き、彼女の支えもありながら再び頂点へ返り咲くサクセス・ストーリー。
この後文字通り死が二人を分かつまで30年以上添い遂げ2003年にJune逝去した4ヵ月後に彼もまるでその後を追うように逝ったのだから、彼のJuneへの思いは本物だったのであろう。

ひとつ文句を言いたいのはこの手の物を売るときの日本のメディアのやり方。
日本での知名度の低さのためかエルヴィスと並ぶロカビリー・スター~のキャッチフレーズをよく耳にしたが、Johnny Cashはスタートこそエルヴィスやカール・パーキンス等と時を同じくしてメンフィスのサン・レコードが擁するロカビリー・シンガーとして出発したが、彼は純然たるカントリー・シンガーである。デビュー時のスタイルこそロカビリーに近いものであったが、人間の本質に迫ったダークな歌詞と重たいサウンドはリアルで、他の浮世離れしたパーティーソングを歌ったロカビリースターとは一線を画する物だった。本人も「腰を振って踊ることも出来ないし、タイトなパンツをはいて客を魅了することも出来ないが歌については誰よりもわかっている。」と語っているように・・・。なのにこの映画をロカビリースターの半生記として売ろうというのは担当者があまりにも無知であるか、日本でも人気のあったロカビリーに便乗して映画を売ろうという、目先の利益だけを狙った販促のどちらかである。いずれにせよ、こういった方法では日本では理解のないカントリーやフォーク・ミュージックに対して更なる誤解と悪循環を招き、洋楽ファンの質の低下へと帰結する。時代に迎合していると思えば本国でも評価されていない質の低いアーティストでも紹介し、洋楽雑誌のレヴューではウワズミのような作品が並び、“Legend”とも呼ばれる人に対して「映画が賞を獲ったけど日本では知名度がないアーティストの伝記だから売れるように紹介しとけ。」的な扱い。自分が現役の情報を発信する側であった時から全くその体質は変わっていない、寧ろ悪くなっている気さえする。話が長くなるので本題に戻します。


Shelby Lynne
Johnnyの母親役で、Shooter Jenningsが自分の父親、故Waylon Jennings役で出演しているのもカントリー・ファンには嬉しいところ。その他の洋楽ファンも当時のミュージック・シーンを再現してくれているのでとても興味深く見ることが出来るのでは?

ウォーク・ザ・ライン 君につづく道 特別編

ウォーク・ザ・ライン 君につづく道 特別編

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2006/10/27
  • メディア: DVD


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