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Band Of Heathens [Today's Album]

リリース直後から記事作成に着手していたのですが、思いのほか時間がかかってしまい、期せずしてTex-Machineさんの同ネタと前後してしまいました。カンニングはしていないですよ!


 

「The Band of Heathens」 / The Band Of Heathens
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The Band of Heathens

The Band of Heathens

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: BOH
  • 発売日: 2008/05/20
  • メディア: CD

 

90年代後半からDAWによるデジタル・レコーディングというものが手ごろになり、個人レベルでも少ない投資で高音質のCDが作れるようになったため、アーティスト側の売り方も変わってきたように思える。

メジャー・レーベルで知名度を得た連中は、マイナーや自主制作でもある程度の売り上げを見込めるため、メジャーにこだわる必要がなくなり、新人でもメジャーの制約を嫌い、最初から自主制作やインディペントでの活動を選ぶ者も少なくない。勿論、DAWの普及には「糞みたいな連中も簡単にCDをリリースできちゃう。」という弊害もあるのだが。 
そんな状況の中、聴く側のほうにも、自主制作やインディペンデントで活動するミュージシャンの中から自分の好みの物を発掘するためには今までとは違った努力が要求されるようになってきた。今回紹介するようなアーティストのように、日本のメディアでは紹介されることがない素晴らしいアーティストが数多く存在しているからだ。自主制作アーティストのCD売買が行われている“CD BABY”というものもDAWがなければ決して普及しなかったシステムのように思える。


そんな自主制作レベルで活動を始めたルーツ・ロック・アーティストの中でも、とりわけクオリティの高い演奏力と作曲能力を兼ね備えているのがこのBand Of Heathens。
メンバー各々がソロ作もリリースしている才能溢れるソングライターという点では、同じTexasのResentmentsに共通しているが、Resentmentsの面々が強烈な個性を発散させているのに比べてBOHのメンツは其々がそれほどアクの強さ(恐らく人間性も?)を持ち合わせておらず、アクシデント的に発生したわりには、3人の音楽性、方向性が多くの部分で共通しており、其々の声もResentmentsのメンツみたいに特異体質声ではないので、ハーモニーでもぶつからず、バンドとしてのまとまりは上・・・、なんて言っちゃっていいですかね?
現在はEd Jurdi、Gordy Quist、Colin Brooksという三頭制を布いているが、その成り立ちの詳細は現代アメリカーナ&巨乳評論家、buppy氏のブログ「橋下駄の音」に詳しいので、興味のある方はそちらを参照していただきたい。

本作以前にリリースしたアルバムは2枚ともライブ録音というところが、演奏力への自信の表れなのだろうが、実際、あまりにストレートで虚飾が無く、誤魔化しの効かない音作りが今の時代逆に新鮮で、前作のDVD付きライブ・アルバム「Live at Antones 」でその演奏シーンを目の当たりにした時は少なからず衝撃を覚え、鳥肌がたった。

満を持してのスタジオデビューとなった今作のプロデュースは、70年代SSWファンにはなじみの深いRay Wylie Hubbard。参加ミュージシャンとしてはPatti Griffin、Stephen Bruton、Gurf Morlix等が名を連ねている。

 
 1. Don't Call On Me

 2. Jackson Station

 3. Maple Tears

 4. Heart On My Sleeve

 5. Second Line

 6. 40 Days

 7. This I Know

 8. Unsleeping Eye

 9. Cornbread

10. Nine Steps Down

11. Hallelujah


半分以上の曲がライブ盤や各メンバーのソロ作などで既出の物。そして3人とも並以上のギタリストであり、トリプル・ギターも彼らの魅力なのだが、正直、2枚のライブ盤を聴いた後では、少々サッパリし過ぎでこじんまりとまとめすぎたサウンドにも聴こえ、ライブで感じられる荒っぽさや重厚感がいま一つ伝わってこないような気もするのが若干のマイナスポイントか。それはプロデューサーとしては実績がなく、バンドの一体感というものにそれほどこだわりもなさそうな、Ray Wylie(人選ミス?)のせいにしちゃいましょう。普通はいくらでも誤魔化しが効くスタジオ作は良かったが、ライブを聴くと「んっ?」というアーティストの方が多いのだから・・・。

それ以外ではスタジオ・デビュー作としては平均点を大幅に上回る出来と言ってよく、スッキリしすぎのサウンドが故、曲本来が持つメロディ・ラインや雰囲気はとても伝わりやすくなっているので、このバンドを未体験の人にはまず、こちらでバンドの雰囲気を掴む→その後ライブ作で仰け反る、というコースをお薦めします。

1. 一番キャッチーなメロディ・センスを持っているEd作のオープニングはウエスト・コーストっぽさも感じられる軽快なナンバーだが、ねちっこいColinのスライドが絡んでのからのエンディングでの尋常でない盛り上がりに、やはりTexasのバンドなんだと再認識させられる。
2. タメの効いたリズムに皆で歌いまわすヴォーカル、そしてドブロにマンドリン。ライブでは実証済みだが、ここでもいとも簡単にあのThe Bandにも似た荘厳さを醸し出しているのは流石。70年代は良かったと懐かしむオールド・ロック・ファンにはThe Bandの焼き直しにしか聴こえないのだろうか・・・。彼らのサウンドには充分オリジナリティも感じられるし、決して追い風ではないこの時代にこの音を奏でていることに意義があると思うのだが・・・。
3. このようなスローな曲では90年代のオルタナ・カントリー・バンドなどよりもカントリーへの深い造詣と愛情が感じられる気が・・・。
4. メンバーの中では声質も曲調も一番ゴリッとした男臭さを感じさせるColin作のゴリッとしたギター・リフが印象的なギター・ロック。
7. シングル・ヒットしちゃってもおかしくないような一緒に歌いたくなるようなメロディを持ったこの曲もやはりEd作。
8. Live at Antones」ではかなりアップ・テンポで演奏されていた。最も70年代っぽさを感じさせる男、Gordy作のスワンプ・ナンバー。ソロ作にも収録されていたが、メンバーのコーラス、Gordyのリードに絡みつくスライド(多分Colin)によって重厚さを増していて一聴の価値あり。

CCRがいて、The Bandがいた70年代のアメリカは良かったのに・・・。なんて嘆いている人にこそ聴いてみて欲しい。時代が時代なら彼らと比肩する実力を持った逸材ですぞ・・・・というのは言いすぎでしょうか。
ソロ作も捨てがたいのだが、個人的にはこの人達にはバンドとしての活動に是非こだわって欲しいと思っている。

このバンドの取扱を始めたAmazon.jp、あんたは偉い!

 



「Unsleeping Eye」

「Jackson Station」


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コメント 7

Buppy

本当は貧乳好きなんですよ(笑)。
プロデュースに関しては適任者不在な感もあるんですよね(笑)。
例えば、Gurf Morlixがプロデュースしていても、
落としどころとしては、殆ど変わらないものに
なったんじゃないかなとも思ってしまうんですよね。

メンバーの個性に関しては、、The Resentmentsのメンバーって、ScrappyとChipman以外って、デカい子供みたいな人たちだし、良識ある大人との壁が個性に繋がってるようなとこもあるんで、難しいところですね(笑)。
by Buppy (2008-09-13 20:36) 

Mudslideslim

Buppyさん、どうも。
では“貧乳好きの巨乳評論家”ということで。
言われてみると確かにGurfでも想像できる音は大差ないですね。あとは高い奴ばかりということですかね。インディーズではいい線行っているSSWは多いけどバンドは中々いないのもうなずけます。BOHに関してはライブが良すぎただけで全然合格レベルだと思います。そのうちセルフ・プロデュースでグルービーな作品を作れるようになるのでしょう。
Resentmentsは結成以前の音楽経験、人生経験が長いので・・・と好意的に見ることにします。(笑)
by Mudslideslim (2008-09-13 22:52) 

tex

偶然ですねえ、同じ盤を同じ日に。僕は、書く前に色んなとこをカンニングしまくってますけどねw。このバンドに関しては、チップマン氏以外はメンバーの名前さえも未だに全く知りません。

>>時代が時代なら彼らと比肩する実力を持った逸材…
この件に関しては、他の現代ミュージシャンの音楽を聴きながら良く考えているんですけど、こういう連中があの時代に現れていても、決して太刀打ちは出来ていなかったんじゃないか、と思うんですよ。というか、60~70年代に「CCRがいて、The Bandがいた」のは、あの時代だからこそ生まれた偶然と偶然のぶつかり合いから生まれた軌跡の賜物なのであって、リゼントメンツやこのバンドを始めとする数多の素晴らしい現代のロックは-思いっきり平たく言うと-先人の切り拓いた道があるからこそ生まれた音楽なんだと思います。

ですから、先人が産み出すまで(発明するまで)の過程や努力の上では、今の後人とでは比較にならないほどですし、もし「現代のザ・バンド」と言われるようなバンドが昔にタイムスリップしたとしても、その衝撃度やオリジナリティ、密度の差が歴然に現れてしまい、勝負にならないんじゃないか?と。そう思うわけです。

かといって、このバンドやリゼントメンツが懐古趣味で価値が無いとか、マネに過ぎないというのではなく、この21世紀に敢えて、60年代以降の数々の優れたロックを聴いてきたファンでも驚くほどの、懐かしい上に新しいロックを作り得た事に価値が有るんだと思います。つまり、先人が切り拓いた道の上を歩くだけでなく、ボーボーに伸びきった草が生えてしまうほど忘れ去られた道を新たに切り拓き、更に新たな轍を作っている大変な作業を成し遂げているのが、現代の優れたアメリカーナの連中の偉さであり面白いところなんじゃないんでしょうか。

もっと言うと、我々は今のバンドの作る60’s+αのサウンドの、αの部分に快感を得ているわけですが、60年代に凄かった人たちが、昔のような素晴らしい音楽を簡単に作れないのに対し、今の連中はそのαを作ることが出来るんです。その天では完全にオリジナリティはあると考えます。

って、すっかり長居をしてしまいました、スイマセン。いえ、晩御飯は結構です。それではお邪魔致しました。
by tex (2008-09-13 22:55) 

tex

かなり、言葉の使い方が変なところがありますが、笑い飛ばしてください。読み返すと間違えてますね…。
by tex (2008-09-13 22:57) 

Mudslideslim

texさん、昨晩はお茶もお出ししませんで。
コメントありがとうございます。さて・・・、長っ!いやあ、嬉しいです。

ブログのコメント欄って、表示される部分が少なくて入力しにくい上、投稿してしまうと修正が効かないので、私も誤字、脱字、誤変換に文法上の意味不明があるまま投稿ボタンをクリックしてしまい、「ちょっと、今のコメント戻ってきてくれぃ!」と懇願しても時既に遅し、といった経験は多々あります。でも、言わんとしていることは充分わかりますよ!

ほぼ全面的に戦わずして負けを認めます。The Bandがそれ以前のロカビリーやブルース、トラッドにカントリーにゴスペルといった音楽を吸収し、50~70年代の空気を肌で体感して自分等の音楽を構築していったのと同様に、BOHはThe Band以前の音楽に加えて、The Band、そしてそれ以降の音楽にも当然影響を受け、現代を生き抜いた人生経験を基礎にその部分を“α”として今の音楽性を築いているので、このままタイムスリップさせると、The Bandの連中が持っていた70年当時、それ以前に吸収していた部分の密度という点では到底敵わず、プラスBOHが持つ“α”がその時代に受け入れられた物かどうかは確かに怪しいですね。本当に70年代にThe Bandに比肩し得たかどうかは、彼らをまっさらなまま40~50年代に生まれさせ、当時の空気を呼吸させて成長させてみないとどうなっていたかはわからないと思います。そして、texさんがおっしゃるようThe Band以降のプラスαがあったので今のBOHがあるわけで、実際に彼らをまっさらなまま当時に送り込んでもThe Bandと比肩し得たかどうかは大いに疑問です。

特に私と同世代以上の方にに多いような気がするのですが、The BandやCCRが好きだったのに、今は当時の再発紙ジャケやオマケ付き限定にばっかり目が行ってしまっている方々に、「こういうバンドを見逃してしまうのはあまりにも惜しいですよ!」ということを伝えたいがための行き過ぎた表現でした。
残りの人生が少なくなると(?)新しい音楽についていくのは億劫になり、保障済みで安心な歴史的名盤のみに目が行ってしまう気持ちもわからないではないんですがね。

人がどんな音楽の聴き方をしていようが、その人の自由で他人がとやかく言ってはいけないことなんですが、私なりの考え方としては、音楽に関わらず、映画、本などの嗜好品の数あるタイトルの中から、自分がどういった音楽に惹かれ、どういった映画に心を打たれるのかを知る事は、自分を知る事にも繋がると思っているんです。ただ、日本では音楽にしても映画にしても一般に紹介される物は極一部で圧倒的に不利。buppyさんのようにあの若さであそこまで自分の世界を持っている方は稀だと思いますが、Texさんにしても色々な音楽を聴く機会が多いのは間違いなく、私も10代後半から30前半まで“気になる輸入盤は片っ端から聴ける”という環境で過ごしており、恵まれていたのだと思います。もちろん、それもその分他の何かを犠牲にして自分で選んだ道なのですが・・・。この件に関してはまだまだ思うところあるので整理してまたの機会に。

70年代はCCRやThe Bandが主流の一部であったわけです。そして90年代初めまではWallflowers、Wilco、Gathering Field、Bottle Rockets、Neal Casalといった連中が次々メジャー・レーベルからデビューしており、日本の雑誌などでもチョロチョロと紹介されていたような気もしますが、状況は90年代後半から劇的に変わってきていると思います。自分の好みの音を見つけようとすればメジャー、マイナー、自主制作に関わらず目を向けなければいけなくなってきたわけですが、日本のマスメディアはそれに対応し切れていないようですし、リスナーも受身では全く欲しい情報が入ってこなくなりました。
私の世代以上の方々には「90年代以降の音楽には興味ない。」とおっしゃる方も多いですし、今の音楽を聴く方の中にも70~80年代から活動している大物、プラス、00年以降のアーティストではメジャーのノラちゃん、Los Lonely Boysあたり止まり、の人が多いのもこういった理由からではないかと思っているんですがね。
そういった方々がBOHのようなバンドを知る機会がないのか、或いはαの部分が許せないのかはわかりませんが、私は前者だと信じたいんですよね。

私のように変な理屈をゴチャゴチャ考えながら音楽を聴いている高尚なオタクが他にもいるというのは嬉しいですね。火星で地球人に会えた気分です・・・。俺達が火星人?
by Mudslideslim (2008-09-14 12:53) 

ojorojoro

はぞめまして。
いつも拝見させて頂いてます。

まだまだ、あまり深くないのでほとんど知らない人たちばかりですが
参考にさせて頂いています。

The Band Of Heathensかなりツボです。
by ojorojoro (2008-10-22 00:47) 

Mudslideslim

ojorojoroさん,はじめまして!
読んでいただいてありがとうございます。
ojorojoroさんのところもザッと目を通させていただいたんですけど,こちらこそ参考にしたいのでRSS登録させていただきますね。Bonnaroo参戦なんて羨ましいです。
ちょっと今色々あって更新が中々できていないのですが,今後もよろしくお願いします。
いきなり,“はぞめまして”って,「なんて面白い人なんだろう。」って思ったんですが,ボケなのか,ミスなのか・・・?ボケということにしときま~す。

by Mudslideslim (2008-10-25 10:02) 

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