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「Walk The Line / 君につづく道」 [Movie]

かねてから見たいと思っていたカントリー・シンガーJohnny Cashの自伝映画「Walk the Line」をようやく見ることが出来た。
2005年度のアカデミーで主演女優賞を、ゴールデン・グローブで作品賞、主演女優賞、主演男優賞を受賞した話題作だったが日本での反応はいまひとつだったのでは・・・?

自分はJohnny Cashファンなのでかなり贔屓目に見てしまっているので参考にはならないかもしれないが感想を。

ちょっと前に見たプレスリーの伝記映画「Elvis」と時代背景が同じでプレスリー役の俳優(Jonathan Rhys-Meyers)Johnny Cash役のJoaquin Phoenix / ホアキン・フェニックスに似ていたこと、どちらも父親役が同じ俳優(同じ2005年の作品で何ゆえ??)(Robert Patrick,ターミネーター2での悪役が有名)で、息子に対して愛情の薄い父親だったことなどから二つの映画を混同してしまいそうになるが、映画としてはこちらが上!

 

凄いのは吹替無しの演奏シーン!リヴァー・フェニックスが兄貴だけにホアキンはそこそこ歌えるとは思っていたが、June Carter役のReese Witherspoon / リース・ウィザースプーンの歌唱力には脱帽!今まであまり好きな女優ではなかったが、CDを出したなら買ってしまうかもしれない・・・というぐらいカントリー、フォークソングを歌いこなしていた。そのクラシックなルックス(似てはいないが)も手伝ってか、まさにはまり役でアカデミーも納得!ホアキンもJohnnyのディープさには及ばないものの、エンディング間際のフォルサム・プリズン刑務所のライブシーンでは鬼気迫る快演を見せ、不覚にも鳥肌が立ってしまった。

幼いころから著名な音楽一家の子供スターであったJune Carterに憧れながらも、貧困に喘ぐ幼少期に慕っていた兄を失ったトラウマを背負い、自らもシンガーを目指し、成功への階段を上り始めながら、Juneへの思いを断ち切れず、ドラッグに溺れたJohnnyJuneへの思いを貫き、彼女の支えもありながら再び頂点へ返り咲くサクセス・ストーリー。
この後文字通り死が二人を分かつまで30年以上添い遂げ2003年にJune逝去した4ヵ月後に彼もまるでその後を追うように逝ったのだから、彼のJuneへの思いは本物だったのであろう。

ひとつ文句を言いたいのはこの手の物を売るときの日本のメディアのやり方。
日本での知名度の低さのためかエルヴィスと並ぶロカビリー・スター~のキャッチフレーズをよく耳にしたが、Johnny Cashはスタートこそエルヴィスやカール・パーキンス等と時を同じくしてメンフィスのサン・レコードが擁するロカビリー・シンガーとして出発したが、彼は純然たるカントリー・シンガーである。デビュー時のスタイルこそロカビリーに近いものであったが、人間の本質に迫ったダークな歌詞と重たいサウンドはリアルで、他の浮世離れしたパーティーソングを歌ったロカビリースターとは一線を画する物だった。本人も「腰を振って踊ることも出来ないし、タイトなパンツをはいて客を魅了することも出来ないが歌については誰よりもわかっている。」と語っているように・・・。なのにこの映画をロカビリースターの半生記として売ろうというのは担当者があまりにも無知であるか、日本でも人気のあったロカビリーに便乗して映画を売ろうという、目先の利益だけを狙った販促のどちらかである。いずれにせよ、こういった方法では日本では理解のないカントリーやフォーク・ミュージックに対して更なる誤解と悪循環を招き、洋楽ファンの質の低下へと帰結する。時代に迎合していると思えば本国でも評価されていない質の低いアーティストでも紹介し、洋楽雑誌のレヴューではウワズミのような作品が並び、“Legend”とも呼ばれる人に対して「映画が賞を獲ったけど日本では知名度がないアーティストの伝記だから売れるように紹介しとけ。」的な扱い。自分が現役の情報を発信する側であった時から全くその体質は変わっていない、寧ろ悪くなっている気さえする。話が長くなるので本題に戻します。


Shelby Lynne
Johnnyの母親役で、Shooter Jenningsが自分の父親、故Waylon Jennings役で出演しているのもカントリー・ファンには嬉しいところ。その他の洋楽ファンも当時のミュージック・シーンを再現してくれているのでとても興味深く見ることが出来るのでは?

ウォーク・ザ・ライン 君につづく道 特別編

ウォーク・ザ・ライン 君につづく道 特別編

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2006/10/27
  • メディア: DVD


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コメント 4

torapan

我が家にも「ウォーク・ザ・ライン」あります。とあるルートで入手したのですが、まだ見ていません。うちの旦那様は大喜びしてましたが・・・ちなみにこの「ウォーク・ザ・ライン 」の興行収入はメーカーさんによると1億円(パイレーツ・オブ・カリビアン=100億円、ダビンチ・コード90億円)という、ミニシアターより少し良い程度の興行収入だったようですが、興行収入の割にはDVDが思った以上に売れたようです。
by torapan (2007-01-10 00:14) 

チクユウ

「Walk The Line / 君につづく道」とJohnny Cashのこと、
するどく切れのいい解説ですね!
DVDを観たくなるし、CDも聴きたくなります♪
これだけの解説者ならメディアがほっとかないのでは???
by チクユウ (2007-01-10 13:11) 

Mudslideslim

torapanさん早く見ましょう!ご主人は私より50's,60'sには強いので、そりゃぁ、大喜びでしょ。貴重な情報ありがとうございます。興行収入の金額は日本でのですよね?
by Mudslideslim (2007-01-11 20:09) 

Mudslideslim

チクユウ師匠、お褒めにあずかり光栄です。仕事があったらまわしてください(笑)。音楽にしろ映画にしろその道のプロである作者が懸命になって作り上げた作品に私のようなものが意見を言うのは大変おこがましいのですが、それを言ってはおしまいなので、開き直って意見を言わせてもらっています(笑)。見た方に少しでも作品に対する私の愛情と、どのような作品であるかが伝わって、参考になればと思っています。
by Mudslideslim (2007-01-11 20:45) 

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