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生きてます。 [Music]




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共通テーマ:音楽

新年

あけましておめでとうございます。

すっかり年刊ブログになってしまっています。
音楽記事を待っている奇特な方々には本当に申し訳なく思っています。特に体調が悪くなっているわけではありませんが、とても忙しくてもうしばらくは音楽記事に集中できるような状況ではありません。
2~3月には2010年ベスト・アルバムを発表して、その後はある程度コンスタントに更新できるようにしたいと思っていますが…。
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共通テーマ:日記・雑感

2009 Best Album (New Releases) [Best Album of The Year]

眩暈や吐き気はかなり落ち着いてきていたし、全身の痛みについても今年の冬はわりと調子いいと思っていたら、このところの日替わりの天候と寒暖の差にはやられました。痛い~。 

すみません、すっかり時が流れてしまい、今更という感じですがアカデミー発表には間に合ったので許してください。

アカデミーといえば、今後変質者の役しか回ってこずに役者生命を終えるかとも思われていたJeff Bridgesが起死回生のはまり役(?)で受傷受賞したのは嬉しかったです。アバターが主要部門を逃したのも痛快。JeffとともにRyan Bingham & T-Bone Burnettが受賞したことも驚きました。Stephen Brutonも喜んでいることだと思います。
しかし、そのJeff主演の「Crazy Heart」は落ちぶれたカントリー・シンガーを描いたもので、Robert Duvall共演とのこと。同じくDuvallがオスカーを獲得し、落ちぶれたカントリー・シンガーを描いた「Tender Mercies」をどうしても思い出してしまうが・・・。


話がそれました。

今回は選出にとても迷いました。まず、20作品選び出し、全てレビューを書いたうえで5作品をレビューごと泣く泣く削除するという荒技を使い、ようやく15作品に絞り込みました。
例によって順不同ですが、大体上からという感じです。
それでは発表します。


 

Live in Europe [Analog]

Live in Europe [Analog]

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Lightning Rod
  • 発売日: 2009/10/13
  • メディア: LP Record

[Live In Europe] / James McMurtry
問答無用、出せばランクインのMcMurtry。本作は早くも2作目となるライブ・アルバム。収録曲8曲という中途半端な内容だが、なんとこのアナログ・バージョンを購入すると同じ内容のCDに加えて6曲入りライブDVDもついてくる!一曲目の「Bayou Tortue」からバリバリギターと震える喉で唯一無二の非情な空気感を醸し出しているのは流石。DVD収録の「Laredo」では作者のJon Dee Grahamが乱入、炎と氷のAustin競演は見ものだ。他人のライブでガハハ、ガハハと吠えまくり喋りまくるJon Deeとは対照的に、終始クールでニコリともせずに観客に礼を述べるMcMutryに痺れろ!DVDには往年の名曲「Too Long In The Wasteland」が収録されているのも見逃せない。踊りまくるオランダ娘は物珍しいから見に来ただけなのか、それとも真のMcMurtryファンなのか?スタジオ作に続いてIan McLaganも駆り出されている。


Written in Chalk

Written in Chalk

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: New West
  • 発売日: 2009/03/03
  • メディア: CD

[Written In Chalk] / Buddy & Julie Miller
申し訳ないのだけどJulieのリード・ヴォーカルはあまり好きじゃない。が、Buddyのリードに寄り添うJulieのハーモニーはいつ聴いても◎だ。彼女がリードをとっている曲を差し引いても、余裕のランクイン!前作から急接近したゴスペルの影響を感じさせ、深く重く響くBuddyのヴォーカルが荘厳な「Eliss Country」で幕を開ける。続く「Gasoline And Matches」は独特の揺れるギターも切れ味鋭いブルース・ナンバー。Julie作の佳曲「Chalk」、「Hush Sorrow」でBuddyのヴォーカル・サポートをするのは、なぜかそれぞれPatty GriffinとRegina McCrary、更にGeorge Jonesの名唱で知られる「Selfishness In Man」でもEmmylou Harrisと、共同名義の作品としてはJulieの役割が少なく疑問が残る。好き嫌いは別にして、Alison Kraussとの共演でアメリカーナづいているRobert Plantも「What You Gonna Do Leroy」でインパクトある歌唱を聴かせる。好き嫌いを別にしなければ邪魔くさい。


Losin' Lately Gambler

Losin' Lately Gambler

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: New West
  • 発売日: 2009/09/29
  • メディア: CD

[Losin' Lately Gambler] / Corb Lund
Corb Lund Band名義での作品もあるカナダのカントリー・ロッカーNew West移籍第一弾。切ないメロディとちょっぴり乱暴なヴォーカル、繊細なタッチのカントリー・ギターで我が家のへヴィーローテーションとなった「A Game Town Like This」は年度最高の負け犬ソング。郷愁溢れる「Alberta Says Hello」、ぶっきらぼうな語りが聴ける「Talking Vetrinarian Blues」、Tex Mex調の「Devil's Best Dress」、R&Rな「The Only Long Rider I Know」、Waylon調イントロの「Chinook Wind」等、作曲、アレンジの引き出しも多く、飽きることなく聴ける。獣医の息子という境遇が生んだと思われるオープニングの「Horse Doctor Come Quick」の切羽詰まった歌唱から、ラストのライブ・バージョンで収められた「Rye Whiskey~Time To Switch To Whiskey」まで、Corbの歌声には家畜と安酒場、孤独と放浪の影が色濃く染みついている。負け犬カナディアン・カントリーの傑作。New Westは偉い!


Shadow on the Ground

Shadow on the Ground

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Rounder
  • 発売日: 2009/09/08
  • メディア: CD

[Shadow On The Ground] / James Hand
こちらは元馬の調教師。アルバム数は少ないが、Willie Neslon、Ray Price、Ray Benson等大物たちのリスペクトを集める伝説的なベテラン・テキサス・カントリー・シンガー。一曲目「Don't Want Me To」のイントロ、唄い出しのしょっぱいヴォーカルでテキサス・カントリー・ファンなら狂喜すること請け合い。「Mona Lisa」でお得意の柔らかいトーンのリード・ギターを披露しているのはAsleep At The WheelのRay Benson。Honky-Tonkナンバーでの汗臭さも強烈だが、メロウな「Just A Heart」、「Midnight Run」でのむせび泣くヴォーカルも若造にはとても出せない哀愁を帯びている。ライナーで最大級の賛辞を送っているのはKris Kristofferson。Junior BrownやHacienda Brothers等ののアクの強いカントリー・サウンドが好みでHank Sr.のヴォーカルが嫌いでない方は是非御一聴を。Texas-Countryでは定評のあるLloyd Mainesのプロデュース作。


Haymaker!

Haymaker!

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Yep Roc
  • 発売日: 2009/01/06
  • メディア: CD

[Haymaker] / The Gourds
元々持っていたルーツ・ロック的要素に加えて、元WilcoのMax Johnstonがカントリー弦楽器を携え加入した頃から、更なる深みが加わり、ここ数作に至ってはその勢いはとどまるところをしらない。1曲目の「Country Love」は一聴カントリー・ロックなのだが、ヘンテコなタイミングのタムとブリッジ部のドブロ(?)の響きから、日本のどこかの民謡のようにも聴こえてくるから不思議だ。続く「Fossil Contender」もご機嫌でいてだらしない演奏が絶妙のロック。しかし、歌詞は相変わらず難解で、"Back Of My Head Smells Like a Kick Drum"ってどういうことよ?バンジョー、マンドリン、アコーディオンがリードする「All The Way To Jericho」、ピーヒャラオルガンの「Luddite Juice」、懐メロのような「Tighter」もお気に入りソングだ。本人たちはいたって大真面目に、顔を真っ赤にして叫んでいるのだろうが、どこか脱力させられるユルいヴォーカル、たこ坊主のようなルックスにも愛嬌がある不思議なカントリー・ロック・バンドだ。猥雑なB級っぽさを失わずに保ち続けてほしい。


Electric Dirt

Electric Dirt

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Dirt Farmer Music/Vanguard
  • 発売日: 2009/06/30
  • メディア: CD

[Electric Dirt] / Levon Helm
前作に続いて今回もスピーカーの向こうから泥の塊とともに入れ歯が飛んできそうな強烈なヴォーカル・パフォーマンスが聴かれるアルバムをリリースしたLevon。手術後の喉の調子は極めていいようだ。「Electric~」といっても特にエレキ楽器が前面に出ているわけではなく、「Dirt Farmer」同様の音作りで、まさに“土”を感じさせるアメリカン・ルーツ・ミュージックのオンパレードだ。オープニングの「Tennessee Jed」はGrateful Deadの曲。相変わらずの重たいドラミングも健在だ。Randy Newmanの「Kingfish」もストリングスを省いたアレンジで泥クサ度倍増にバージョン・アップ。Muddy Watersの2曲のブルース・ナンバーでの歌唱も凄い。前作のレビューで「エッジが多少減った」と書いたが、多少フガフガと聴こえるのは喉のせいではなく、入れ歯のせいだと本作にて確信した。喉は絶好調だ。どうでもいいことだがBest Traditional Folk Albumに続いてBest Americana Album部門で爺様Grammy連続受賞!


Gulf Coast Highway

Gulf Coast Highway

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Alligator
  • 発売日: 2009/03/24
  • メディア: CD

[Gulf Coast Highway] / Eric Lindell
彼のルーツがBlues, Soul, Funkであることは明白だが、思いっきりNew Orleans風のアレンジが施されてるとはいえ、Willie & Waylonの「I Can Get Off On You」、ソウル色が強いアレンジのBuck Owensの「Crying Time」、Delbert McClintonの「Here Come The Blues Again」等、カントリーにもかなり通じていることが垣間見れるカバー群が秀逸。もちろんファンキーなリズムとワウ・ギターの組み合わせの「This Love Is Gonna Last」、自演のハープも快調なシャッフル、「It's A Drag」等のブルースも収録。欲を言えばもう少しギターを弾いてほしいが、この人は唄うことが好きなんだろう。自作の歌ものソウル・チューンの「If Love Can't Find Way」、「Love And Compassion」も光っている。Blues、Soul、FunkそしてCountryまで消化した安定感のあるルーツ・ロック。インスト曲「Raw Doggin'」ではMetersの影もちらつく。


Bend in the Road

Bend in the Road

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Texacali
  • 発売日: 2009/09/22
  • メディア: CD

[Bend In The Road] / Mark Stuart And The Bastard Sons
The Bastard Sons Of Johnny Cashというベタなバンド名(Johnny Cashの使用認可有!)で活動していたMark Stuartが、心機一転製作したアルバム。1曲目のBilly Joe Shaverのこれまたベタなカバー「I'm Just An Old Chunk Of Coal」を聴いた瞬間、ストレートなカントリー演奏と歌唱に体がとろけそうになった。出すぎのオルガンとカントリーっぽくないエンディングのエレキのせいででダサいカントリー・ロックになりそうだが、伸びのある歌声のため一歩手前で寸止めの「Way Down The Road」もがオヤジの耳には心地よいし、アコーディオンが挿入された弾き語り調の「Lonestar, Lovestruck Blues」のまっすぐなヴォーカルには泣かされる。バック・ヴォーカルとしてTed Russell Kampの名も。この人はStacey EarlのパートナーのMark Stuartと同一人物ですよね?


Jason Isbell and the 400 Unit

Jason Isbell and the 400 Unit

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Lightning Rod
  • 発売日: 2009/02/17
  • メディア: CD

[Jason Isbell And The 400 Unit] / Jason Isbell And The 400 Unit
Drive-By Truckersのハッタリサウンドは好きになれなかったが、ソロになったJasonのサウンドは同じ轟音でも腰の据わった落ち着きがあるもので、オルタナ・カントリーが進むべき方向に進んだ好例といえる。オルタナ・スワンプとも呼べそうなオープニングの「Seven-Mile Island」に続き、“こんなに唄えるシンガーだったのか?”とさえ思えたソウルフルな「Cigaretts And Wine」と「No Choice In The Matter」、メラメラとした情念が感じられる歌唱と切ないメロ、爆音のバックが絶妙で、勝手に私が名曲と認定した「However Long」、Crazy Horseのような暴れんぼう演奏がかっこいい「Good」、「Soldiers Get Strange」、そして落ち着きのある「Streetlights」もよく、捨て曲がない。インストの「Coda」も重要な位置を占めているように聴こえる。オルタナ以降のロックに抵抗がないルーツ・ロック・ファンは聴くべし。Jasonの音世界を表現したようなカバーのイラストも素晴らしい。うーん、Truckersをあまり好きになれなかったのはPattersonのせいか?


Together Through Life

Together Through Life

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Columbia
  • 発売日: 2009/04/28
  • メディア: CD

[Together Through Life] / Bob Dylan
Dylanファン、Stonesファン、Beatlesファンにはマニアックな人が多く怖いので(経験ではDeadファンは寛容な人が多い、ていうか平和主義でぶっ飛んでいる?)、普段はあまり語らないようにしているけれど言っちゃいます。これはDylanのアルバム中、好きなアルバムベスト10、いや7には入るのではなかろうかという出来。声の枯れ具合も一時の聴き辛く細い八百屋声を通り越してドスが利いてきてよし。巷でも高評価ながら、古臭いとか、ルーツ指向とか言われているようだ。確かに、大まかにわけるとブルースかテックスメックスを基調とした曲ばかりだが、音作りに関しては、Daniel LanoisやT-Bone Burnett等に通じる幻想的な空間処理といい、ジャギジャギとしたエレキギターのひずみ具合といい、Jack Frostさんの感覚は洗練されてされていて古臭さを感じない。異論もあるかもしれないが、“起用でセンスがよく、時代の空気を先読みする才能に長けている”というのが自分のDylanの評価だ。作詞パートナーとしてRobert Hunterを起用。その他David Hidalgo、Mike Campbellが参加。


For a Second Time

For a Second Time

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Cedar Creek Music
  • 発売日: 2009/07/13
  • メディア: CD

[For A Second Time] / Daddy
それぞれの活動以外にも多くのアーティストのサポートを行ってきたWill KimbroughとTommy Womackが再びタッグを組んだ双頭バンド、Daddyのデビュースタジオ作。パーカッションとオルガンによるイントロが緊張感をあおるオープニングのソウルフルなアメリカン・ロック「Nobody From Nowhere」は文句なしにかっこいい。彼らのヴォーカルもまたいい感じの緩さがある。Stones風R&Rの「Early To Bed, Early To Rise」、はねたリズムの16ビート「The Ballad Of Martin Luther King」、トレモロ・ギターでCCRを彷彿とさせるスワンプ・ナンバー「Love In A Bottle」、セカンド・ライン・ビートの「Wash & Fold」とオープニングから一気に聴かせる。後半少々たるむような気もするのが少々残念だが、American Musicを裏で支え、知り尽くした男たちによる極上のアメリカン・ロックが聴ける。


One Foot in the Ether

One Foot in the Ether

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: BOH Records
  • 発売日: 2009/09/15
  • メディア: CD

[One Foot In The Ether] / The Band Of Heathens
前作の人選ミス(?)を踏まえてか、セルフ・プロデュースとなった2nd。相変わらずライブでの疾走感は今一つ伝わってこないが、アナログを意識したと思われるこもり気味で重心の低い音は1stよりは好みで、まとまりもでたように思える。前作と明らかに違う点は、外部のソングライターが参加した曲以外はすべてメンバー3人の合作とクレジットしている点だ。3人のコール&レスポンス(掛け合い)ヴォーカルで進行させる曲も増え、「Shine The Light」はタイトルからも想像できるようにゴスペル色が強い。ブルージィーでファンキーな「You're Gonna Miss Me」も強烈なスワンプ・ソング。その他Gordyが切々と歌う「Let Your Heart Not Be Troubled」、頭の中が大恐慌なGillian Welch & David Rawlingsによる「Look At Miss Ohio」、やっぱりThe Bandを思い出さずにはいられない「Talking Out Loud」、泥沼スワンプ「Golden Calf」、ラグタイムな「Right Here With Me」等聴きどころは多いのだが、2,3曲、はじけるような疾走感と若さを感じさせるが曲があったらアルバムとして文句なしだったろう。


Save Me, San Francisco

Save Me, San Francisco

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Columbia
  • 発売日: 2009/10/27
  • メディア: CD
[Save Me, San Francisco] / Train
訪米時にかかりまくっていた「Drops Of Jupitor」で彼らを知り、次作の「My Private Nation」まで購入。しかし、06年の「For Me It's You」は「この年でこんなロックを聴いていたら恥ずかしい」という理由でパス。久々に購入した本作では「Save Me San Francisco」、「Hey Soul Sister」とのっけから弾けんばかりのポップさと蟹江敬三似のヴォーカリスト、Pat Monahanのソウルフルなハイトーン・ヴォイスにやられっぱなし。しかも、3曲目の「I Got You」にはオヤジ殺しの仕掛けが・・・。メインストリームのロックというべき磨きすぎた音作りと時たま顔をだす荘厳なストリングスにはアルバム通して聴いていると流石に疲れてくるが…。いや~「You Already Know」もいい曲だ。Train史上最高に曲が充実したアルバムではないでしょうか?41歳の春なのに、こんな若向けロックを聴いていていいのでしょうか?


A Friend of a Friend

A Friend of a Friend

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Acony Records
  • 発売日: 2009/11/17
  • メディア: CD
[A Friend Of A Friend] / David Rawlings Machine
Gillian Welchのヴォーカル・パートナーとして、またギタリストやソングライターとしてRyan AdamsやJay Farrar等とも活動を共にしていたことで知られるフォーク・シンガーの満を持してのデビューアルバム。Epiphoneの小型のアーチトップがトレードマークで、J-50をもつことが多いGillianと並ぶとその立ち姿は滑稽でもあった。Welch同様、オールドタイミーなフォーク、カントリーが基本で、繊細且つか細い声で薄幸さを演出するフォーク・ソング「Ruby」でがっつりもっていかれる。Gillianとのハーモニーもこなれたもんだ。「To Be Young」はRyan Adamsが先に発表していた共作曲だが完全なフォーク・バージョンだ。カバーは2曲で、Coner Oberst(知らない)という人の曲とNeil Youngの「Cortez The Killer」をメドレーにしたものと、Jesse Fullerの「Monky And The Engeneer」だ。ドリーミーな「Bells Of Harlem」でのベルの音を模したドリーミーなウーリッツァーはBenmont Tench。頭の中が、自分が生まれる遥か前の大恐慌時代な変態シンガー。


Joy

Joy

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Jemp
  • 発売日: 2009/09/08
  • メディア: CD
[Joy] / Phish
このアルバムには賛否両論がありそうだ。変態サウンドが大好きなPhish-Headsには受けが悪いのかもしれないが、自分はPhish独特のグルーブ感に加えて、底辺にあるルーツ指向、時折顔を出していたポップ・センスが大好きだったので大満足な復活作だ。リズムの刻み方が摩訶不思議な「Sugar Shack」や13分を超える「Time Turns Elastic」等もあるが、1曲目の「Backwords Down The Number Line」はTreyの「Shine」の流れをくむ爽快でキャッチーなナンバー。ゆったりとしたリズムとスカスカのサウンドの「Ocelot」はGraterful Deadの影響が色濃く反映されている曲でJerryの声で唄われることが容易に想像できるほど。「Kill Devil Falls」もドライブ感あふれるシンプルなロック・チューンだが間奏部はスリリングでやはり聴かせる。“特殊なバンド”との認識が強く、敬遠していたロック・ファンも多いだろうが、一般のアメリカン・ロック・ファンにも受け入れられそうな作品。





The Worst Album Of The Year

Big Dreams & High Hopes

Big Dreams & High Hopes

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Big Machine
  • 発売日: 2009/08/25
  • メディア: CD
[Big Dreams & High Hopes] / Jack Ingram
前作を聴いたときから嫌な予感はしていた。なら買うなと言われそうだが買わなきゃ文句も言えない(Reissueでは買わず文句を言うこともあるが)。カントリー界ではメジャー・デビューしたものの商業主義に嫌気がさし、マイナー落ちしてから花開く連中も多いが、この人はその逆の例。今やJerry JeffやSteve Earleと共演していたころの面影(音影)はない。ポップかつモダン・ロックっぽいカントリーをやっているアーティスト(Keith Urban等)のアルバムとして聴けば決して悪いものではないのかもしれないが、これを聴かされてカントリーだと言われてもピンとこない。Patty Griffinを引っ張ってきてお茶を濁すが重症度が高く何の助けにもなっていない。そのイヤラシイ髪型もどうにかしろっ!坊主になって出直せっ!次がだめなら見放すぞ!


Wilco (The Album)

Wilco (The Album)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Nonesuch
  • 発売日: 2009/06/30
  • メディア: CD
[Wilco (The Album)] / Wilco
Wilcoには過去に裏切られていたので、内容が良かった前作も信用できずにああいう評価になったが、「そ~れ~見たことか~っ」という感じだ。吐き気がするほどではないが、“ここにこの音必要か?”と思われる効果音のようなサウンドといかにも切り貼りして遊んだらこんな曲できました的な不自然な進行が不快だ。こうなってくるとJeff Tweedyのいい年こいたファニーフェイスにまで腹が立ってくるから不思議だ。モダン・ロック・バンドのアルバムとしてはメロディにハッとさせられる曲もあるので悪くないものだとも思うが、中途半端なところをうろうろしてないで行くならさっさとそっち側に行っとくれ!内容よりも、ふらふらするバンドの態度に腹が立つ一枚。




総評

今回は選出にとても迷いました。Corb Lundの成長には目を見張るものがあり、James HandやMark Stuartと共にハードなカントリーを聴かせてくれたのが嬉しかったです。
次点となるのは、Tom Parr脱退以降の作品としてはベストと思える楽曲が集まり、久々のEric “Roscoe” Ambellプロデュースと、条件はそろったものの、“Roscoeともあろうものがまさかの軽すぎサウンド”になってしまい選外のBottle Rocketsの「Lean Forward」、”一人多重演奏バンド”というコンセプトは崩れたものの、再度カントリーへの愛情を示したJohn Fogertyの「The Blue Ridge Rangers Rides Again」あたりです。おばちゃん連中を従えたDave Alvinの「Dave Alvin and the Guilty Women」も地味ながら好感が持てたアルバムでした。

以下は十分及第点の出来ですが、ボスであるShooterは“やっちまった”感があるが、相変わらず堅実なスワンプSSW、Ted Russell Kampの「Poor Man's Paradise」、安定感ありすぎなSubdudesの「Flower Petals」、そして映画音楽も評価されたRyan Binghamの「Roadhouse Sun」に対しては、共に前作の方が好きだったので、フェアじゃないですが厳しい評価になりました。
特にRyanはまだ若く、ここで慢心して放浪魂を忘れられると大変なのであえて厳しく接します。

Charlie Robisonの「Beautiful Day、Sister Hazelの「Release、Radney Fosterの「Revivalは内容は悪くなかったけど、なぜか共通してデジタル臭く薄っぺらい音作り(流行か?)が災いしてボツ。
実はよく聴いていたJ.J.Caleの「Roll On」も「新鮮味がない!」との罵声が怖くて選外。
 
Steve Earleの長らく温めていたと思える企画盤「Townes」は、わりと変な味付けがない解釈には好感が持てました。しかし、好きなのはわかるが何せ相手が悪く、声質も生反対なので原曲のイメージに打ち勝てず惨敗、しかも喉の調子が悪そうなのも気になり、去年に限っては懐古趣味な息子Justine Townes Earleの「Midnight at the Movies」に負けているとさえ思えます。
紹介している作品とは趣が違う都会派SSWで、去年唯一買った女性アーティスト、Leslie Mendelsonの「Swan Feathers」は、疲れているときに聴き流すのに最適でよく聴きました。

わかる人にはわかると思いますが、カントリーというのはややこしいジャンルで、“カントリーが好きだ”というと日本国内はおろか、本国である米国でも誤解を招くことになるのであまり公言はしないのですが、自分はやはりカントリーが好きなので今年もハードでソウルフル、且つラフで生々しいカントリー系アーティストの好盤がリリースされることを望んでいます。

以上

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2009 Best Album (Reissue & Compilation) [Best Album of The Year]

あけましておめでとうございます。

年明けからとても忙しくてそろそろ一息つけるかと思っていたら体調がた落ち。
ようやく持ち直してきたので頑張ってアップします。

お待たせしました。2009年度Best Album、まずはリイシュー部門の発表です。


Barry Goldberg

Barry Goldberg

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Micro Werks
  • 発売日: 2009/07/07
  • メディア: CD

[Barry Goldberg] / Barry Goldberg (1974)
セッション・キーボーディストとして知られるBarryがその作曲能力に加え、素朴なヴォーカルによる表現力をも証明した"Rythm & Country"な名盤。Dylan & Wexlerのプロデュースでサポート・メンバーとしてMuscle Shoalsの面々(Pete Carr, Jimmy Johnson, Eddie Hinton, Barry Becket等)が参加。Gladys Knightで知られる「I've Got Use My Imagination」、Rod Stewartで有名な「It's Not The Spotlight」のセルフカバー以外も全曲自作で、これぞMuscle Shoalsといったサウンドに乗せてここぞとばかりに一世一代の名唱を聴かせる。曲順だけでなく、ミックスもいじられているのは議論の余地がありそうだが、本人によればこれがあるべき姿ということだし、そのことを差し引いても作曲パートナーであったGerry Goffinの「イッツ・エイント・イクザトリ・エンターテイメント 」と同じ匂いを放つ素晴らしいアルバムであることに変わりはない。


 

ポット・ラック & スペア・チェンジ

ポット・ラック & スペア・チェンジ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ウ゛ィウ゛ィト゛・サウント゛
  • 発売日: 2009/11/25
  • メディア: CD

[Pot Luck] / Spooner Oldham (1972)
上のBarryに続いて南部音楽を支えてきたキーボーディストによる名盤ソロ・アルバムがなんと同年にリリース!Dan Pennを作曲パートナーとして多くの名曲をソウル界に提供し、Muscle Shoalsの名鍵盤奏者として活動してきたOldhamの1stと2ndのカップリング。あまり好きじゃない2in1だけどジャケットが2枚分入っているのでまだ良心的といえる。「Pot Luck」のB面にあたる「Profile」は他者に提供してきた有名曲のインスト・メドレー。A面にあたる前半ではミディアム~スロー・テンポの曲が並ぶが、不器用ながら黒人シンガーとはまた違った切々と訴えるボーカルが胸を打つ。ロック畑での活動が多かったBarryに比べるとよりソウルフルで重厚なオルガン・サウンドも全編で満喫できる。韓国のBig Pinkによるリイシュー。


 

ベスト・フレンド・オーヴァーナイト

ベスト・フレンド・オーヴァーナイト

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ウ゛ィウ゛ィト゛・サウント゛
  • 発売日: 2010/02/17
  • メディア: CD

[Best Friend Overnight] / Ray Materick (1975)
1st「Sidestreet」も去年CD化されたが自らのスタイルを確立した本盤をプッシュ!カナダ人SSWにしては珍しく男くさく枯れた喉を持ったRayだが、どこか冷たい張りつめた空気感を感じるのはカナダ人シンガーならでは。基本的にはカントリー系SSWとしての基軸を打ち出しているが、ストリングスも絡めた甘くメロウな曲とビターな苦み走ったヴォーカルが絶妙の相乗効果を生んでいる名盤。ペッダルスティールも配した軽めのカントリー・ロック「Feelin' Kinda Lucky Tonight」、弾き語りで始まり、サビでドラマチックに盛り上がる「I'd Be Your Man」等、冬の夜を彩る名曲ぞろい。久々に聴いた「North Bound Train」には泣いた。同じカナダ出身のRob Galbraithもピアノで参加。これもBig Pink。他のアルバムも頼む!

 

ブルー・ストーン

ブルー・ストーン

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ウ゛ィウ゛ィト゛・サウント゛
  • 発売日: 2009/10/14
  • メディア: CD

[Blue stone] / Tobias Wood Henderson (1968)
この人は今まで聴いたことがなかった。ジャケ写から判断すると、うちの母親なみの豚面なのでスワンプの名盤との評判に対して懐疑的だった。しか~し、1曲目のファンキーなブルース・ロック、「Color Blind」を聴けば、Tom Jonesも真っ青の汗臭く、むさ苦しく、パワフルな黒い喉を持っていることが判明!冒頭の数曲を聴けば納得だが幼少のころからラジオから流れるブルースとゴスペルに多大な影響を受けている。喘息のため幼少のころから病弱だったり、率いていたバンドメンバーが全て黒人だったため不条理な差別を受けたり、レコード会社との金銭トラブルがあったりと薄幸で、その後の活動も低迷したようだが現在もひっそりと音楽活動しているみたいでよかった。クレジットはないがDr.Johnが参加しているようだ。早すぎたスワンプマンの名作。Big Pink!


 

Country Suite

Country Suite

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Wounded Bird
  • 発売日: 2009/03/17
  • メディア: CD

[Country Suite] / Dave Loggins (1976)
知名度では完全に負けている従兄弟のKenny Logginsより優れた作曲センスを持ち、早くからNashvilleではソングライターとして重用されていたSSWの3rd。前2作は過去にCD化済みだが、去年3rd以降もCD化。4th以降は「?」だが、「Please Come To Boston」という大ヒットを生み出した2ndの路線を踏襲した本作までは抑えておきたい。田舎の澄み渡った空気を感じさせるオープニングの「Movin' To Country」での伸びのある歌声は素晴らしいし、「I'm Gonna Farm You Off My Mind」は軽快なバンジョーがリードしながらも、強がりともとれる歌詞と共にDaveのヴォーカルには哀愁が感じられる。本領発揮のミディアム・ナンバー「You’ve Got Me Hold On To」、「Come On Over My Place」での一言一言噛みしめるような真摯で力強くも優しい歌声もKennyの素っ頓狂な声でクネクネしたヴォーカルより好きだ。Kenny Malone, Mac Gayden等、Nashville組の控えめなサポートも功を奏している。


 

レターズ・トゥ・マイ・ヘッド

レターズ・トゥ・マイ・ヘッド

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ウ゛ィウ゛ィト゛・サウント゛
  • 発売日: 2010/03/17
  • メディア: CD

[Letters To My Head] / Mike Deasy (1973)
世間ではスワンプの名盤的とらえ方をされているが、West-Coastの流れをくむロック色の強いSSWととらえるのが正解ではないかと…。Beach Boys, Kenny Rogers, Monkees, Sonny & Cher, Elvis Presley, Billy Joelといったアーティストのアルバムに参加し、映画音楽の世界でも活躍してきたギタリストのソロ・アルバム。南部志向が感じられる「The Peace Song」、「Stager Lee」等もあるが、全体的には出身地のCaliforniaの気候を思わせるカラッとしたわかりやすいキャッチーさがメロディ、ギタープレイの中で光っている。スワンプの名盤だと思って聴くと肩透かしを食らうと思うが、南部志向も多少はあるWest-Coast系SSW(LA-Swamp未満)として聴くと決して悪くないアルバム。これもBig Pink!


 

バラッド・オブ・ア・サッド・カフェ

バラッド・オブ・ア・サッド・カフェ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ウ゛ィウ゛ィト゛・サウント゛
  • 発売日: 2009/09/16
  • メディア: CD

[Ballad Of A Sad Cafe] / Chris Hennessy (1978)
こちらはアイルランドからカナダに移住したSSW。混じりけのない優しく透き通った歌声と、厳しくも美しいニューファンドランドの大自然を感じさせる“アイリッシュ・トラッド ミーツ カントリー・サウンド”といった音作りが印象的。シングルとなった「Her Father Didn't Like Me Anyway」、更に「Mary Skeffington」と、Gerry Raffertyの作品を2曲も取り上げているのが興味深い。アイルランド時代に交流があったのだろうか。1978年という世間ではレコーディング方法や楽器に新しい試みがなされ始め、多くのSSWがAOR化し始めていた時期の作品だが、隔離された環境にいたためか非常に自然なサウンドの作品に仕上がっている。どこから出てきたのか知らないがボーナス・トラックを2曲収録しているのも驚き。これまたBig Pinkから!


 

Rockin' Cross The Country

Rockin' Cross The Country

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Wounded Bird
  • 発売日: 2009/10/11
  • メディア: CD

[Rockin' Cross The Country] / The Earl Scruggs Revue (1974)
レジェンドにして革命児、伝説的なLester Flattとのコンビを解消したバンジョーのパガニーニは、Randy, Garyの二人の息子やドブロのJosh Graves等を率いてEarl Scruggs Revueとしてロックに大接近、独自のBluegrass-Rockを構築していく。そのサウンドはArea Code 615のような計算されたものではなく、「1、2の3っで合わせてみました。」といような原始的なRockっぽさを追及している。Dylanの「I Shall Be Released」やAl Andersonの「Be My Woman Tonight」でのGaryのよれよれの泣きのヴォーカル、全体的にドタバタとしたJody MaphisのDrumにもロックを感じる。Linda Ronstadt, Bonnie Bramlett, David Allan Coe等がコーラスとして参加。彼らとは逆に、ロックの分野からカントリーに接近したアーティストたちに比べると不当に評価が低いような気がする。

 

Storyteller & The Banjo Man

Storyteller & The Banjo Man

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Wounded Bird
  • 発売日: 2009/10/11
  • メディア: CD

[Storyteller & The Banjo Man] / Earl Scruggs & Tom T. Hall (1982)
まさにタイトル通りバンジョーマンとストリーテラーのコラボ。この手の音楽には厳しい時代の作品だが、そんなことはこのジジイ二人にはあまり関係がなかったようだ。カントリーシンガーとしては珍しく、元々ペダルスティールをあまり使わずバンジョーを多用してきたTom T.のヴォーカルにEarlのバンジョーは違和感なく馴染んでいる。Marty Robbinsで知られ、クラシックともいえる「Shackles And Chains」ではTom T.ならではのハードボイルドが加味されている。ロック・ファンにもGPでおなじみの「Dim Light, Thick Smoke」や、大胆にブルーグラス-ロックにアレンジされたJagger-Richardsの「No Expectations」も収録。Gary Scrugss, Bylon Berline, Jerry Douglasの他、Rodney Crowell, Rosanne Cashも参加。難を言えば、やはり少し過剰とも思われるリバーブ処理。70年代半ばに実現させたかった試みだ。


 

Manassas Pieces

Manassas Pieces

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Rhino
  • 発売日: 2009/10/05
  • メディア: CD
[Pieces] / Manassas
あのManassasの未発表音源である。期待しすぎが最初は拍子抜けを招いてしまった。その理由は大半の曲が違う形ではあれ既発であったこと、オリジナル2作で感じられたエッジの利いた音が感じられず、少し丸みを帯びた音処理がされていたこと等があげられるが、それでもやはりManassasである。聴きこめば聴きこむほどこのバンドの凄さがジワジワとにじみ出てくる。既発曲だがテンポが上げられ、いかにも、というJoe Walshのギターが加えられた「Lies」、Bonnie Raittが参加しながらも未完のまま日の目を見なかったという佳曲「Like A Fox」、Hillmanのマンドリンが唸るBurritosとのジャム・セッション「Penhandle Rag」等聴きどころは多い。このバンドはあと3枚はアルバムをリリースするべきだった。まだあるんじゃないか?出し惜しむなStills!


 
My Dusty Road

My Dusty Road

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Rounder
  • 発売日: 2009/08/25
  • メディア: CD
[My Dusty Road] / Woody Guthrie
4枚組で全54曲、そのうち未発のテイクは6曲のみ。曲の短さをも考慮するとあまりコスト・パフォーマンスが高いとはいえないが、特筆すべきはその音質。今まで持っていたWoodyの盤はもう聴けなくなる。DylanやBaezはもとより、Tom Paxton, Phil Ochs等のプロテスト・シンガーに直結している人であるが、今まで一般に受け入れられなかったのはあまりに古臭すぎる音質が災いしていた…、とすれば、このボックスはDylanの1, 2枚目の雰囲気とそれほど違和感を感じずに聴くことができる(?)と思うので戦前のフォーク、ブルースに免疫がなくとも“Woodyを聴いてみたい”と思っている人にはお薦め。彼の絵の才能は有名だが、大きめのライナーで非常に興味深いイラストも見ることができる。しかし、この上げ底のばかでかいボックスに紙ジャケDiscが4枚ちょこんと入っているだけでこのプライス。庶民の代弁者であったWoodyがこのような形でのリリースを望むだろうか。

 
    • Ride 'em Cowboy

      Ride 'em Cowboy

      • アーティスト:
      • 出版社/メーカー: Wounded Bird
      • 発売日: 2009/10/11
      • メディア: CD

[Ride'em Cowboy] / Paul Davis (1974)
初期にはバブルガム・ポップのようなサウンドもあったり、後にはいやらしいアダルトヒットを連発したりで、本当にやりたかったことは何なのか理解に苦しむSSWだが、そのメロディ・センスだけは一貫している。南部男にしては洗練されているものの、本盤には素朴さも感じさせるCountry Rockも収録されている。好きなアーティストか?と問われると返答に窮するが、Country系SSWファンには外せない、巡業ロデオ・カウボーイの悲哀を唄った歌詞も素晴らしいタイトル曲、「Ride’em Cowboy」を収録しているのだから始末が悪い。この時期から後のAOR時代の到来を感じさせる曲も収録しているのはある意味凄いのか?なんとか紙ジャケでオリジナル見開きを再現してほしかったがWounded Birdじゃ無理か。妙に都会的なNeil Youngの「Soutern Man」も収録。



なんかだんだん文句が多くなってきたのでこの辺で・・・。



The Worst Reissue Album Of The Year

Tom Petty and the Heartbreakers Live Anthology

Tom Petty and the Heartbreakers Live Anthology

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Universal
  • 発売日: 2009/11/30
  • メディア: CD

[Live Anthology] / Tom Petty & The Heartbreakers
良い点はまず音が素晴らしい。古い音源も非常にいい音で再現されており、こだわりが感じられる。演奏もどれも素晴らしく、彼のルーツが垣間見られるBobby Womackの「I'm In Love」、Zombiesの「I Want You Back Again」、Grateful Deadの「Friend Of The Devil」、Fleetwood Macの「Oh Well」、J.J. Caleの「I'd Like To Love You Baby」The Byrdsの「Ballad Of Easy Rider」といったカバーの収録もうれしい。
悪い点、まずジャケの絵が変。もっと歯を剥き出したリアルの描写にしてほしかった。
全体的な繋がりや臨場感が味わえないのでライブ・ベスト的な編集ではなく、組数が増えてもライブを丸ごと味わえるようにしてほしかった。
限定仕様に付属しているDVDは楽しめたし、12インチのプロモEP、CD自体が1枚多いこともOKだが、全曲を96K24bitで収録したBlue-Ray、中途半端なポスター、バックステージパスのステッカー、使うに使えないメモ帳等のおもちゃ類、収納に困る悪戯にでかいボックス等のために現在のAmazon価格にて通常盤との価格差が13,650円にもなるのは許せん。Blue-Rayなんか持っていないし、持っている人は5枚のCDが不要になってしまう。最近オヤジの純粋な心につけこんだ詐欺まがいの商法が横行している。


Neil Young Archives 1 (1963-1972) (10pc) [Blu-ray] [Import]

Neil Young Archives 1 (1963-1972) (10pc) [Blu-ray] [Import]

  • 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
  • メディア: Blu-ray
[Archives Vol1: 1963-72] / Neil Young
本人はハイレゾのBlue-Rayを薦めているようだけど、多分俺には違いがわからないだろう。普段、音質にうるさいようなことを言っているが、同じ条件で聴いたMP.3とWAVで「こっち(MP.3)の音が好きっ!」って言いかねない。iPodの音がウンコだっていうことは一瞬にしてわかるけどね。
既発ものとダブり音源が多いのも、今まで時折発狂するゴリラに付き合ってきたファンを裏切るような行為だ。ゴリラよ、おまえもか!?「Neilなら許す!」と言いたいところだが、金欠には勝てない。これを買う金で他人のアルバムを20枚は買えるのだから…。現代の人で聴きたい人もいっぱいいるし、まだまだ過去の録音の箱ものを買って開封しながら一人にやける老後を送るつもりはないっ!
ってなわけで買っていません!誕生日のプレゼントはこれでお願いしま~す。あっ、BDプレーヤーは持っていないのでDVDのほうで…。



総評

2009年度はとにかく韓国Big Pinkの猛攻が目立った年でした。ちょっと前のBeatballなどもかゆい所に手が届くリイシューをしていましたが、この手の音楽の需要は日本より韓国のほうがあるのでしょうか?最近の日本のレーベルは一般的な名盤を紙ジャケ化することに必死で、音楽ファンの欲求を満たす驚きのCD化があまりないのでもう少し頑張って欲しいです。
“数うちゃあたる”のWounded Birdは、一昔前のRhinoのようなもう少し愛情のあるリイシューを心がけて欲しいですなぁ。縮小コピーしただけみたいなジャケ写は粒子が粗くて、裏のクレジットのちっちゃい字が読めないこともあります。
全体的には60~70年代のカントリー・アーティストの作品のCD化を進めて欲しかったのですが食指が動くものは少なかったです。この辺は韓国、日本のレーベルには全く期待できないので、US、そしてUK、ドイツ等のレーベルに頑張ってもらいたいです。

また忙しくなるので新譜のほうはもう少し時間をください!


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不定期病状報告 [脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)]

ご無沙汰しています。


今年初頭に小競り合いで勝利し、か細いながらも補給路を確保したので、去年よりCDの購入量は増えたのですが、忙しさと痛さに感けてとんでもないサボり方をしてしまいました。これだけサボっていたのに、毎日多くの方(少数が複数回?)が当ブログを訪れていたくれたことには驚かされ、また、励みにもなりました。
音楽の記事を楽しみにしている奇特な方々、身体の心配をしてくださっている優しい方々、ご許しください。

今年も色々な検査、治療を試みてきましたが、今のところ目立った改善はありません。しかし、特に悪化してもいないので、それはそれで感謝して新年を迎えることとします。

私の新しい試みや、日々の症状に一喜一憂している様を聞かされると、同じ病気を患っている皆様も、混乱するのではないかとの考えから、(いや、長年治療しているのに変化がないのでもう面倒くさい?)ので、不定期病状報告は封印しようと思っております。

もし、私の症状や治療法に関してご興味がございましたら、コメント欄やメールで質問をいただけたらその都度できる範囲で回答するつもりでございますので、ご遠慮なく質問をお寄せください。

劇的な改善がみられて、皆様にも有効と思える情報がございましたら遅滞なく記事として発信させていただきますが、来年は主に音楽記事中心(プラス日々のぼやき)に活動していきたいと思っている所存でございます。

年明け早々、敵軍が性懲りもなくわが軍の補給路を断つ戦を再度挑んでくる気配が見られるので、また軍備に忙殺される恐れがございますが、1月中には2009年度の受賞者を発表したいと思っていますので、今後とも当ブログをよろしくお願いします。

皆様がよい新年を迎えられることを願っています。


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暇乞い 2009 [脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)]

今日の体調・・・
この変な天候をどうにかしてほしい。どっかいっていた物体が首の中に戻ってきた・・・。

予定通り、今週入院することになります。
今回の入院の目的は数年ぶりにRIシンチ検査を行い、現在も漏れがあるかどうかを確認することですが、漏れが確認できればそのまま8度目のブラッドパッチということになります。

入院期間は検査だけなら3日ほどですが、ブラッドパッチをすることになるのはほぼ間違いないのでその場合は一週間ほどになると思います。
退院後も安静期間が必要であり、症状が激しく上下することもありえるので数ヶ月は更新が出来ないかもしれません。

このブログをまめに見ていただいている方がいるとすれば大変申し訳ないですが、復帰の際、またよろしくお願いします。
では、いってきま~す!


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2008 Best Album (New Releases) [Best Album of The Year]

今日の体調・・・・
何故か身体中の痛みの症状はここ3日ぐらいちょっと楽。このぐらいなら生きていけます。でもやたらダルくて頭が重い。エイリアンは消息不明でどこかに潜伏中。

グラミー賞のほうはRobert Plant & Alison Kraussが複数部門を独占したらしいですね。まさかというか、やっぱりというか・・・。

さて、由緒ある当ブログの2008年度ベスト・アルバムの新譜部門は絞込みに苦労しました。難産の末、選出されたのが以下の12枚です。受賞おめでとうございます!




Just Us Kids

 

 

 

 

「Just Us Kids」 / James Mcmurtry
寧ろ彼の作品の中では出来の悪い部類に入るかもしれないが、私にとっては唯一無二な存在なので一番に入選決定。Jon DeeやC.C. Adcockとの共演ははまっていて新しさも感じたが、この人には変化は望んでいないので「これ以上同じことは出来ない。」などと考えずに自分の道を貫き通して欲しい。ゲストや気を衒った変わった楽器挿入も程ほどに。バリバリとした手癖ギターと震えるハードな声があればいい。

 

The New World

 

 

 



「The New world /
Bruce Robison
1~2曲目辺りまでは「悪くないが、ついに作曲能力も枯れてきたかなぁ。」という感じ。しか~し、3曲目の「Bad Girl Blues」で評価は一変、相変わらずの息づかいまで聴こえてくる生々しいヴォーカル録音も素晴らしく江頭目頭が熱くなる。続くMickey Raphaelのハープが滑らかな「California 85」もどこか懐かしい感じがする8ビート・カントリー・ロックの好トラック。そしてこの後はラストの「Echo」まで全てよし。凄いぞRobison!見た目はJohn Goodman化が進んでいるようです。
 
 

Trouble in Mind 

 

 



「Trouble In Mind」 / Hayes Carll
Lost Highwayからのメジャー・デビュー。定番のギター・ケース・ジャケ写から過去の名盤を思い起こした方も多いと思うが、私がこのジャケから連想したのはTom Rush。サウンドの方は、同じ放浪系でレーベル・メイトのRyan Binghamがバンドとしての一体感をも表現しようとしていたのとは違い、飽くまでも“SSW+サポート”という感がある。全14曲、捨て曲なしで一気に聴かせるが“2、3曲削った方がアルバムの密度も上がるのでは”というのは長いアルバムを通して聴く体力のないオヤジの戯言か。曲によってはドブロ、バンジョーも配したアコースティック・サウンドに適度にエレキ・ギターを被せる音作りと力強くもどこか投げやりなVocalは登場時のTodd Sniderを思い出した。現在のアメリカーナ・シーンの土台を支えるWill Kimbrough、Darrell Scott、Dan Bairdらと共にAl Perkinsも参加。
 
 

Low on Cash, Rich in Love 

 

 

 

「Low On Cash, Rich In Love」 / Eric Lindell
現代のアーティストではBluesよりの人よりもCountryよりの人を好んで聴くことが圧倒的に多いのですがこれはよく聴きました。70年代からブルース専門レーベルとして奮闘しているAlligatorからの2nd。枯れた歌声とギター、ハーモニカを武器にソウルフルなR&Bスタイルの「Lay Back Down」、「Tried And True」、New Orleansっぽいファンクの「It's A Pity」、リズムがゆるく、適度な隙間でうるさすぎないブルース・ロックの「It's My Pleasure」と多彩なサウンドを聴かせる。唯一のカバー・ソングであるGil Scott‐Heron作の「Lady Day & John Coltrane」は、オリジナルはお洒落な人だと思っていたので聴いたことがなかったが、ファンキーなカッティングがカッコよく、リード・ギターもハープも堪能できるブルース・ロックに仕上がっている。
 
 

The Steeldrivers 

 

 

 

「The Steeldrivers」 / The Steeldrivers
一曲目の「Blue Side Of The Mountain」からのChris Stapletonのどす黒いヴォーカルに仰け反ること必至の非常にソウルフルなブルーグラス・バンドのデビュー作。メンバーにはDead Reckoning組のTammy Rogers(Fiddle)とMike Henderson(Mandolin)先生も。グラミー賞"Best Country Performance By A Duo Or Group With Vocals"部門にノミネートされていたが惜しくも受賞は逃した。まあこの部門でのこの手のバンドの受賞は無理でしょう(受賞はSugarland)。
 
 

Blind Man's Hill 

 





「Brind Man's Hill」 /
The Bridge
こんなに早く2ndをリリースしてくるとは・・・。前作でインパクトが強かったラップ・スティールが抑え気味なのは残念ながら、カントリー、ブルーグラス色を強めに打ち出して引き出しの多さを披露。そのラップ・スティールをフューチャーした「Poison Wine」はスカスカの音ながら重いドラミングとスティールの音色でやはりLittle Featのようなヘヴィネスを感じさせる。何故かヘナヘナ声のKennyがヴォーカルを取る曲が増え、新しい試みとも言える牧歌的な「Born Ramblin’」で一息つけるかと思いきや、巧みな演奏に聴き入ってしまう。「Dirt Ball Blues」でのCrisのカントリー・ピッキングは強烈だし、ラスト「Lasting Hymn」は弾き語りなのに荘厳でスケールのでかさを感じさせる。2ndにしてベテラン・バンドのような風格は凄い!
 
 

The Band of Heathens 

 

 


「The Band Of Heahens」 / The Band Of Heathens
ライブでの荒々しさがいま一つ表現しきれていなかったのが少々残念ながら、The BandやCCRの流れを組む正統的なアメリカン・ロック・サウンド満載のスタジオ・デビュー作。中心メンバー3人其々のソロ活動も含めて今後の活動から目が離せない。
 
 

Honey Songs 

 




「Honey Songs」 / Jim Lauderdale
まったく知りませんでしたが、どうやらこの人私に無断で去年関西方面に上陸していた模様。(怒)
James Burton、Ron Tutt(Drum)、Glen D. Hardin(Piano)、Garry Tallent(Bass)、Al Perkins(Pedal Steel)らDream Bandを従えたベテラン・カントリー・シンガー/ソングライターの全10曲35分、音の方も必要最小限にして充分のカントリー・アルバム。近頃、辛口のカントリーが少ないとお嘆きの貴兄に。


Bucket 

 

 

 

「Bucket」 / Mando Saenz
Texas育ちながら何故かとても繊細な語り口とメロディ・センスを兼ね備えたSSWの2nd。1stよりは現代っぽいというかオルタナ・カントリー(使用禁止語か?)っぽさも加味されたメリハリのあるサウンドになっている。ラスト2曲のストリング・アレンジはやりすぎかと思えるが、鼻にかかったヴォーカルと甘酸っぱいメロディが際立つ「Pocket Of Red」、「Pittsburgh」、「Seven Dollars」には干からびたオジサンの胸もキュンと疼いた。歌い出しから聴き手の緊張を和らげるような裏声が聴かれる「All Grown Up」でのハーモニーはKim Richey。他にはDavid GrissomやRichard Bennett等カントリー界のベテラン・セッションマンの名も。近頃あまりこういうのは聴かないんだけど癒されちまった。疲れているのか。
 
 

Modern Hymns 

 

 

 

「Modern Hyms」 / Darrell Scott
ソングライターとしてNashvilleで重用されていたカントリー系SSW。これまでのソロ・アルバムでヴォーカリストとしての資質も証明済みだが、今回はヴォーカル自体がものを言うカバー集。Bob Dylan、Guy Clark、Joni Mitchellといった大御所たちの曲が並ぶが、ポイントを外した玄人好みの選曲。白眉はGordon Lightfootの「All The Lovely Ladies」と、心に染み入るヴォーカルであのJesse Winchesterを思い出したAdam Mitchellの「Out Among The Stars」、そしてMickey Newburyの「Frisco Depot」。元Sugarhill在籍者だけあってSam Bush、Del McCoury、Stuart Duncan、John Cowan、Tim O’Brien、Alison Krauss等敏腕ブルー・グラッサーが参加。あっと、忘れちゃいけないDanny Flowersも。Mary Gauthierとのデュオで聴かせるLeonard Cohenの「Joan Of Arc」なんていう曲も収録。生々しいアコースティック・サウンドと誠実さ溢れるヴォーカルのみで勝負する大人の一枚。
 
 

Amen Corner 

 

 



「Amen Corner」 / Railroad Earth
上で紹介したThe Bridgeの緊迫感溢れる演奏とは対極のユルさが売りのブルーグラス・ジャム・バンドの5作目。基本的にはブルーグラスの楽器を用いたカントリー・ロックといった感じで演奏自体はそんなにユルくもない。では何がユルさの源かと言えばメイン・ソングライターでヴォーカリストでもあるTodd ShaferのJerry Garciaに酷似した歌声。サックス、エレキ・ギターも絡めてPhishのようなグルーブ感を感じさせる「Hard Livin'」、NRPS直系の2ビート・カントリー・ロック「Bringin' My Baby Back Home」、ハードでドライブ感溢れる「Waggin’ The Dog」等、各メンバーは様々なスタイルに合わせた変幻自在な演奏力を持ち合わせている。恐らくライブではもっとインスト部分が強調されるのだろうが、それほどテクに走らず、リラックスした演奏の波間を浮遊するToddのヴォーカルが心地よい。


Same Old Man 

 

 


「Same Old Man」 / John Hiatt
同じようなテンポの曲が並ぶために最初はピンと来なかったが、あ~ら不思議、聴けば聴くほどじわじわと楽曲のよさが滲み出てくるではあ~りませんか。四半世紀前からツルツルになるのは時間の問題と思えたが今でも頑張っている前頭部の生え際のように粘りがある歌唱を聴かせる「Love You Again」や声を張り上げずに優しく語りかける「What Love Can Do」、Luther Dickinsonのスライドが印象的な、「Ride My Pony」。その他、「Our Time」、「Two Hearts」、「Same Old Man」、「Let's Give This Love A Try」とグッと来る曲がめじろ押し。歯擦音が強すぎるヴォーカル処理が惜しいが、シンプルで最小限のアレンジで、曲の良さと心のこもったヴォーカルは充分に伝わってくる。
 




Worst Album Of The Year

Vagabonds 







「Vagabonds」 / Gary Louris

「きっと性格悪い。でも音楽センスに溢れた天才。」というのが私のこの人に対するイメージでした。とても期待していたのですが、全然好きになれません!睡魔以外には何も感じない。聴きなおそうと思ってもただひたすらダルく、眠くなるので未だにどういうメロディの曲が収録されているのか摑めていません。当然「Acoustic Vagabonds」は買う気になれず未聴。更にだるいのか少しは聴けるのか?09年のMark Olsonとのリユニオン作に賭けるか(もう購入済みだが)・・・。



総評
入選作以外ではKathleen Edwardsの「Asking For Flowers」やMalcolm Holcombeの「Gamblin' House」、そしてグラミーを受賞したRick Rubinのプロデュースでヴォーカリストとしての素晴らしさが浮き彫りにされたJacob Dylan「Seeing Things」などもよく聴きました。このあたりは例のごとく気分次第で入選作と入れ替わっていたでしょう。

Mark SelbyやRandall Bramlett等のブルース・ロック勢は其々の前作の方が好みだったので選外。

Counting Crowsの「Saturday Nights & Sunday Mornings」は全然嫌いな音ではないのですが、予想を裏切る問題作でした。今も「髄液を垂れ流してでも見に行きたいバンド」という評価は変わっていないので、いずれここで検証したいと思います。

Lucinda Williamsの「Little Honey」は「Car Wheels~」以降のアルバムでは良い方だと思ったのですが、スピードと切れが命のAC/DCの名曲をひたすら気だるくカバーしてしまうというミスと、けっこういけてる曲のヴォーカル・パートナーとして私が顔も声も作品も好きじゃない大物を選んでしまい、Lucindaのドスの聴いた声と鼻づまり男の貧相な声の相性も悪く、Lucindaデュエット史上最低とも思えるミスを犯してしまったので減点。

Ryan Adamsの「Cardinology」は「Let Us Down Easy」での圧倒的なヴォーカルで不覚にも泣きそうになりましたが、やはりいま一つ他の曲が弱く、私の忠告を無視して短いインターバルで出してきたこと、Neil Casalをバンド・メンバーとしてこき使っていることを併せて鑑みれば、罪は重く選外。

こんな感じでいかがでしょうか。


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2008 Best Album (Reissue & Compilation) [Best Album of The Year]

今日の体調・・・・・
相変わらずの全身痛。一番痛い部位は日や時間によって移動。首がパンパンに張っていて、裂けてエイリアンが出てきそう。

スーパー・ボウルではアリゾナを応援していて一時は勝利を確信したのですが・・・時間の使い方が難しいスポーツですね、アメフトは・・・。
ハーフ・タイムに登場した方の新譜に関してはほとぼりが冷めてからレビューします。 

お待たせしました。今更ながら2008年度ベスト・アルバムの発表です。このReissue & Compilation部門は選出が楽でした。全然買ってないからです!




At Folsom Prison (W/Dvd)

 

 





「At Folsom Prison」 /
Johnny Cash (1968)
ろくに確認もせず、「なぬっ?Folsomの映像が残っているのか!?」と、勝手に盛り上がって注文。DVDを見て盛り下がりました。んがっ、よく見るとこのドキュメンタリーは非常に興味深い内容です。その殆どがお蔵入りになっていた2ndショーの音源も嬉しいですが、ドキュメントのGlen Shirleyに関するくだりはよく知らない深い話だった。2枚組み全51曲+このドキュメントなら安い!

Midwest Farm Disaster 







「Midwest Farm Disaster」 / Bob Martin (1972)
かん高い歌声からSammy Walkerと比較されることが多いSSWだが、SammyほどMountain Music色は強くなく、ヴォーカルのアクも強いのでどちらかというとPaul Siebeのほうが近いと思っていた。David Briggs,Norbert Putnam,Kenny Buttrey等のNashville組が参加でバックはタイトだがアルバム全体を占めているのは荒涼感。豚面の男が豚に乗っているこの奇妙なジャケットも有名。CD化はTex氏のところで知りました。ありがとうございます。

Skyboat/Hymn to the Seeker 

 

 



「Skyboat / Hymn To The Seeker」 / Mac Gayden (1976)
続いてこちらもNashville組。ソングライターにして数多くの名盤に参加してきたギタリスト。ボトル・ネックとワウ・ペダルを絶妙のタイミングで操るスライド・ワウ奏法の発明者Mac Gaydenの2ndと3rdのカップリング。

Uneasy Rider 







「Uneasy Rider」 / Charlie Daniels (1973)
日本では能天気なカントリー・サザン・ロックとの認識であまり人気がない南部の巨漢Charlie。でも私の印象は繊細さと大胆さが同居した器用で芸達者なマルチ・ミュージシャン。彼(等)のアルバムは08年に複数リイシューされたが、豪快なサザン・ファンク「Funky Junky」、「Ballad Of Easy Rider」へのアンサー・ソングであるトーキング・ブルーグラス・スタイルの「Uneasy Rider」を含む、まだCharlie Daniels Bandと名乗る前の本作をチョイス。


Old Soldiers Never Die 







「Old Soldiers Never Die」 / Heads Hands & Feet (1973)
以前RepertoireでCD化されていたらしいが、今回は入手しやすいWounded Birdからのリイシュー。Albert Lee擁するHeads Hands & Feetのラスト・アルバム。前2作と比べるとカントリー色、スワンプ色共に後退しているが、勿論Leeの超絶弾き過ぎプレイを堪能できる曲もあり!いつもより歪んでいます。


Waylon Forever 







Waylon Forever / Waylon Jennings and The 357s (2008)
特別歌が上手いわけでもなく、いい曲が書けるわけでもないがそのフェロモン(加齢臭)により、絶対的な存在感でファンを魅了をしていたWaylonとその息子Shooter君率いるThe 357sとの夢の共演。ライナーがしょぼいので、生前に一緒に録音した物なのか、死後にバックを差し替えた物なのかは不明ながら、The 357sならではの豪快なサウンドにWaylonのフェロモン・ヴォーカルが乗るRodney Crowell作の「Ain't Livin' Long Like this」や親子共作の「I Found The Body」等貴重なテイクあり。しかしながら、「White Room」のカバーは意図不明。


Redwing







「Redwing」 / Redwing (1971)
顔が悪いくせに顔ジャケにしてしまったのが敗因か?CCRを生み出したレーベル、Fantasyが送り出した愛すべきB級アメリカン・ロック・バンドの1stアルバム。これもFalloutからのリイシュー。


Tarzana Kid 







「Tarzana Kid」 / John Sebastian (1975)
これも過去にCD化されていたようですが、格安で08年Rhino盤を入手。私の好みで言えば、名盤と言われている1stのドリーミー過ぎるサウンドよりもこちらの方が好み。本家Lowell Georgeが客演した「Dixie Chicken」、Every Brothersで知られる名曲「Stories We Could Tell」の自演を含む。Ry Cooder、Emmylou Harris、David Lindley等、豪華な客演も。


At Home







「At Home」 / Lambert & Nuttycombe (1970)
これは過去に国内紙ジャケのリイシューがあったようですが国内盤はあまりチェックしていないので気がつきませんでした。これはFallout盤。正に"At Home"な暖かみも感じられる一方、どこか物憂げな寂しさをも醸し出すフォーク・デュオのファースト。プロダクションにはMarc Bennoの相棒として知られるDavid Anderleと共にGlyn Jonesの名も。近年、Nuttycombeは地道にソロ活動を続け、Lambertは自殺。

Sugar Mountain: Live at Canterbury House 1968 






「Sugar Mountain」 / Neil Young (1968)
アーカイブ・シリーズ3作目となるが、3作中最も古い音源なので"Disc 00"との遡った表記。ソロとしてのキャリアをスタートさせたばかりの初々しさも感じられ、Buffalo Springfield時代の曲目が多めにリストに並ぶ。うん○でも投げつけられそうなジャケのゴリラ目力に押されてランクイン。


Country Funk 







「Country Funk」 / Country Funk (1970)
このバンド名と、Beckがサンプリングで使用したなどという肩書きにだまされてはいけません!そのサウンドはファンキーなカントリー・ロックではなく、CSNのフォロワーともいえるサイケなフォーク・ロックで、Stillsを思わせる声の持ち主までいるWest-Coastのバンド。Falloutという新興リイシュー・レーベルはこれから要注意。




The Worst Reissue Album Of The Year


The Bootleg Series, Vol. 8: Tell Tale Signs - Rare and Unreleased 1989-2006 







「The Bootleg Series, Vol.8」 / Bob Dylan
CD3枚でこの値段はないだろっ!CD10枚分じゃないかっ!なめんなDylanっ!弱者の見方Johnny Cashを見習え!内容のほうは・・・
買ってないのでわかりません。評価じゃなくて貧乏人の愚痴僻みでした。ううぅっ・・・ホシィ。





総評
アレ?何故か半端に11枚になりました。リイシュー部門で選に漏れたのは数枚ですね。今年も超度級のリイシューはありませんでした。特に期待していた60~70年代のカントリーのCD化はそれほど進まなかったようです。いや、あったのかも知れませんが、見ないようにしていたのかもしれません。世間を騒がす未曾有の不景気とは関係のない理由ですが、我が家も未曾有の不景気でした。こんなに意識してCD、レコを買わなかったのは数十年ぶりです。それでも“多少のCDは我が家にとって生活必需品”と必要経費で落としてくれる相方に感謝です。

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Mac Gayden 「Skyboat」 [Today's Album]

最近身体の痛みが強いんです・・・。その上所要であっちこっちでかけたりと・・・。
でも明日はゆっくりスーパーボウル観戦ができそうだ。またも?な作品をリリースして「やっちまったなぁっ!」感が強いあのお方も登場するようですし・・・。




「Skyboat」 / Mac Gayden (1976)
Click the Picture!

Skyboat/Hymn to the Seeker

Skyboat/Hymn to the Seeker

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Big Beat UK
  • 発売日: 2008/09/16
  • メディア: CD


 1. Morning Glory
 2. Gettysburg
 3. Southwind
 4. Everlasting Love
 5. Freedom Drum
 6. Don't Look Back
 7. It's All Right
 8. Sweet Serenity
 9. Apalachian Fever
10. Waterboy
11. Diamond Mandara
12. Sunfall (Bonus)

Produced By Buzz Cason & Mac Gayden


カントリー・ロック・ファンにはArea Code 615、Barefoot Jerryのメンバーとして知られているMac Gayden。彼の名前を知らない人でも、70年代のアメリカン・ロックが好きな人なら、知らずうちに彼の特徴的なギター・プレーを耳にしているはずである。そう、J.J.Caleの「Crazy Mama」で聴かれる“アレ”である。

彼が最初に注目を浴びたのはBuzz CasonとのコンビでNashvilleのソングライターとしてである。67年にRobert Knightがアメリカでヒットさせ、続いてLove AffairというグループのカバーがイギリスでNO.1ヒットとなった名曲、「Everlasting Love」がきっかけ。因みにこの曲は後にGloria Estefan、U2もカバーしている。Love Affairにいたっては、続くシングルとしても、同じくBuzz CasonとMac Gaydenのペンによる「Rainbow Valley」を取り上げ5位を記録しているのでMac Gaydenの名は本国よりもまずイギリスで広く知られるようになったようだ。

その後ギタリストとしても頭角を表し、同じくNashvilleでスタジオ・ミュージシャンとして活躍していたWayne Moss、Charlie McCoy、Kenneth Buttrey等とつるみ始め、その一団は"Nashville Cats"などと呼ばれ数多くのアーティストのレコーディングに参加している。クレジットはないので彼の残したテイクが使われたかどうかは定かではないが、彼らと共にDylanのBlonde On Blondeのセッション現場にいたのは間違いないようである。
その他にMac GaydenのプレーはKris Kristofferson、Simon & Garfunkle、Steve Young、Tim Hardin、John Hiatt、Tracy Nelson、Hoyt Axton等のアルバムで聴くことができるが、独創的な奏法でセッション・ギタリストしての地位をも確立したのは71年のJ.J. Caleの「Naturally」ではないのだろうか。このアルバムの「Crazy Mama」で聴かれるスライド・バーとワウ・ペダルを絶妙のタイミングで同時に操ることにより得られたサウンドはシンプルなフレーズながら、楽曲のもつイメージを決定付ける大きな要素となっているためJ.J.本人によるものだと思っていた人も多かったらしい。

"Nashville Cats"の面々は、それぞれのセッションと平行してスタジオ・ミュージシャン集団がバンドとしてレコーディングする先駆けとなったスーパー・バンドArea Code 615として2枚のアルバムを残し、Area Code 615がBarefoot Jerryと変形するのに従い1st「Southern Delight」に参加。Barefoot Jerryはこの後も流動的にメンバーを入れ替え活動を続けるが、言いだしっぺではないかと思われるMac Gaydenはこの一枚の参加に留まり、ソロ・アーティストとしての活動を始める。

73年に初のソロ・アルバム「McGavock」をかのBruce JohnstonのプロデュースでUKオンリーのリリース(恥ながら未聴)。その後ABCと契約して76年にリリースしたのがこの「Skyboart」と「Hymn To The Seeker」の2作だ。因みに今回のリイシュー盤は2 in 1ではなくCD2枚組。

このアルバムにはいわゆるNashville Catsの面々は参加していないためか、カントリー色は希薄。スタジオ・ミュージシャンのアルバムにありがちなちょっとスッキリした感触の音で、南部ミュージック・ファンにも少し物足りないものかも知れないが、彼がそのギター・プレーや曲作りにおいてNashvilleのカントリーよりはサザン・ソウルに影響を受けているということは明白に聴いて取れる。其の辺りの嗜好の違いが様々な音楽を吸収していながらカントリー・ロックにこだわっていたBarefoot Jerryを抜けた要因なのだろうか。

1. 「Morning Glory」は典型的なサザン・ソウル・スタイルを持った曲調。イントロから聴けるMac Gaydenのトレード・マークともいえるスライド・ワウ奏法に深めのリバーブがかけられているので不思議な雰囲気となっている。間奏部、エンディングでは意志を持ち何か言葉を語っているかのようにも聴こえる。この曲は「Nirvana Blues」でも再演されている。
2. 「Gettysburg」はバンジョーの弾き語り風。他のNashville Catsの面々同様、彼も複数の楽器を弾きこなすマルチ・ミュージシャンであったのだ。
3. 「Southwind」は透明感溢れるアコースティック・サウンドと不器用ながらも誠実さが溢れるファルセット・ヴォイスが田舎の朝の空気を運んでくるような清清しい曲。管楽器の音色も効果的。9. 「Apalachian Fever」、10. 「Waterboy」も同様の雰囲気を持った曲だが、9. ではセロが効果的に使われており、10. ではロングトーンを自在に操るスライド・ワウが圧巻。
4. 「Everlasting Love」、セルフ・カバーとなったこの名曲でも勿論スライド・ワウ・がフューチャーされている。ストリングスやコーラス非常にキャッチーなアレンジだがサックスと掛け合いで聴かれるスライド・ワウだけが異様な泥臭さを醸し出している。
5. 「Freedom Drum」、せっかくハードにロックしている曲で、彼のスライドも存分に聴けるのにコーラスやストリングスがオーバーなのが惜しい。
6. 「Don't Look Back」7. 「It's All Right」もサザン・ソウルらしい曲調だが、ヴォーカルの弱さがちょっと残念。7. の押弦からスライドに雪崩れ込むギター・ソロは素晴らしい。
11. 「Diamond Mandara」、この曲のタイトルや95年に出されたアルバムのタイトルからすると、彼は仏教に傾倒していたのだろうか。タイトルどおり、東洋をイメージさせるちょっと気持ち悪い音使いで始まるがその後何故か爽やかに展開する曲で10分を超える大作。ちょっと眠い。

このアルバムと「Hymn To Seeker」は、カントリーにはこだわっていなかったGaydenと飽くまでもカントリーとして売ろうとしたABCの思惑がまったく噛み合わず商業的には大失敗。その結果、95年の「Nirvana Blues」まで彼はソロ活動を再開することがなかった。
確かに中途半端な路線と、下手くそでも強烈な個性があったJesse DavisやDonnie Fritts等と比べるとあまり特徴のないGayden自身のヴォーカルが弱さは否めないが、数々のセッション・ワークよりも彼が編み出したギター奏法を充分に堪能できることを考慮すれば、先駆者のソロ・ワークとしてもっと認知されるべきであったのに、後の評価も不当に低いような気がする。

余談だがBarefoot JerryのCinderellaスタジオで録音していたSteve Millerは(恐らく「NO.5」録音時でしょう)、そこでMac Gaydenからスライド・ワウ奏法の手ほどきを受け「The Joker」で披露。ここで聴かれるSteve Millerのフレーズはまったく迫力に欠け、本家の足の指元にも及ばないが、却ってその効果音的なしょぼいサウンドが「The Joker」という楽曲にマッチし大ヒットを記録した。おい、Steve Millerっ!Gaydenに然るべき分け前を払ったのか!?この泥棒猫っ!

さて、「Hymn To The Seeker」の方は・・・。
力尽きたのでもう辞めて明日の観戦に備えます。



「Morning Glory」

「“アレ”」
 


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The Steeldrivers [Today's Album]

あけましておめでとうございます。 

相変わらずのニート生活にもかかわらず、例の陰謀との闘いのため、去年から突発的に忙しくなることがあります。年が明けてからも早速一つ大仕事をこなしてきました。もうしばらく予断を許さない戦況が続きそうです。
入院する前に2008年度のBest Albumは発表するつもりなので楽しみに(?)お待ちください。まずは書きかけだったものから・・・。

「The Steeldrivers」 / The Steeldrivers (2008)
Click the Picture!

The Steeldrivers

The Steeldrivers

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Rounder
  • 発売日: 2008/01/15
  • メディア: CD


 1. Blue Side Of The Mountain
 2. Drinkin' Hard Whiskey
 3. Midnight Train To Memphis
 4. Midnight Tears
 5. If You Can't Be Good, Be Gone
 6. If It Hadn't Be For Love
 7. Hear The Willon Cry
 8. Sticks That Made Thunder
 9. East Kentucky Home
10. To Be With You Again
11. Heaven Sent 

Produced by Luke Wooten and The Steeldrivers

Bluegrassも多様化してきているようで、以前からフュージョンやジャズとクロスオーバーしているアーティストはいたし、最近ではBluegrassをルーツとするJam Bandなどもいる。 
演奏もコーラスワークもあまりカッチリしているモダンBluegrassバンドは、特に気になるリード・プレーヤーがいない場合はパスしていたが、Mike Hendersonの新しいバンドとなれば話は別で聴かないわけにはいかない。

Mike Hendesonといえば、同姓同名の黒人ブルースマンもいるが、こちらはカントリー・アーティストとしてRCAにデビュー・アルバム(94)を残すが、その後直ぐにメジャーからは追放され、同じくメジャー落ちしたKevin Welch、Kieran Kane等が立ち上げたDead Reckoningレーベルに合流、名作「Edge of Night」(96)を発表。これはカントリー・アルバムであったが、Hendersonのギター・フレージング、スライドの音色はもろブルースのそれであった。
その後Bluebloodsを率いググッとBluesに傾倒、強烈なBluesアルバム「First Blood」(96)、「Thicker Than Water」(98)の2枚を発表。全編に渡りダーティーなヴォーカル、ギター・プレーがフューチャーされており、特にそのスライド奏法の凶暴さは凄まじく、恐らくHound Dog Taylor辺りから多大な影響を受けていると思われる。
ソングライターとしても評価は高く、Dixie ChicksからFabulous T-Birds、Solomon Burkeと多方面に楽曲を提供している。
その後なりを潜めていたが、楽器をマンドリンに持ち替え、Bluegrassバンド、The Steeldriversの一員としてシーンに戻ってきたわけだ。

他のメンバーは、同じくDead ReckonersであったTammy Rogers(Fiddle)、Bluegrass界ではよく目にするセッション・プレーヤーのRichard Bailey(Banjo)、カントリー界で数多くのセッションをこなしてきたベテランMike Fleming(Bass)、そしてChris Stapleton(Guitar)という人。殆どの曲がMikeとChrisの共作であるが、盟友Kevin Welchが曲作りに参加しているものもある。 

予想通り1曲目の[Blue Side Of The Mountain]からただのBluegrassではない。
ドラムレスでありながら非常に重心の低いリズムに乗って、High-LonesomeというBluegrassの常識を覆す、非常に野太く、土の臭いを感じさせるヴォーカルが聴こえてくる。ある意味Levon Helmの「Dirt Firmer」を聴いた時と同質の衝撃を受けた。そう、またもスピーカーの向こうから泥を投げつけられたのである。あまりの勢いに避けきれずに泥だらけとなるが、泥の臭いは大好きなので泥まみれでにんまり。流石Henderson先生!んっ?ヴォーカルはMike Hendersonではない?・・・Chris Stapleton?ソングライターとしてカントリー・シンガーに楽曲を提供した実績はあるらしいが、まったく聞いたことがない名前。しかし、ザラザラと目の粗い質感でソウルフルな歌声の持ち主で、Henderson先生を押しのけてリードヴォーカルの座に落ち着いているだけあり、Chrisの歌声が他のBluegrassバンドと一線を画するThe Steeldriversの個性を決定付けていると言っても過言ではない。蛇足ながらカントリー、ロック界と多くのセッションをこなしてきたTammyおば様のこの曲でのプレイもエモーショナルでインパクト大。
2. [Drinkin' Hard Whiskey]のような典型的Bluegrassの展開を持った曲でもChrisの声質と歌唱ほうにより斬新に響く。
3.[Midnight Train To Memphis] 非常に重いサウンドで、イントロやブリッジ部のバンジョーのフレーズがブルージーで生々しい演奏が聴かれる。
6. [If It Hadn't Be For Love] これも既成のBluegrassではありえない非常にソウルフルなChrisのヴォーカルが印象的。通常、Bluegrassでは似通ったかん高い声質での完璧なハーモニーが多いが、Chris、Tammy、Mike Flemingとまったく声質の違う3人でのハーモニーはそれぞれのキャラクターが際立っていて面白い。

スーパー・プレーヤーはいないが、楽曲を表現するために5人が時には離れ、時には固まりとなるソウルフルなプレーに徹しており、小奇麗な白人のためのイージー・リスニングと化している一部のBluegrassバンドに逆行するどす黒い貧乏ブルーグラスを聴かせる名盤。私は彼らの音楽を"Black-Bluegrass"と名づける!いや、縮めてBlack-Grassはどう?

しかし、Mike Hendersonのエレキ・ギターとヴォーカルはもう聴けないのだろうか?
もともとマンドリニストとして音楽キャリアをスタートさせたとは言え、何故、Mike Henderson先生ともあろうお人がヴォーカルも一切取らずにマンドリンというポジションに甘んじているのだろうか?平行してソロ活動をしないのであれば、いっそのことドラムも加入させ、曲によってはエレキ・ギターを弾きまくり大いにBluegrassの規制枠をはみ出してみてはどうだろうかHenderson先生。



[Blue Side Of The Mountain]
Hendersonは何故かドブロを演奏しているが、その奏法はまったくブルーグラスのものではない!

 

[If It Hadn't Be For Love]

[Can You Run]

 


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