SSブログ

Warren Zevon [Today's Album]

松坂君、初勝利おめでとう!
いつもより変化球多めで物足りない感もあったけど、
寒くて体調も良くない中、初マウンドとしてはまずまずのピッチングだったんじゃないでしょうか。
Royalsの先発、初めて見た人だけどコントロールも良く技巧派でしたね。


足掛け数ヶ月、温めていた記事をアップ!

「Warren Zevon / Warren Zevon」 (1976)
 
Click the Picture!

Warren Zevon

Warren Zevon

  • アーティスト: Warren Zevon
  • 出版社/メーカー: Asylum
  • 発売日: 1992/05/19
  • メディア: CD


こちらは今回ボーナス・トラック付が出ていないElektraでの1stアルバム。

恥ずかしいことに、この人を理解するのには時間が掛かった。前もって“ウエスト・コースト・ロックは爽やか”(今思うとEaglesやJackson Browneは一概に爽やかとは言えないのだが・・・)という固定観念に囚われていた所為だと思うが、今では爽やかな(?)他のウエスト・コーストのアーティストよりも私のプレイリストに頻繁に登場している。

キリスト教社会ではタブーとされている死や暴力をリアルに綴った歌詞と硬派なサウンドから、"ロック界のSam Peckinpah"の異名をとるWarren。以外にも彼の才能を最初に見抜いたのは“ロック界の軟弱男”(うそ!ほんとは大好き!)の異名をとるJackson Browneだった。
ギャンブルで生計を立てていた父と放浪生活をしながらクラッシック・ピアノを覚え、法律の勉強もしていたが、徐々にその興味はフォーク・ミュージックに移っていき、Lyme & Cybellというフォーク・デュオでデビュー。その後「Wanted Dead or Alive」でソロ・デビューを果たすが全く売れず、セッション・ミュージシャンやEvery Brothersのサポート・ピアニストとして燻っていたところをJacksonに拾われ、彼のプロデュースでメジャー・デビューとなった。

セールス面では大ヒットした「Werewolves of London(ロンドンの狼男)」を含む次作の「Excitable Boy」には遠く及ばないが、爽やかで清清しい印象のあった当時のウエスト・コーストのミュージシャンの中で、誰も描かなかったL.A.の暗黒部を克明に描写した歌詞、ハード・ボイルド臭プンプンのサウンドと微妙に揺れるテナー・ヴォイスは異端、かつ斬新で高い評価を得た。

クラッシックの影響も感じるピアノのイントロで始まる①「Frank and Jesse James」は西部開拓時代のならず者達を称えた曲。
アコースティックなフォーク・ロック、③「Backs Turnud Looking Down The Path」では珍しくJackson Browneのスライド・ギターが聴ける。
Linda Ronstadtは彼女のアルバム・タイトルにもなった④「Hasten Down The Wind」、彼女のヴァージョンが31位まで上昇したロックンロール・ナンバー⑤「Poor Poor Pitiful Me」、様々な問題を抱え、夜中のラジオから流れる曲に癒しを求める人々を歌い、David Lindleyのスライドが咽び泣く⑦「Mohammed's Radio」、カナダの名シンガーソングライター、Murray Mclauchlanも取り上げ、薬中ジャンキーの孤独を歌い、異国情緒(この場合はメキシコ)溢れるギターが素晴らしい
⑨「Carmerita」と、このアルバムから4曲もカバーしている。Linda嬢が当時、いかに彼の作品にご執心であったかが窺える。
⑪「Desperado Under The Eaves」も自身のピアノで始まり、ストリングスを加えてドラマチックに盛り上がるスローなナンバー。ドラマでEaglesのDesperadoを知った人にもDesperado繋がりで是非聴いてみて欲しい曲。(冗談ではなく本当に同じ様な雰囲気を持った曲です。)

Jackson Browne以外にも、Lindesy Buckingham、Stevie Nicks、David Lindley、Phil Everly、後にWarrenの片腕となるWaddy Wachtel、EaglesのDon Henley & Glenn Frey、BeachboysのCarl Wilsonと、錚々たるメンバーが参加。

美しい物は素晴らしいのかも知れないが、世の中美しい物ばかりではない。半分は醜い物事だ。その醜さから目を背けずに描写し続けた稀有な存在。
頭が切れて、無類の皮肉屋、ウェスタン・ブーツをウォッカで満たして飲み干した・・・という逸話も残っているほど自虐的で破天荒な男だった。でも案外、繊細で優しい心の持ち主であったのであろう。でないとこんな歌は歌えないはず・・・・。14枚のオリジナル・アルバムを発表。彼を敬愛するR.E.M.のメンバーとのプロジェクト「Hindu Love Gods 」(1990)での活動も記憶に新しい。

2003年9月7日、肺癌のため56歳で死去。
「I'll Sleep When I'm Dead(俺が眠るのは死んだときだ)」と歌った男はようやく眠りに就くことができた・・・。


Video 「Mohammed's Radio (with Jackson Browne)」


Video 「Poor Poor Pitiful Me」 “あの曲”へと雪崩れ込むメドレー!吼えてます!
http://www.youtube.com/watch?v=OZLiDUeFB7E


調子こいてこのままDVD行きます。

VH1 (Inside) Out : Warren Zevon

VH1 (Inside) Out : Warren Zevon

  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2004/03/31
  • メディア: DVD

2002年8月、末期肺癌で余命三ヶ月と宣告された彼は、これが最後と知りながら曲を書き始め、遺作となったアルバム「Wind 」とその製作過程を追ったDVDの製作を始める。
この親父は死に直面しても自らを茶化し、ドギツイ皮肉やジョークに戸惑う周りの人々を尻目に毒を吐く!
長年苦しんでいたアル中を克服し、健康面に気を使い始め、これからアーティストとして円熟期を迎えようという矢先の残酷な宣告だった。しかし、彼は真っ向からそれを捉え、「多くの人々には無い、伝えたいことを世に出す機会を与えられていることに感謝している。」と彼らしくもない殊勝なコメントと共にアルバム製作に取り掛かる。

レコーディングを助けるためにスタジオを訪れた友人達はJackson Browne、Tom Petty、Mike Campbell、Dwight Yoakam、Bruce Springsteen、Ry Cooder、Emmylou Harris、EaglesのDon Henley、Joe Walsh、Timothy B. Schmit、ミュージシャンであり俳優のBilly Bob Thornton、スタジオ・ミュージシャンのJim Keltner、等。

レコーディングが進むに連れ、正常な意識を保つために化学療法を拒んでいたWarrenの体調も悪化し、信じられないようなミスを連発、スタジオは重苦しい雰囲気に包まれる。

その空気を打破したのがクリスマスの予定をキャンセルして駆けつけたSpringsteenだった。(またBoss贔屓ですいません!)これもまたロックの裏街道を歩んできた彼にしては意外な言葉だったのだが「誰もが、“自分はこうありたいと思える男”だ。」と賛美するBoss相手には、流石の毒吐き男も毒づけず。
BossのWarrenを見る目には哀れみは無く、あくまでレコーディング中のアーティスト同士として接する。真顔でアドヴァイスを与え、ジョークを交えながらもレコーディングに全力を傾けるBossの力でスタジオには笑顔が満ち溢れる。そんなBossのハーモニーと荒っぽいが(恐らくオーバーダブや編集は無いと思われる。コントロール・ルームで演奏しているところからアンプは通さず、卓に直結か?)生々しく、入魂のギター・プレイはアルバム中
最もハードな曲、「Disorders In The House」で聴くことができる。正に“Rock界の光と影”の共演!

その後体調の悪化で中断を余儀なくされるが、ドクターの予想を大幅に超え、アルバムの完成と双子の初孫たちの誕生を待って・・・・。

死をテーマに歌い続けたアーティストが、自分の死をも作品に変えた壮絶な過程を捉えたドキュメンタリー。
彼のメッセージは「Keep Me In Your Heart (for a While)」という曲のタイトルに集約されている。

最近の映画やゲームには敵を撃ったり、斬ったりしていても痛みや悲惨さが伝わってこない物が多い。自ら命を絶ってしまう若者達は、本気で直ぐに生まれ変わって来ると思っているという。
Warrenがリアルに死や暴力を歌ったのは、何も彼が死や暴力の信奉者だったのではなく、実際に当時のL.A.に溢れていた死や暴力を描写することで、生きることの素晴らしさを伝えたかったからではないだろうか?

ps
Dylanのカバー「Knockin' On Heaven’s Door」では、最後のリフレインにオリジナルにはない「Open Up, Open Up, Open Up, For Me」というWarrenの切なる思いからでたフレーズが追加されている。
無事に扉が開いたことを祈る・・・。

Video「The Late Show with David Letterman」より (2002/10/30)


nice!(3)  コメント(9)  トラックバック(1) 
共通テーマ:音楽

nice! 3

コメント 9

DEBDYLAN

こんばんは。

Warren Zevon、恥ずかしながらキチンと聴いた事ないんです。
その名前や、プロフィール、晩年の事等は記事などで読んだこともあるので、知っていましたが・・・

彼の周りにいるミュージシャンは聴いているのに、何故だろう?
自分でも不思議です。

僕のお気に入りに加わりそうです。
これからですが、じっくり彼の音楽と付き合っていきたいなと。

素敵な文章で、素敵なミュージシャンを紹介してくれて、Mudslideslimさん、ありがとうです。
by DEBDYLAN (2007-04-07 22:33) 

jimmy

はじめまして。
Mudslideslimさんの相方さんにお世話になっている飲食店の
スタッフのモノです。(姉さん毎度)

自分も音楽やっているのですが、このブログで紹介されているCDをほとんど知らないモグリです。
アーティストの紹介、為になるんでこれからもチョクチョクお邪魔します。

天気の良い晴れた日なんかにお二人でのご来店、
お待ちしておりますm( ^ー^)ハ( ^o^)ノ

(↑営業かよ!)
(ねぎとろ注文する時、姉さんの場合ミニねぎとろのほうが良いかも)
by jimmy (2007-04-08 00:47) 

Mudslideslim

deacon_blueさん、ナイスありがとうございます!
by Mudslideslim (2007-04-08 14:47) 

Mudslideslim

Debさん、ありがとうございます!

思い入れだけで書いちゃっていて、だらだらと長く
読みにくかったと思いますが、読んでいただいて光栄です。

「Poor Poor Pitiful Me」のビデオは80年代前半のライブのようです。
会場がNew Jerseyということで“あの曲”とのメドレーになったと思うのですが、
意外とWarrenバージョンも良くて私もビックリしちゃいましたよ。
by Mudslideslim (2007-04-08 14:53) 

Mudslideslim

jimmyさん、はじめまして!
コメントありがとうございます!
先日の記事の件で「ヤキいれられたとか書くな!」
とヤキいれられました。
真偽の程は相方を良くご存知のjimmyさんのご想像に
お任せします・・・・。

低髄のお友達の具合はどうでしょうか?
by Mudslideslim (2007-04-08 14:57) 

jimmy

友人N、先日2度目のブラッドパッチを終え、今月末まで休むそうです。
今日も雨で憂鬱らしいですが、テレビ&ゲーム三昧だったそうで。
1週間は引き蘢れる様に食料は買い込んでるみたいです。

友人Nのこと気に懸けて頂き、ありがとうございます。
by jimmy (2007-04-12 03:14) 

Mudslideslim

jimmyさん、返答ありがとうございます!
Nさん少しは改善しているようですか?
M先生、今は私のような治りの悪い患者を中心に見ているようで、
初診の人はT先生に任せているそうです。
ギリギリM先生に診てもらうことができてラッキーでしたね!
by Mudslideslim (2007-04-12 13:29) 

necoma

Linda Ronstadtの「Hasten Down The Wind」どっぷりハマりました
by necoma (2007-04-17 01:51) 

Mudslideslim

necomaさん、ありがとうございます!
Linda Ronstadtの「Hasten Down The Wind」ジャケットにもどっぷりハマりました。
by Mudslideslim (2007-04-17 11:21) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。